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Update on :2021.10.12

NTTグループを支える多様な働き方

藤生彩子さん/渡邊未来さん/佐野友香里さん
NTTコミュニケーションズ株式会社/NTTコムウェア株式会社
ヒューマンリソース部社員サービス部門/総務人事部人事部門採用担当

NTTグループの一員であり、ソフトウェア開発の面からグループを支えているNTTコムウェアの人事部門で新卒採用を担当している佐野友香里さん、そして、主に企業向けのソリューションサービスを提供しているNTTコミュニケーションズに、2021年に入社したばかりの藤生彩子さん、渡邊未来さんにお話を伺いました。
 

藤生彩子さん
NTTコミュニケーションズ株式会社
ヒューマンリソース部社員サービス部門

2021年6月にNTTコミュニケーションズ入社。DXによって社員の働き方を向上させるためのコンテンツ制作やWebメンテナンスなどを担当。軽度の下肢麻痺がある。

渡邊未来さん
NTTコミュニケーションズ
ヒューマンリソース部社員サービス部門

2021年5月にNTTコミュニケーションズ入社。郵送物の電子化によるリモートワークの促進業務を担当。両足の関節に障がいがある。

佐野友香里さん
NTTコムウェア株式会社
総務人事部人事部門採用担当

2014年NTTコムウェア入社。SEとして、DaaSをはじめとする仮想化関連ソリューションの開発・運用設計に従事し、社内外のリモートワーク環境整備を推進。2020年より総務人事部へ異動し、主に新卒採用を担当。
 

在宅勤務で通勤の負担がなくなり、働き方も変化

 
NTTコミュニケーションズの藤生さんと渡邊さんは、共に障がいを抱えている状況の中で、2021年度に中途採用で入社したばかり。入社のきっかけ、動機、実際に入社してみての印象などを、お二人に聞いてみました。

藤生(敬称略・以下同)「持病があり、歩行はできるのですが、下肢に痺れや軽い感覚障がいがあります。4年前、持病が悪化し、前職を退職して治療に専念していたのですが、体調が戻り、就活を始めました。とはいえ、あまり体力がなく、毎日の通勤が負担になる状況がありました。当社の場合、コロナ収束後もリモートワークを推奨し、ほとんど出社しなくても済むという点が自分の現状にも合っていると思い、応募し、採用されました。実際、出社は最初の3日だけで、あとはずっとリモートワークができています。新しい環境に慣れるのは大変かなと思っていたのですが、自宅で仕事ができるということはこんなにも負担がないものなのかというくらいに、体調も良好で、毎日穏やかに仕事ができています。また、大きな会社なのでもっと硬い雰囲気だと思っていたのですが、上司を含め周りの同僚の方も非常にやさしくて、冗談を言ったりして、とてもやわらかいなという印象を持っています」

渡邊「高校を卒業後、前職で9年間、働いていたのですが、そろそろキャリアアップしたい、これまでと違う仕事をやってみたい、スキルアップをしていきたい、そういう気持ちが強くなってきたんです。まだ20代で、新たなチャレンジができる年齢でもあるので、積極的に転職を考えていたところ、当社が募集をしていたので応募しました。実際に入ってみると、思っていたのとは全然違っていました。前職とは業種が異なるというのもありますが、当社では、業務を進めていくなかで、上司や同僚との連絡や報告が頻繁に行われ、コミュニケーションがとてもしっかり取られていることに驚きました。それは私にとっても非常に働きやすい環境で、入社してすごくよかったと感じています」

取材に同席した障がい者雇用担当者の方によると、NTTコミュニケーションズでは、ダイバーシティの観点から、特例子会社は設けず、得意不得意は考慮しながらも、障がい者と健常者とで職場を分けることなく働いてもらう方針だといいます。また、リモートワークを前提とし、在宅勤務中心の働き方に変わったことで、障がいのある方だけでなく、例えば、育児と仕事を両立している女性職員が、リモートワークで通勤時間が省かれたことで、時短勤務からフルタイム勤務に移行することができたケースもあるそうです。

一方、NTTコムウェアは、ダイバーシティ推進室が、女性活躍推進、LGBTQや障がい者への対応などをまとめて取り組んでいます。例えば、女性活躍推進では、2025年度に女性管理職比率10%を目標とし、女性管理職の育成を進めています。

LGBTQへの対応については、NTTグループとして、2018年4月から、「各種手当や福利厚生など、配偶者及びその家族に関わる制度全般を同性パートナーにも適用」するとし、制度面における配慮をしています。
 

障がいのあるなしに関わらず、安心して働ける手厚い福利厚生

 
NTTコムウェアの佐野さんが、最近あった、社内風土が伝わるエピソードを話してくれました。

佐野「先日、人事部門長という役職の方に、就活生向けイベントで講話をしてもらう機会がありました。当日、講話の準備の最中に、その部門長が作成した女性活躍推進に関するスライドについて、女性の観点でどう思うか、私に聞いてきたんです。私はそれを見ながら、これは違うと思います、などと率直に感じたことをお伝えしました。本来であればかなり上の役職の方なのですが、そこをフラットに扱ってもらって、実際に現場で働く女性である私の話を聞こうという部門長の姿勢に、いろいろな人の意見を尊重しようという、社内風土を垣間見たように感じました」

