Sabrina Wang(サブリナ ワン)さん
EY Japanタレント部
中国西安出身のサブリナさん。18歳でシンガポールに留学し、新卒で現地の日系アパレル企業に入社。その後、「子どもの頃から好きだった日本」で就職したいと思いが募り、一念発起し来日。日本語を学び、卒業後に人材紹介会社を経て3年前にEY Japanに入社。現在は人事部でD&Iチームの一員として活躍中。他社との合同企画でD&Iの研修を受け「マイノリティであっても職場で生き生きと活躍したい人を支援できるD&I活動に興味を持った」のがそのきっかけだとか。一人ひとりがその能力を最大限に生かせる企業を目指して
「Building a Better Working World」という理念のもと、より良い社会の構築を目指しているEY。EY Japanは、EYの日本におけるメンバーファームの総称で、新日本有限責任監査法人、EY税理士法人、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社、EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社などから構成されています。そんなEY JapanがD&Iを戦略的にとても重要なものと捉えているのは、どうしてなのでしょうか。
「EY Japanはメーカーとは異なり独自の商品がありません。だからメンバー一人ひとりが財産です。より良い社会の構築を目指していくために、一人ひとりがその能力を最大限に引き出し、魅力ある職場づくりを通じて、高い成果を上げるチームを作ることが必要です。D&Iはその実現のための大前提になるものと考えています」
EY Japanは2015年9月にLGBT、障がい者、多様性、スマートワークの4つの分科会を立ち上げD&I活動に乗り出しました。それ以前には「EY Japanとして女性の活躍を推進すること」を目的に「WindS」と呼ばれる、女性メンバーによるネットワークを他国に先駆けて発足。続いてLGBT+A(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、アライ)のためのネットワーク「Unity」が2013年に発足していたことを考えると、企業風土としてD&Iが着実に醸成されていたのでしょう。
トップダウン式ではなくボトムアップ式で
「現在、日本における公認会計士、税理士という仕事は男性が中心で、2020年の受験者データを見ても女性は25%程度に過ぎません。監査などが始まると数週間お客様先に常駐することも珍しくありません。そのため、出産・育児をしながら働くのは難しく、せっかくのキャリアを諦めてしまう女性メンバーも以前は少なくありませんでした。WindSが発足して以降、女性メンバーのライフステージに合わせたキャリアパスを構築できる環境の実現に向けて、様々な施策を模索したり提案したりしています」
例えば「中抜け制度」もそのひとつです。これは勤務中に育児や介護などの用事をすませるために数時間仕事を抜けることができる制度です。「育児コンシェルジュ」もEY Japanならではの取り組みでしょう。こちらは専門の外注スタッフが週に3回常駐し、日中に育児の悩みを相談できる制度で、コロナ禍の現在はオンラインで対応中です。またベビーシッター利用料補助制度を設けていますが、これもWindSからの要望がきっかけです。。
「EY JapanのD&Iは、ボトムアップの活動がさかんで、社員の間から自然発生的に活動が始まり、それを会社が支援をするという形で進められているのが特長だと思います。私が一番印象に残ったのは、障がい者の方の働きかけにより、東京オフィスの全フロアに自動セキュリティドアを設置したことです。自動セキュリティドアの設置により、障がい者の方々がスムーズに入退室できるようになり、それだけでも一定の成果なのですが、まさか新型コロナウィルス感染拡大防止に自動ドアがこれほど役立つとは思っていませんでした。」
近年、性別に関係なく家事や育児を担うことを当然だと考える層が増加。特に20代~30代前半の若手の男性社員は共働きであることも多く、育児にも積極的なので。EY Japanでは男性社員に対する育児支援にも積極的に取り組んでいます。
カミングアウトしやすい土壌を作る手助けができる喜び
女性の活躍できる環境づくりの実現とともに、LGBT+インクルージョンもEY Japan のD&I活動の柱の一つになっています。LGBT+に関しては、元EY グローバル・バイス・チェアのベス・ブルックがレズビアンであることをカミングアウト、貴田守亮チェアパーソン兼CEOもまたゲイであることをカミングアウト。
「世界でもCEOという立場の人間がカミングアウトしているのは珍しく、D&I活動の追い風になったことは事実です」
集団の中でマイノリティの方は、その事実を隠すことに追われ、自分に自信が持てなかったり、本来の能力を十分発揮できない傾向が強いといわれています。
「貴田がリーダーシップをとっているのを見て、自信を持った方も多いようです。私自身も当事者として自分自身がもっと主役になっていいんだという気持ちを持てるようになりました。また、トランスジェンダー活動家の杉山文野様を招いて講演会を開催したところ、その後に自らカミングアウトした方がおり、カミングアウトしやすい土壌を作る手助けができたのはうれしかったです」
本当の自分でいられ、情熱を傾けることができる仕事を
新型コロナウィルスの感染拡大により、多くの企業が仕事の進め方、あるいは企業のあり方そのものの再考を迫られて、リモートワークをはじめとする新たなワーキングスタイルを模索していますが、EY Japanはどうなのでしょうか。
「コロナ以前からリモートワーク制度はありましたが、長年のワーキングスタイル、またセキュリティ面などの課題もあり、思ったほど普及していなかったのですが、コロナ禍によりクライアントや関係者の理解も進み、社員の意識も変わったことで浸透率は上がりました。なかには畑仕事をしたいという希望を会社に申請し、地方に移住した社員もいます」
これもEY Japanが進める「柔軟な働き方」のひとつの成果といえるかもしれません。
「D&Iの研修やセミナーなどのイベントも、オンラインで開催されるようになったので、会場手配などの負担が少なくなったり、また普段は参加できない地方事務所のメンバーが参加できるようになったりするなど、メリットも多かったです」
最後に就職活動中の読者の方にメッセージをいただきました。
「D&Iを推進するにあたり、ジェンダー、障害、性自認/性表現、性的指向などの単一的なカテゴリーを軸とした施策が足りません。例えば、同じ女性であっても世代、国籍、育児・介護しているか否かによって意識も違うし、ニーズも違います。そのため、多種多様なアイデンティティの交差性、いわゆるインターセクショナリティを考慮した相互に連動できる制度を構築する必要があります。また、企業としての社会活動、例えばLGBT+に関する法整備を支持することを通じて、ソーシャルバリュー(社会的価値)の創出を目指しています。就活生にアドバイスを贈るとするなら、人生の大半を過ごす会社選びには悩むことは多いと思いますが、是非自分の情熱を傾けられること(passion)と自分が得意と思えること(ability)の交差点を探してみてください。そこはきっとあなたが一番輝ける場所になるでしょう。EY Japanは多様な人材が存分に自分らしさを発揮して、早いスピードで専門性を身につけられる環境を提供しています。私たちと一緒にD&Iのリーディングプラクティスの創出に取り組みたい方を歓迎します。」
企業情報:EY JAPAN株式会社