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Update on :2022.05.18

「全世代がつながり、主役となれる会社を目指す」を合言葉に、 ダイバーシティ の新たな扉を開く

室井登志子さん/赤倉亮子さん
ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ

企業理念である「我が信条(Our Credo)」のもと、ダイバーシティ&インクルージョンを経営の重要課題として位置付けるジョンソン・エンド・ジョンソングループ。同社はグループ社員に向けて「エクイティ(公正性)」という概念をより明確に示し、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)」を掲げ、新たな一歩を踏み出している。そうした流れの中、「全世代の社員が主役になれる会社づくり」をテーマに活動する有志の社員によるグループ「GenerationNOW」を立ち上げ、そのリーダーを務める室井登志子さんと赤倉亮子さんにお話をおうかがいしました。

室井登志子さん

2015年新卒でジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループに入社、サプライチェーンデリバーに所属し、輸入通関・物流戦略構築・倉庫オペレーションなどの業務に携わる。2021年4月に、世代の多様性を活かす社員グループ「GenerationNOW」の日本での立ち上げメンバーとして参加。現在、同グループのCo-leadを務める。
 

赤倉亮子さん

2015年新卒でジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ、メディカルカンパニー薬事本部に入社。主に腹腔鏡下で使用される低侵襲医療機器を担当。多岐にわたる薬事申請業務に従事し、新製品の国内導入などの業務に携わる。2021年4月に「GenerationNOW 」を日本で立ち上げ、現在は同グループのCo-leadを務める。

 

スタートは若手社員のキャリアを考えることから

 
ここ数年、多くの企業がDE&Iに取り組み、DE&Iという言葉ももの珍しいものではなくなりつつあります。とはいえ、企業によって取り組むテーマや方法も違えば、その成熟度も異なります。その中で「世代」をテーマに取り組んでいる例は非常に珍しく、そのことを取ってもジョンソン・エンド・ジョンソンのDE&Iの成熟度の高さがうかがえます。では、その「世代」をテーマとしたグループの設立に携わるきっかけは何だったのでしょうか。
「入社3年目を迎え、同期の多くが今後のキャリアを考える時期となり、同期でキャリアを考える会を作ったのがきっかけでした」というのは赤倉亮子さん。
「最初は自分たちの世代だけのキャリアを考えて、先輩社員からキャリアについての考え方を伺ったり、同期同士お互いに悩みを共有する場を作りました。というのも、当時は社内にどんなチャンスがあるかわからない、思い描くキャリアを実現するために何をすればいいかわからないなど、若手社員が不安に思っていることがあったからでした」と室井さんも当時を振り返ります。
同世代のキャリアを考え、活動を進めていくうち、当時の社長に直接若手のキャリア構築における問題点について話をする機会を得たそうです。入社3年目の若手社員が、会社のトップとディスカッションできるチャンスは、珍しいことだと思います。
「私たちの意見や要望をしっかり聞いていただいた結果、その翌年の会社戦略のひとつとして、『キャリアの多様性』が優先課題として盛り込まれました。そして、私たちは若手社員のキャリア構築に関するアクションを任せていただきました。若手のうちからこのような経験をさせていただいたことで、様々な世代が参加するERGのリーダーとしての経験にも役立っています。」(赤倉さん)
そうして活動する中で室井さんたちの活動は新たな形で変化を遂げることになります。ジョンソン・エンド・ジョンソンには、「エンプロイー・リソース・グループ(ERG)」と呼ばれる、ダイバーシティの特定領域における意識改革や啓発活動を行う有志の社員グループがあり、社内にDE&Iを浸透させる上で大きな推進力となっています。
「アメリカ本社およびいくつかの海外法人には、すでに世代をテーマにしたERGとしてGenerationNOWが発足しており、私たちの活動を知ったGenerationNOWのアジアパシフィック・リードをされていた方から、日本でGenerationNOWを立ち上げてみないかと打診がありました。日本でGenerationNOWを発足するに当たって、海外法人で活動を進めている先輩たちにお話を聞いて勉強しました」(室井さん)
 

