昨今DE&I推進に努める企業が増えていますが、それは特定の誰かの力だけで実現できるものではありません。社員一人一人が理解し、共感し、行動することの大切さについて、ユニリーバ・ジャパンの小野菜生さん、ジョンソン・エンド・ジョンソンの奥山千晶さん、デロイト トーマツ グループの堀口耀さんにお伺いしました。
(薬師)トークセッション「自分らしく働く職場をつくる~DE&Iアライの取り組みとは~」始めていきたいと思います。私はファシリテーターを務めます薬師実芳です。職場の中でダイバーシティエクイティ&インクルージョン、多様性、公平性と包摂を進めていく上で、それっていきなりできるものというよりも1人1人が文化として積み上げていったり、推進していくことで実現されていくものだと思います。今日はそれを推進されている皆様に来ていただいて、お話をしていただきたいなと思っています。DE&Iのご担当者として職場での推進を担っている皆さんと、ERGをリードされている皆様の両方に来ていただいて、ご自身がどのようにDE&Iを進めていらっしゃるのかを聞いていければと思っています。
ユニリーバの小野菜生さまよろしくお願いします。そしてジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ、奥山千晶さまお願いいたします。そしてデロイト トーマツ グループ、堀口耀さまよろしくお願いいたします。
まずはご自身の自己紹介と会社の中でどのようにDE&I推進をしているのかを、プレゼンテーションでお話いただければと思います。まずは小野さんからよろしくお願いいたします。
(小野)改めまして皆さん、ユニリーバジャパン人事部の小野菜生と申します。ユニリーバは世界最大級の消費材メーカーで、実は毎日34億人もの消費者の皆様に、弊社の製品をご利用いただいております。ラックスやダヴといったところは、皆さんも聞いていただいたことがあるのではないかなと思っています。その中で私は、HRBPとしてマーケティングやファイナンスの人事戦略の立案や実行を担当させていただいています。そこと兼務するかたちで、エクイティ、ダイバーシティ&インクルージョンのリードもさせていただいています。
実はユニリーバが3社目なのですが、これまでにもI&Dにパッションを持って取り組んできました。弊社では社員1人1人が自分だけのパーパスを持って働いているのですが、私のパーパスは「関わる人がマジックを発揮できるチアリーダー的存在であること」。私は自分の強みややりたいことを「マジック」と定義づけているのですが、それを発揮できる存在であること、いることを私自身のパーパスとしています。
私は転勤族で、小学校に4校行って高校も2校行ったり、関西弁と標準語のバイリンガルということで、家ではゴリゴリの関西弁だったりします(笑)。帰国子女で小学校から高校までアメリカにいたりもしたのですが、その後弟がオーストラリア、両親がシンガポールとインドネシアなど、拠点が様々なところにありました。兄弟構成としては兄と弟がいて、中間子です。あと自分自身はドキュメンタリーがすごく好きで、様々な方のストーリーや生き様に触れるのが好きなので、ED&Iとも共感する部分があるのかなと思っています。
ユニリーバのERGの取り組みについて、少し皆さんに紹介させて頂きます。弊社は2010年から本格的にEDIアジェンダに取り組んでいるのですが、これまではグローバルと連携しながら推進してきました。2022年大きな組織変更があり、新体制となったタイミングで改めてジャパンとしてもこの取り組みの重要性を認識して、活動を加速する為ERGグループであるこの「ProUd squad」を2022年の10月に立ち上げました。それぞれの想いや目的を持った有志が集まり、戦略立案からエクスキューションまでを行っています。ユニリーバで働いている社員の皆様1人1人が、自分に、同僚に、ユニリーバに、最終的には社会にまで、誇りを持てるよう、取り組みを行っていきます。
これまで1年間にやったことを共有させていただきたいと思います。国際女性デーでは女性社員に誇りに思う事を動画として撮って頂いたビデオ配信や、オリジナルチームス背景を使っていただくことを推奨することを通して、アウェアネス活動を行いました。また、高校生に向けて無意識バイアスのワークショップを実施し、たくさんのポジティブな反応を頂くことを通して、社外への啓発活動もできたのではないかと感じています。
東京レインボーパレードではユニリーバ・ジャパンとしては初めて参加させていただきました。プラウドをテーマとして、来場した方に「自分自身が一番誇りに思うこと」を共有頂くという、インタラクティブなブースにしました。
一番最近の取り組みとしては、ペアレンツデー。今ワーキングペアレンツの方これからワーキングペアレンツになりたい方、自分の両親にもう一回感謝する時間が欲しい方など、“両親”をテーマに集まりました。家族トークをしたり自分のお子さんのお気に入りだった本を交換したり、余った本はNPOに寄付したり自己肯定感のワークショップについての案内をしたり。また、忙しいワーキングペアレンツや忙しいユニリーバ社員に向けて、サステナブルシューズを買えるような展示販売も行いました。“両親”や“家族”といった誰もが身近に感じるテーマで大盛り上がりのイベントとなりました。
私たちProUd squadは、これからもより【プラウドな社会】を目指し、ユニリーバからムーブメントを起こしていきたいと思っております。
