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Update on :2020.10.20

立ち位置を変えることで見える世界が変わり、意識が変わる

佐野友香里さん
NTTコムウェア株式会社
総務人事部人事部門採用担当

NTTコムウェアは社会基盤としての情報通信インフラを提供するNTTグループの一員として、ICTの分野を中心にシステムインテグレータの枠を超えて情報通信サービスを提供する会社です。今回はNTTコムウェア総務人事部の佐野友香里さんにお話を伺いました。

佐野友香里 さん
NTTコムウェア総務人事部人事部門採用担当

2014年NTTコムウェア入社。仮想化関連サービスの構築・運用に従事したのち、2020年3月から現職。

人事に異動して意識するようになった“社会の目”

 

 
現在、総務人事部で新卒採用に携わる佐野友香里さん。新卒入社後は仮想デスクトップ等、テレワークで利用できる仮想環境の構築・運用の仕事を行っていました。入社当初は、D&Iについてあまり知識はなく、自社がD&Iを推進している認識もなかったと言います。

そんな佐野さんの転機は、視野を広げるためレイヤーの違う仕事をしてみたいという希望がかない、総務人事部に異動になったこと。

「最初は全く異なる分野ということで驚きがありましたが、人事に異動して半年がたった今、とても楽しさを感じています。それまでと違う業務について、見る視点や立ち位置が変わり、自社がどう見られているかという意識が強くなっています。それまでも技術系の業務の中でお客様の目を意識することはあったのですが、今は就活生を通して、さらにその先にある社会の目というものを感じるようになりました」

そんな佐野さんがD&Iを意識したきっかけは、3年前、パートナーシップのあり方の模索を通して、自分の中にあるマイノリティ性に気づいたことでした。

「私自身がいわゆる一般的な一夫一婦の結婚に疑問やしっくりこない部分を感じるようになったんです。そこから、それとは異なる生き方をしている人たちの事例を調べるようになりました。もし自分が多数派ではない結婚の形を選んだときに、会社ではどのような手続きがあるのか、どう扱われるのかを調べて、結果同じように扱われるので特に問題はないとわかって安心しました。その経験を通して、自分のマイノリティ性というものに気づいて、意識するようになりましたね」

 

面倒見の良い会社だから、安心して働ける

 

リモート勤務の様子
NTTコムウェアの風土を、佐野さんは「面倒見のいい会社」という言葉で表現します。研修制度が充実し、研鑽を積むことに対して周囲が理解しフォローしてくれる雰囲気があるといいます。

「新人のときに感じたのは、チームみんなが一丸となって仕事をする風土です。一人が突出した能力を発揮するのではなく、チーム全体のレベルを上げていくという理念を感じました。2年間は育成期間とされ、現場OJTのほかに全社集合型の新入社員研修が数回行われます。そのあとも定期的に研修案内が来るなど研修制度がしっかりしていて、興味のあるベンダーの研修も受けられたり、業務の中で研修に行くことができて自己研鑽を積むことができる環境があります。そのために周りもフォローアップしてくれます」

そんな「面倒見の良さ」は働きやすい環境づくりにも現れています。そもそも佐野さんが当初従事していた仮想デスクトップサービスの業務も、リモートで働くための環境づくりの一環。その自社で構築しているシステムをつかって、新型コロナウイルス流行下でも、スムーズに在宅勤務に切り替えることができたといいます。

「自社で構築しているシステムでスムーズに在宅勤務に切り替えることができました。現在は、必要ない限りは在宅勤務となっています。私の先月の出勤は2回だけでした。こういった状況になる前も、育児中の方などがテレワークを利用していたので移行は楽でしたね。また、面接などもオンラインへの切り替えができ、ノンストップで新卒採用を進めることができました」

育児中の社員の時短勤務にもフレキシブルに対応し、福利厚生の適用も法的に認められない点を除いてはパートナーシップの形態に左右されません。「有休・育休も周りに気兼ねすることはない、当たり前のことを当たり前にしているだけ」と佐野さんは語ります。

「育児中の方は時短勤務制度が利用でき、フルタイムの7.5時間から6時間、4時間など本人の希望に合わせて勤務時間を選ぶことができます。保育園のお迎えがある方などが利用されています。育休や有休も制度に定められた取得条件や取得可能日数等に従って、必要な人が必要なだけとることができます。一般に問題になっている、周りの目が気になったり、負い目を感じたりするというプレッシャーはないとは言いませんが、比較的感じにくい環境ではないでしょうか。福利厚生の制度も、法律婚、事実婚、あるいは結婚しない、パートナーの異性・同性の区別もなく適用されています。何か特別なことをやっているという意識はなく、当たり前のことを当たり前にやっている。そういうスタンスです」

 

社会の変化に合わせた研修、社内にもいい影響が出た

 

 
NTTグループは、インフラを提供する企業として、社会貢献に携わってきた歴史があります。グループ全体で、世の中の流れや課題を受け入れようという風土が醸成されており、各種人権研修なども整備されています。佐野さんが入社して7年、実際に世の中の流れに沿って社内も変化している実感があるそうです。

「LGBT研修やハラスメント研修など様々な研修を受けてきて印象に残っていることがあります。過去にジェンダーやセクシュアリティに関する不適切な発言を耳にすることがありましたが、その後の研修の中で年を追うごとに不適切な発言が減ってきていることです。社会の変化を取り入れて推進していこうという風潮の表れだと思います」

今後のLGBT施策の推進としては、カミングアウトしてもしなくても心理的に安全だと感じられる職場づくりが目標の一つです。

「もともとLGBTの方がいることが当たり前の環境で育ってきたので、誰もカミングアウトしていない状況は、何らかの課題があると認識しています。全員がカミングアウトする必要はもちろんないですが、カミングアウトしてもしなくても心理的安全性を感じられる環境を作っていきたいですね」

新卒採用の場面では、事業面だけではなくD&IやCSRの取り組みについても丁寧に伝え、属性や特性の違いに関わらず自分らしいキャリアを歩んでいけることを伝えています。

「就活生に向けても、働く上で差別がないことは積極的に伝えていきたいと考えています。かつては女性というだけで制約があったと思いますが、ジェンダーに関わらず、ライフイベントを考慮して自分自身のキャリアを歩んでいけると伝えています」

 

固定観念排して多様性生かす視点大事に

 
最後に、「自分らしく働く」をキーワードに就職活動をしている学生、若者に向けてのメッセージを伺いました。ビジネスが多様化している今、それに対応できる「多様性」を生かせる人材が求められている、と佐野さんは語ります。

「私たちに限らず、企業は多様性を求めています。今日、ビジネスのスタイルや求められているものは多様化していて、そこに対応していくには、多様性を生かすことが大切。業務外のところで視野を広げたり多様性に触れたりして、仕事に活かしていける能力が求められていると思います。私も先入観や固定観念なしにいろいろな個性の人がいるという前提で採用活動に向き合っています」

固定観念を排して多様性を生かしていくスタイルが、次の時代のキャリア形成には欠かせないものだといえます。