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Update on :2020.10.23

誰もが平等に、自分らしく働ける環境づくりを目指して

福嶋剛さん
アクセンチュア株式会社
テクノロジー コンサルティング本部

世界で約50万人の従業員数を誇る世界最大級の総合コンサルティング会社、アクセンチュア。同社は長年におけるインクルージョン&ダイバーシティ(以下、I&D)の推進に向けた取り組みを行うリーダー企業として世界的にも評価され、多様な文化、信念、バックグラウンドを持つ社員たちが平等に働ける環境づくりを追求し続けています。多様なバックグラウンドを持つ人々がよりよい働き方を実現するため、LGBTQにまつわるイベントや啓発活動に取り組む福嶋剛さんに同社に入社した理由と、取り組みにかける想いを伺いました。

福嶋 剛さん
アクセンチュア株式会社
テクノロジー コンサルティング本部


2018年に中途採用で入社。人材・組織コンサルタントとして、クラウド人事システムの導入及び保守運用に従事。本業に加え、誰もが働きやすい環境づくりを目指しLGBTQ Ally Committeeにも参画。
 

多様なバックグランドを持つ人たちが
自分らしく働ける職場だと思った

「人のエンゲージメント(愛着心や思い入れ)をもっと高める仕事をしていきたい」という目標を掲げ、福嶋さんが同社へ入社したのは、2018年5月。想いの発端となったのは、LGBTQフレンドリーな会社で自分らしい働き方を体感したことにあるといいます。

「新卒で入社したコンサルティングファームも当社と同様、LGBTQフレンドリーな企業で、自身のセクシュアリティをオープンにして働いている方がたくさんいました。僕自身も、最初はゲイであることをカミングアウトするか迷ったのですが、理解のある先輩や同僚たちに恵まれたこともあり、『ここでなら大丈夫かな?』と思えたんです」

その一方で深く考えるようになったのが、LGBTQの友人たちのこと。

「彼らの多くはセクシュアリティを隠さなければいけないような職場で、精神的なストレスを抱えながら働いていて。当時、仕事で人事領域の案件に携わる機会が増えたこともあり、「その状況をなんとか変えていきたい」、「LGBTQに限らず、多様なバックグラウンドを持つ方ひとりひとりが働きやすい職場環境づくりに関わっていきたい」と強く思うようになっていきました」

人材・組織コンサルタントとしてのステップアップを志し、転職活動を行う中でアクセンチュアを選んだのは、よりよい職場環境を作っていくための仕事ができそうと思えたこと。そして同社で働く知人から「LGBTQに関する社内活動が活発である」という話を聞いていたことが大きかったそう。実際に「ここで働きたい」という決め手となったのは、一次面接で同社を訪れた際に見た社内の光景だったと、福嶋さんは当時を振り返ります。

「アクセンチュアにはLGBTQアライ登録をした方が、レインボーのネックストラップを身につけて自身がアライ(仲間)であることを表明するという文化があるんです。僕が面接を受けた当日もストラップをつけた方とたくさんすれ違って、『理解のある方がこんなにいるんだ!』とすごく感動したんですよね。ここは本質的にLGBTQフレンドリーな会社なんだなと強く実感できたこともあり、面接時は自分のセクシュアリティについても何の戸惑いもなくカミングアウトしました」

アライ登録をすると渡される「LGBTQアライストラップ」。つけているだけで自身がアライであることを表明することができる。
 

インクルージョンが先にあるから
自発的な行動が生まれやすい

現在の部署で福嶋さんが手がけているの業務は、人事業務の改革と、クラウドシステムの導入および、保守運用など。メインで担当するのはタレントマネジメントシステムといわれる従業員の育成にかかわる部分。約30カ国以上のクライアントに対し、導入した人事システムを安定して効率的よく、かつ効果的に使用してもらうための支援も行っているそうです。

「あと、本業とは少しずれるのですが、「LGBTQコミッティ」という社内公認組織での活動もしています。内容はLGBTQに関する社内イベントの企画運営だったり、啓発活動を行ううえでのコンテンツの作成だったり。当社だけではなく「NIJIT」というIT業界のネットワーキンググループや、「プライドハウス東京」、「ReBit」といった外部組織とも連携しながら、様々なイベントや仕組みづくりのお手伝いをさせていただいています」

2014年にLGBTQコミッティが発足する以前からも、ジェンダー、女性活躍、障がいのある方、クロスカルチャー(国籍・民族・宗教といった多文化理解)などの課題に取り組む社内組織が存在。個々の活動だけではなく、それぞれのチームとのコラボレーションを交えながら、多様なバックグラウンドを持つ人同士々がともに働きやすい組織を作っていくための啓発活動やイベントなどが行われているといいます。

同社のダイバーシティにおける取り組みの特徴として注目したいのは、「ダイバーシティ&インクルージョン」(D&I)ではなく、「インクルージョン&ダイバーシティ」(I&D)、すなわちインクルージョンが先にあるという考え方。

「I&Dの活動をしていくうえで「#InclusionStartWithI」というハッシュタグがあるんです。簡単に訳すると「私から始めるインクルージョン」という感じですね。これは自分自身で「何から始めてインクルージョンしていくのか」ということを自発的に考え、活動していくための仕組みづくりの一環。LGBTQに特化したものを例に挙げますと「LGBTQってそもそも何だっけ」とか「アライの目的や具体的な行動は?」とか。僕たちが毎月LGBTQに関するイベントを行っているのは、その理解を深めるためでもあるんです」

2019年のLGBTQイベントの様子。LGBTQコミッティの運営には新卒から役員クラスまで、職種もコンサルタントやエンジニア、人事など、幅広いメンバーが参加。多様な年次やバックグラウンドを持つ人材同士の理解を深める機会にもなっているほか、新たなネットワーキンググループの誕生にもつながっているという。
 