入社してまだ日が浅い渡邊さんと藤生さんには、ダイバーシティの観点から、障がいを持つ当事者として、実際に仕事をしているなかで今、会社がどのように見えているのかを聞いてみました。

渡邊「前職では、年次有給休暇(年休)を20日間もらえ、その中で、持病の治療のための通院に休みをあてていました。現職では、20日間の年休に加えて、夏季休暇など、年休とは別の休暇ももらえ、休暇の日数の多さに驚きました。取得できる休暇が多いと、あまり気にせずに持病の通院ができたり、急に持病の症状が出た時にも、休暇の残数にあまり不安を感じなくてよくなります。前職と比べると、そういうところがとてもありがたいです」

藤生「障がいもそうですが、疾患を持っている状況では、いつ具合が悪くなるかわからないという精神的な不安が常につきまとっています。年休の多さは、例えば、それを使わなくても、まだ何日残っているから大丈夫といった安心につながります。そのことで、体調が安定するという良い循環にもなります。それから、例えば、急に体調が悪くなったものの、病院に行くほどでもない場合に、在宅勤務で自宅にいますので、少しの間だけ横になることで回復することもあります。前職の現場勤務のときは、それで半日休むこともあって、そうすると、私の性格もあって、周りに迷惑をかける自分を責めてしまうこともありました。それなので、現在のリモートワークはとてもありがたいです。いまWebのコンテンツ管理の仕事をしていますが、Webにある福利厚生制度の内容を見る機会があって、その手厚さをすごく実感しています。障がいというわかりやすい困難だけではなく、みんなちょっとした悩みをいろいろと抱えながら生きていて、そういう困難や障がいにぶち当たったときに、ここまで手厚い保障があるというのは、とても心強いと感じています」

お二人の話を踏まえ、これからのNTTグループの課題を、佐野さんが提示してくれました。

佐野「NTTグループには、いわゆる世間一般にあるような制度や福利厚生はだいたい備わっているという安心感があります。自分のマイノリティ性について、気づいている/いないに関係なく、単純にすべからく働きやすい社内風土だと思っています。その上で、今後どうしていくかという課題の話でいえば、グループが大きいからこそ社会に与える影響も大きいですよね。例えば、同性パートナーへの制度面での配慮は、今の日本ではちょっと踏み込んだ取り組みだと思うのですが、それをNTTグループが実施することで、日本を変えていくことにつながっていく。より進んだ制度を打ち出していくことで社会を変えていくこと、それがこれからの課題ではないかと考えています」
 

読者へのメッセージ

 
最後に、「こう生きたい」を軸に仕事を選びたい18歳〜25歳の読者に向けて、メッセージをいただきました。

藤生「10年前、27歳のときに発症したので、18〜25歳のときは障がいも病気もまだありませんでした。そのときは健常者で、普通に遊んだり仕事をしたりして、何も問題なく過ごしていました。でも、その頃よりも、障がいを持った今のほうが仕事や人生の選択肢がいろいろと広がったように感じています。好きなことが好きなように選べるような、選んでも何も言われないような、そんな時代になってきていると思います。なので、もしやりたいことや興味のあることが自分の中にあるのなら、まずは深く考えずに挑戦してみてください。それでもし失敗したら、またそこから、そのときの自分の状況を踏まえて、さらに新しいことにチャレンジするか、方向転換するか、自由な発想で進んでいってください。私の場合、これまで割とやりたいことを仕事にしてきたタイプだと思いますが、病気や障がいによって断念せざるを得なかったことが何回かありました。どんなにやりたかったとしても、結局、何かの事情でできなくなるような状況は、誰にでも起こることです。失敗を恐れて何もしないというよりは、後悔しないような選択をしていったほうが、人生の幸福度は上がるのではないかと思っています」


渡邊「私の障がいは先天性のもので、子どもの頃から、こういうことをしたいけど、障がいがあるから自分はできないな、と思ったことがたくさんありました。高校までピアノを習っていて、音楽の専門学校に入って音楽療法士の仕事に就きたいという夢があったのですが、卒業して資格が取れても、就職先では力仕事もあるから勧められないと専門学校の先生に言われて諦めたこともありました。すごくつらい思いはしたのですが、いろいろな経験をしたからこそ言えることがあって、障がいがあるからといって、自分に制限をかけず、閉鎖的になるのではなく、健常の方と同じようにいろんな可能性があるし、充実した人生を歩んでいけるということを、私の経験からお伝えしたいです」

佐野「昔は、事務処理能力が高く、ある正解まで論理的に素早くたどりつけるような、そういう能力を就活の中で見られることが多かったかもしれません。けれど、先行きが不透明で、将来予測もできない、いわゆるVUCA(ブーカ)の時代にあっては、そういった能力よりも、自分の頭で考え試行錯誤できる人を求めています。就活中は、選ばれる側の気持ちになってしまい、どんどんその会社の正解に自分を合わせてしまう人も少なくないのでは。けれど、会社選びはあくまでマッチングです。会社に迎合するのではなく、自分に合う会社、自分らしく働けて、それが評価される会社に出会えるように、色々な会社をフラットに見てみるのがいいのではと思っています」