diversity works > 人を知る > 障がいの有無は関係なく、 ひとりの社員として、自然に受け入れてくれる
Update on :2020.11.02

障がいの有無は関係なく、 ひとりの社員として、自然に受け入れてくれる

板崎葉月さん
NTTコミュニケーションズ株式会社
デジタル改革推進部

「将来的には、学生時代に学んだ知識を生かせる仕事をしたい」と、先天性の下肢機能障害がありながら、一般枠での就職を希望した板崎葉月さん。現在はNTTコミュニケーションズのデジタル改革推進部に勤務。日常的に車椅子を使用している板崎さんは、同社の働く環境をどう感じているのでしょうか。

板崎 葉月さん
NTTコミュニケーションズ株式会社 デジタル改革推進部

2019年新卒入社。先天性の下肢機能障害のため車椅子を使用。現在は社内データの分析やコンサルティング業務を担当し、上司や先輩の指導を受けながら日々奮闘中。趣味はヴァイオリン、スポーツ観戦。コロナ禍の中で、最近ピアノを習い始めたという。
 

将来を見据え、自分の可能性を広げられる会社へ就職

 
将来を見据えて、キャリアアップを図れる企業を目指したという


経済学部出身で統計学を専攻していた板崎さんは、その知識を仕事に生かしたいという気持ちを持っていたものの、自分にとって働きやすい環境であるか否かをポイントに就活を進めたそうです。というのも板崎さんは、先天性の下肢機能障害のため、日常的に車椅子を使用しているからです。
「建物がバリアフリーになっているか、多機能トイレの有無、室内の通路は十分の広さがあるのかといったハード面に加え、面接官や先輩社員が、障がい者に対してどう接するのか、そのマインド面も気になりました」
障がい者と一口に言っても、心身機能の障害は、その種類や程度によってさまざまです。だから本人にとって、これから働く空間がバリアフリーになっているかどうかは重要なポイントです。また困っている人に気づくこと、声を掛けることから始まる“心のバリアフリー”は、ハード面よりもハードルが高いとされているので、板崎さんがそこにこだわったのも頷けます。
「ハード面では、バリアフリー構造に対応しているだけでなく、社内に人工芝のようなものが敷かれたスペースがあり、休憩するときはそこに寝転べるのも良かったです。面接担当者も働いている先輩たちも、気軽に声を掛けてくれ、温厚な人が多かったのも気に入りました」
障がいを持っている人の就活は、「障がい者雇用枠」か「一般枠」かを選択することが一般的です。板崎さんは障がいによる制約のない仕事、職種での就職を希望したそうです。
「将来的には学生時代に学んだ知識を生かし、キャリアを築き上げたいと思っていたので、自分の可能性を広げられるかどうかを考慮した会社を選び、その中でも自分が働きやすい会社を選んだ結果、当社にお世話になることを決めました」

寝そべって休憩できるスペースは、板崎さんのお気に入り

 

入社1年目で勉強会を主催

 
現在、板崎さんはデジタル改革推進部に所属。ITを活用したビジネスモデルの変革やそれに伴う業務、組織、企業文化などの変革をするDX(デジタルトランスフォーメーション)を担当する部門です。時代の最先端を行く仕事のひとつとも言われています。その中で、板崎さんは社内データの分析やコンサルティング業務を担当しているそうです。板崎さんも、この配属には驚いたとか。
「専門に勉強した人も多い中で、『まさか自分が』とびっくりしました。いわゆるビッグデータの分析をしているのですが、会社としても取り組み始めたばかりなので、先輩や上司の指導を受けながら、試行錯誤を繰り返しています。トライ&エラーの繰り返しで、思った通りに結果がでないこともありますが、先輩や上司に『よく頑張った』と言われるとうれしいです。入社前は比較的に年齢層が高い方が多いイメージを持っていましたが、実際は入社10年未満の方が多く、頼りになるお兄さんお姉さんという感じなのも気に入っています」
板崎さんは先輩や上司の指導を受ける一方で、社内でデータ分析の活用法をテーマにした勉強会を入社1年目にして主催するなど、業務以外の活動にも積極的に取り組んでいるそうです。
「上司や先輩には、勉強内容もさることながら、話し方やパワーポイントの作り方まで基礎から教わり、何度もリハーサルをしました。入社1年目だったので恐れ多い気持ちもありましたが、終わったときの達成感は格別でした」

障がいの有無にかかわらず、一人の社員として自然に受け入れてくれる社風

 

自然に多様性を受け入れている社風

 
NTTグループは、「人材の多様性を活かし、新たなイノベーションを創出することで、社会的課題の解決を目指す」ことを目的にダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)活動を推進しています。障がい者の雇用機会の拡大、社員の育児・介護を支援するために、企業主導型保育園や事業所内託児所を設置するなど独自の取り組みをしています。板崎さんは、自社のそんな取り組みをどう思っているのでしょうか。
「周囲にも車椅子を使っている方もいますし、時短勤務で子育て中のお母さんもいます。たくさんの外国籍の方が英語で仕事をしています。私のように障がいを持っている方も、そうでない方も何の気負いもなく働ける環境は素晴らしいと思います。現在、コロナ禍でリモートワークが中心になっていますが、仕事には何の支障もありません。だから私が車椅子を使っていることを知らない後輩もいると思います」
同社では産休・育休制度も充実しており、身近な先輩たちが産休・育休制度を取得後に復職をしている姿を見ると、勇気付けられることも多いそうです。
「入社前は不安があったのですが、体調が悪いときや通院するときも1時間単位で有給休暇が取れるので、とっても助かっています」
同社に対しては、入社前は役所体質のお堅いイメージを持っていたそうですが、声を上げると、背中を押してもらえるようなアットホームな雰囲気を持っているところも気に入っているそうです。
「他の企業でも、多様性を認めて障がい者に対して、配慮されていると思いますが、当社の場合は、障がい者だから、健常者だからではなく自然に受け入れているという感じがします」

上司や同僚に囲まれて、お酒を酌み交わすことも

 

自分自身がやりたいと思う仕事を軸に

 
入社して1年が過ぎ、仕事の楽しさを知る反面、難しさも分かってきたそうです。
「データ分析という仕事は、単にデータを分析するだけではなく、元になるデータを収集した背景や、分析結果を欲する理由などを考えたうえで分析する必要があります。そうしないとせっかくの分析結果が役に立たなくなるリスクがあるからです。だから営業を含め関連部門にヒアリングをして、自分自身が考えたうえで分析するよう心掛けています」
新人時代は「先輩や上司から与えられた仕事をこなすのが精一杯」という声も珍しくないだけに、自分の考えをまとめ、仕事に向かい合う板崎さんの姿勢には頭が下がります。

「入社1年目は、自分の中だけで解決しようとし、逆に時間がかかり過ぎて業務が止まり、先輩や同僚に迷惑をかけたこともありました。分からないことは先輩や上司に聞いたり、相談するほうが、結果的に上手くいくことが多々あります。いわゆる『ホウレンソウ(報告・連絡・相談)』の大切さと、周囲の力を借りることの大切さを知りました」
新型コロナウイルスの影響で、現在はリモートワークになり、自宅で過ごすことが増えているそうですが、仕事上、何か変化はあったのでしょうか。
「在宅ワークをしていると障がいで困ることがほとんどなくなり、仕事をする環境の大切さに改めて気づきました。だから、『障がいを持っているから』と気負うことはないと思います。就活は自分自身のやりたいことができる企業を見つける機会でもあります。自分の将来を見据えて頑張ってください」