LGBTQ=特別ではなく、
当たり前の存在だと思われるように

イベントなどを通じてLGBTQに関する理解を届ける一方で、多くの人に誤解を与えないよう毎回声を大にして伝えている部分が2つあるといいます。そのひとつは、決してLGBTQを特別扱いしてもらいたいわけではないということ。

もうひとつは、LGBTQの社員に対してカミングアウトを促しているわけではないということ。タイミングはその人自身の判断で。「心から『カミングアウトしてもいい』と思った時に、不安を感じずに済む環境を作りたい」と福嶋さん。その人自身の生き方を尊重し、その人らしい働き方を選んでいける。理想とする職場のあり方の一端は、すでに彼自身がアクセンチュアで体感できているといいます。

「僕自身、周囲から特別視されているという感覚はあまり持ってないんです。ゲイというのは自分のひとつの個性であり、長所と捉えてもらっているような感じといいますか。社内制度についても、「LGBTQの社員たちのみ使える」という切り口で設けられているものが存在しないんです。あくまで「いち社員のためにこういう制度を設けていて、それぞれ自由に使える権利と選択肢があります」という方針。そういうフラットな部分も当社の良さですね」

誰もが平等に、より働きやすい環境を作っていくための活動を通じ、多様な社員たちと交流を深めていく過程ではたくさんの気づきがあったそう。特にLGBTQ以外のマイノリティの人たちへの視野が広がったことは、自身にとって大きな成長のひとつに。同時に改めて実感したのは「それぞれの当事者が自身のことを発信しあい、互いにアライとして連携しあうこと」の大切さと、その意味。

「会社という組織で働く中で、何らかの壁や不安要素に直面する時があっても、それらを伝えられないままだと、いざ困った時に周囲に気付いてもらえないし、フォローするための連携も難しくなってしまう。だからこそ「自分が困っていること」や「壁にぶつかったときの乗り越え方」などを発信し合っておく必要があると感じました。お互いの困っていることを知り合うことは、助け合う方法を見つけることにもつながると思うんです」

アクセンチュアには、立場や年齢に関係なく全員がとことん考え抜き、素直に意見を発することが歓迎される”Think Straight, Talk Straight”という文化も。声を上げれば周囲が助けてくれたり、新しい取り組みへの挑戦も積極的にサポートしてくれる。
 

I&Dの課題を自分事として
考えてもらえる未来へ

アクセンチュアのLGBTQコミッティの活動のキャッチフレーズは「あなたらしさ、あなたらしい考え、あなたらしい行動が世界を変える」。会社としての明確な姿勢を提示していることも、社員の方々が自発的にI&Dについて考える空気を生み出している一因のように思えます。ただ、福嶋さんの実感値としては「まだLGBTQと聞くと、ちょっと構えてしまうところがある」とも感じているそうです。

「これは社内だけでなく日本全国である話。なので、一方的に『LGBTQのことを知ってください!』という情報を発信するのでなく、当事者にまつわる背景やイベントの目的をより明確に伝えるなどして、どうすれば多くの社員に自分事として考えてもらえるかを考えて行動するようにしています。LGBTQと聞いた時に「身近にいることが当たり前だよね」「うちの会社いるよ」と自然に受け入れてもらえる風潮を作っていくことが、今の目標であり、課題のひとつでもあります」

東京だけに集中しがちなLGBTQの活動の輪を、全国に広げていくことも新たな目標のひとつ。不幸中の幸いとなったのは、コロナの影響で会社やそれぞれのコミッティが運営するイベントはすべてオンラインになったこと。そのおかげで、「今までLGBTQ関連のイベントを行うことができなかった地域の方も参加しやすくなりました」と福嶋さんは目を輝かせます。

 
ここまで話をお聞きしただけでもアクセンチュアがいかに多様性への理解と、社員の自主性を後押しする企業であるかが伝わってきます。同社でやりがいを持って働くにはどのような目標を持ち、働き方を望む方が向いているのでしょうか?

「一概にこうとは言えないのですが、僕の実感値としてはリスクや失敗を恐れずに、自身の目標に向けて取り組んでいく姿勢の社員が多いと感じています。なので、チャレンジ精神が旺盛な方ですと、より楽しく働けるのではないでしょうか。常に自分が置かれている状況より一歩二歩先のことを求められるような社風がある一方で、やりたいことがあればどんどん背中を押してくれますし。根底にあるのが、どんな挑戦であっても業務に対して何かしらのメリットがあるという考えなので、本人のやりたいことを大事にしてくれる。幅広い業務を通じて自分のやりたいことを見つけていける遊園地のような組織です」

国内外にコミュニティやネットワークがあるだけではなく、周囲にも挑戦する人が多い。常に刺激にあふれている同社では、自然といろいろな角度から物事を見つめる視点が身につくことでしょう。

最後に「こう生きたい」を軸に仕事を選びたいZ世代へ向けて、自分らしい仕事を探すうえでのアドバイスを伺いました。

「仕事はこれからの人生で大半の時間を費やすものです。自分らしい仕事を選ぶためには、まず自分が何をやりたいのかをじっくり考えてみてください。内容は営業でも制作でも接客でもなんでもいいでのですが、特に大切にしていただきたいのは「自分が何を仕事にしていきたいのか」という部分。仕事だからといって無理をしてしまうと、心身共に疲れて働くこと自体が嫌になってしまいますからね。そして、常に忘れてほしくないのは、あなたらしさを大事にするということ。もちろんセクシュアリティのことも含め、隠したい部分は無理に出さなくていいですよ。あなたが感じることや考えることに嘘をつかずに働ける。自分らしく生きていくためにも、そんな環境の職場を選んでほしいと思います」