(薬師)小野さんありがとうございます。素晴らしいプレゼンテーションでした。小野さんはダイバーシティを職場で推進するご担当もされているし、社員の皆さんのチームもリードされているということで、「すごいな」「多角的に取り組まれているんだな」と思いながら聞いていました。どうもありがとうございます。続きまして堀口様お願いできますでしょうか。
(堀口)はい、よろしくお願いいたします。私は管理職のひとつ手前のシニアコンサルタントで、今日はデロイト トーマツ コンサルティングのDEI担当としてお話させていただければと思っております。コンサルタントとしての元々の専門領域は、人事の業務効率化や、人事システム導入などを、人事コンサルティングの一環として他社様へご提案するといった分野でしたが、社内公募制度を利用して異動し、今はDEI推進をメインとして担当しております。新卒時から「会社にとって人が一番大切だな」「誰もが楽しく働ける環境づくりをしたいな」と考え、人事コンサルタントになりたいと考えていました。
キャリアジャーニーとしては、まず新卒で日系コンサルティングファームに入社しました。そこでしばらく人事の業務効率化やシステム導入を担当し、今の会社に転職しました。転職して最初のうちは、人事システム導入をメインで担当しており、グローバル案件など面白い案件にも関与していたのですが、子どもの誕生に伴って育児休業を取得。私は、妻より長い1年2ヵ月の育児休業を経て、子どもが保育園に入ったところで復職しました。復職後はDEIに携わりたいという思いから社内公募制度を利用してDEIに異動し、今1年ちょっと経ったところです。今は自社のDEIカルチャー醸成に務めています。
デロイト トーマツ グループのDEI推進をお伝えするにあたり、まずは、私たちがどういったところを意識してDEI推進に取り組んでいるのかをお伝えできればと思います。デロイト トーマツ グループ全体として、ここ数年「平等/Equality」だけでなく「公平/Equity」を目指しましょうということを非常に強く意識しています。元々当グループは平等の意識はとても高かったのですが、その平等は日本社会においてはやはりマジョリティ目線、性別でいうと男性目線の平等だったりするので、一部の人にとっては自分らしく働くにはまだ足りないという課題意識から、まずは中央の図である公平を目指しました。最終的には平等も公平も両方実現して、構造的なバリアが全部とりのぞかれた右側の図を目指しましょうということを、ここ数年は意識してDEI推進に取り組んでいます。
デロイト トーマツ グループ全体で様々な角度からDEI推進活動に取り組んでいますが、その中でも私はグループ内のインクルーシブな風土の醸成に関する部分をメインで担当しています。社内のカルチャーを更にDEI推進が盛んなカルチャーに変えていきましょうと、あるべき・目指すべき姿を経営層と議論してその内容を発信したり、全社トレーニングを企画・実施したり、ナレッジシェアしたりというところを具体的な活動として、ここ1年行ってきております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
(薬師)どうもありがとうございました。続きまして奥山様、よろしくお願いいたします。
(奥山)はい、よろしくお願いします。改めましてジョンソン・エンド・ジョンソンの奥山千晶と申します。簡単に私の自己紹介をさせていただきます。
私は2009年に新卒でITの会社にシステムエンジニアとして入社しました。その当時からお客さんとして製薬メーカーやヘルスケアメーカーのシステム開発や運用に携わっていました。それをきっかけに2013年にジョンソン・エンド・ジョンソンのメディカル カンパニーに中途で入社しました。ジョンソン・エンド・ジョンソンは色々な事業領域を持っているのですが、その中でも医療機器を扱う部門におりまして、今は不整脈治療を行う医療機器を販売する部門のマーケティングにおります。入社してからずっとその部門におります。
市場分析や新製品のローンチ等を行ったあとに結婚をして、夫が海外に駐在することになってしまったので、やむなく退職というかたちになりました。海外にいる間にコロナ禍が始まって、海外での生活を続けられなくなって日本に帰国しまして、もう一度ジョンソン・エンド・ジョンソンの同じ部門に再入社いたします。現在はQuality&Process Managementというチームで、新製品を含む製品に対する変更管理のプロセスや事業部内のコンプランスを管理しています。
そちらが私の本業になりますが、なぜ私がこの場にお呼ばれしたかというと、実は私は会社の中のLGBTQ+に関するERGである「Open&Out」のリードをしております。実は本格的に参画したのは最近で、2021年から参画いたしました。昨年から全体のリードに就任いたしまして、グループ全体の運営や管理を行っています。
Open&Outとしては、各地のプライドイベントにジョンソン・エンド・ジョンソンとして協賛したり参画したりメンバーを集めて歩いたりといったところの企画、それから社員に向けて定期的なトレーニングを行ったり、プライド月間など記念日の際にはイベントを行って外部のゲストスピーカーをお呼びして講演会やパネルディスカッションを開催しております。
ReBitさんとも協業を行っておりまして、一緒に教育機関さんに出向いて、出張授業を行わせていただいております。LGBTQ+に関するERGに所属はしているのですが、シスジェンダーであり、アライとして活動させていただいております。帰国子女であったり、アメリカの大学を出ていたり、子どももおりますのでワーキングマザーであったりと、色んな属性を持っております。本日はよろしくお願いいたします。
(後編へ)