変化の激しい現代社会において、会社として成長を続けるためには、全ての世代の社員が力を発揮することが必要

 
ちなみに、現在、日本法人グループには4つのERGがあるそうです。最も歴史が長いのは「ウィメンズ・リーダーシップ&インクルージョン(WLI)」で、これは女性のキャリアや働き方などを軸にした団体で、日本では2005年頃から活動をスタート。設立以降、多様な働き方や子育て、介護など、ジェンダーの垣根を越えて展開を拡大しており、現在メンバーの半数は男性で占められているそうです。
2番目は「オープン&アウト(O&O)」。2015年頃に始動し、LGBTQ+をはじめてとするセクシュアル・マイノリティの当事者と、それを支援するアライが集まって活動。3番目が障がいに関するグループで「アライアンス・フォー・ダイバース・アビリティ(ADA)」で、2019年に始動。身体障がい、メンタルヘルス、自閉症などのニューロダイバーシティの3つを柱に活動しています。
最後「GenerationNOW」は、2021年4月にこれら3つのグループに続く4番目のERGとして発足。では、「GenerationNOW」では具体的にどんな活動をしているのでしょうか。
「基本的な活動としては、
(1) 世代の多様性を活かした新たなビジネス価値創造
(2) 未来のリーダーを鼓舞し、すべての社員がチャレンジして成長できる環境の整備
(3) 我が社の未来へ挑戦するスタートアップマインドセットの醸成
の3つを柱に活動をしています。変化の激しい現代社会において、会社として成長を続けるためには、全ての世代の社員が力を発揮することが必要だという認識を持っています」(赤倉さん)
では、これまで具体的にどんな活動をしてきたのかでしょうか。
「具体的な形になったものとしては、リバース・メンタリングです。メンター制度の逆バージョンと思ってください」(室井さん)
メンター制度とは、先輩社員が、後輩社員に対して、業務のみならずキャリア形成なども含めた幅広いサポートを行う制度です。
「リバースですから、先輩社員がメンティー(相談する側)、後輩社員がメンター(相談される側)となります。昨年、私たちが実施したパイロットプログラムでは、経営陣クラスの方がメンティー、私たちGenerationNOWのメンバーがメンターとなりました。同じグループ内であっても、所属地域や職種が異なるよう組み合わせたことで、お互い素直に意見交換ができました」(赤倉さん)
経営陣側からは「忖度のない意見を聞けたのが良かった」「自分が発信した戦略などを若手社員がどう受け止めているのかが分かった」、一方、メンター側からは「経営者クラスだからこそ持つ悩みを聞けたのは、キャリアアップを考えるうえで参考になった」「経営層の裏の思いを聞けて高い視座を得られた」といった意見が多数寄せられたそうです。
 

「GenerationNOW」発のアイデアを実現させる

 
今後の目標については「現在、メンバーも100名近くなり、その中でリーダーシップをとるのは大変ですが、本業の部署では私たち世代がリーダーとなりチームを牽引することはあまりないので、非常に良い経験を積まさせていただいていると思います。リーダー役を上手にバトンタッチするためにも、次のリーダーを育成することも、これからの重要な役目だと考えています」と室井さん。
一方、赤倉さんは「昨年は講演会の開催など外部からのインプットが中心だったので、今年からはより実践的分野にも挑戦したい」と意欲を見せ、「今年は社内のアイデアコンテストにGenerationNOWチームで参加し、優勝することが出来ました。GenerationNOW発のアイデアを実際に実現できるのがとても楽しみです」と語ってくれました。
同グループのDE&Iは、こうしたERG活動を中心としたボトムアップだけではなく、会社としてその活動支える制度面のサポート、さらに経営層のコミットメント力の高さが結びついてるからこそのものなのでしょう。
「就活中は、自分らしく自由に働けるか、誇りを持って働けるか、そして業界として成長を見込めるか、といった点を重視しており、ジョンソン・エンド・ジョンソンが重要な経営課題の1つとしてDE&Iへの取り組みを位置づけていることは知りませんでした。入社して以降、DE&Iは、全ての社員が活躍できる環境を作るために大切なことだと思うようになりました」(赤倉さん)
「私はGenerationNOWの活動に携わるようになってから、DE&Iについてより意識するようになりました。最近になり、他のERGの先輩から『次はGenerationNOWの番だね』などと言われるとプレッシャーを感じる反面、期待されていることがモチベーションのアップにつながっています」(室井さん)
お二人にとって「GenerationNOW」の活動は、ご自身たちが成長するための一歩を踏み出すきっかけとなったようです。そんなお二人に就活中の読者の皆さんにアドバイスをいただきました。
「当グループは自分次第でなんでもできる可能性のある会社です。また、自分の経験からも情熱とやる気がある人が輝ける会社だと感じています。就活の時は、ついつい自分を飾ってしまいがちですが、等身大の自分で話すように心掛けてください」(赤倉さん)
「チャレンジが推奨される会社なので、流されて仕事をするのではなく、自分ならこうする、こうやりたいという意識と姿勢を持って仕事に臨む人には活躍の場が拓けるはずです。就活のアドバイスとしては、内定をいただいてからでも構いませんが、その会社で働く先輩たちに会わせていただくようリクエストしてみましょう。先輩たちの生の話を聞くと自分に合う会社なのか、自分の目指すキャリアが築けるか、働くことができる会社なのかがきっと分かると思います。頑張ってください」(室井さん)