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Update on :2021.10.01

日常的に多様性を受け入れる風通しの良い職場環境

津野沙也香さん
モルガン・スタンレー
株式統括本部

10代から欧米で生活し、現在は日本のモルガン・スタンレーで働く津野さん。女性として、また帰国子女として一般的にはマイノリティと捉えられがちな立場でも、モルガン・スタンレーでは自分らしくいられ、また多様性を尊重する企業文化を感じられるという。ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)に対するモルガン・スタンレー、また津野さん自身の取り組みをうかがった。

津野沙也香(つの さやか)さん

米Barnard College卒業後、2015年に日本のモルガン・スタンレーに新卒で入社。株式統括本部にてセールス業務を担当し、2021年1月にVice Presidentに昇進。入社当初から社員ネットワークの1つであるWomen’s Business Allianceのコアメンバーとして活動し、2021年からは共同代表としてイベントの企画・運営に携わっている。
 

風通しの良い職場環境に惹かれ、モルガン・スタンレーへ

 
小学校低学年まで日本で過ごし、その後、親の転勤でニュージャージーとロンドンで過ごした津野さん。そのままニューヨークの女子大に進学したが、就職は日本でしたいと思ったという。モルガン・スタンレーの日本法人(東京のオフィス)でのサマーインターンシッププログラムに参加し、同プログラムを通じて会社の雰囲気や実務に惹かれ、入社を決意した。

「学生のときは同年代との交流が多いですが、社会人になるといろいろな年代の人と関わる機会が増えます。日本の会社は上下関係に厳しいイメージがありましたが、モルガン・スタンレーは非常にフラットな環境で、誰に対しても対等に話すことができました。役職に関係なく、すべての人の意見が尊重されていると思います」

大学では有機化学を専攻していた津野さんだが、就職先に金融業界を選んだのには、さまざまな理由がある。

「有機化学は、実験や研究を繰り返し、結果がでるまでの時間軸が長い学問だという印象を受けました。私は、仕事には自分の成果を比較的短い時間軸で見出せる業界を選びたいと考えていました」

コロンビア大学の日本経済研究所でインターンをしていたことや、語学力が生かせる業界だと感じたこともあって、金融業界を選んだ。

「金融業界では、仕事を通じて様々な業界のことを学べると感じました。常に新たな情報を取り入れ、様々な観点から世の中の出来事を評価し、それを仕事上の提案に反映できる事に面白みを感じます」


津野さんは入社以来、株式統括本部で日本の金融機関に投資商品を提案するセールス・チームに所属している。

「今の業務の醍醐味は、自分からクリエイティブにアプローチできることだと思います。お客様のニーズを理解し、それを基にどの様に広範にマーケティングし、かつ差別化された商品を提案していくかをチームで日々考えています」

5つのコア・バリューを軸にチーム一丸となって進める風土


モルガン・スタンレーには5つのコア・バリュー(企業指針)がある。

「外資系金融機関は転職者が多いと思われがちですが、モルガン・スタンレーでは、勤続年数が長い社員が多く、また、5つのコア・バリューを体現している人が多いのも特徴だと思います」

<モルガン・スタンレー 企業指針>
・正しいことをする
・顧客を第一に
・卓越したアイディアで主導
・ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメント
・還元する

上記のうち、「ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメント」は最も新しく加えられたものだ。

「チームでお互い助けあいながらビジネスを進める風土があります。お互いの信頼を得るために、仕事以外の話もたくさんして、チームの関係性を高めています。誕生日や昇進をみんなでお祝いして喜びを分かち合うなど、社員同士の連帯感を高められる職場です。」

また、会社からは勤続年数により贈られるお祝いもあるという。津野さんも、コロナ禍の中、オンラインで勤続5年の祝福を受けた。

 

部外の人ともつながる制度で視野を広げる

 
津野さんも活用しているモルガン・スタンレーの制度に「メンター制度」がある。

「メンターをしてもらう側とする側の双方で制度を活用しています。私のメンターは同じ部内の方で、私がメンターをしているのは、違う部署の入社2年目の社員です」

メンターは「この人にお願いしたい」と自分で希望することもできるし、「この人はどう?」と提案されることもある。

「アドバイスを受けることも、与えることも、自分のキャリアを2倍考えることになります。自分の業務や経験だけでは視野が狭くなりがちなので、他の方と話すことで、新たな視点や情報を得る機会にもなります」

さまざまな社内の人と話す機会、という点では、モルガン・スタンレーには「コーヒーコネクト」という社員のネットワークを促進するためのユニークな制度もある。自分のプロフィールやどんな人と話したいかなどをシステムに登録すると、同じ目的や関心を持つ人とつながることができる制度だ。

「海外オフィスの人と繋がることも可能で、国を超えて色々な同僚と知り合えます。まったく接点のない人に自分からメールするのは難しいですが、このプラットフォームを通して繋がる機会を提供してくれる点が魅力的です。」

 

日常的に多様性を受け入れる雰囲気がある

 
以前からD&Iに力を入れてきたモルガン・スタンレーだが、特に最近は社長やシニアマネジメントからD&Iに関する話題がより頻繁に発信されるようになった影響もあり、現場レベルでの浸透が加速している。

「D&Iの意義は何なのか、1つの正解に収まらない問いですが、社員一人一人がそれぞれ考えていると思います」

選考プロセスにおいても候補者に対してD&Iに対する考えを聞いたり、採用の際には、性別だけでなく、バックグラウンドや学歴で偏りがないか確認したりしているという。

「日常的に多様性を受け入れている感じがします。例えば、今の私のチームは、英語圏での生活経験がある人が少なく、一緒に働く上で私とは考え方や価値観の違いが生まれることがあります。それでも、その違いを無理に隠したり、押し込めたりすることなく、遠慮なく自分の意見を言える雰囲気があります」

D&Iへの取り組みのひとつとして、モルガン・スタンレーには、以下4つの社員ネットワークがる。

・Family Network(家族)
・Women’s Business Alliance(女性)
・disABILITY Network(障がい者)
・Pride & Allies Network (LGBT+)

津野さんは、Women’s Business Alliance(以下、WBA)の共同代表を務める。WBAは、モルガン・スタンレーが優秀な女性に選ばれ続ける会社であるために、魅力的な人材を惹きつけ、育成し、成長させることを目的に設立されたネットワーク。現在は、女性だけでなく男性のメンバーも在籍し、ビジネスにおけるダイバーシティの重要性の促進、仕事とプライベートの両立支援など、女性の活躍推進というテーマのみならず、全ての従業員のキャリア構築に必要な気づきを得るためのイベントの運営・企画などを行っている。


「私が通っていた大学はニューヨークにある女子大で、かなりリベラルな校風でした。そのため、日本に帰国した際には逆カルチャーショックを受けてしまいました」

自分が当たり前と思っている価値観が日本では当たり前ではない。例えば、日本のレストランでは「女性におすすめのメニュー」や「レディースセット」などが当然のようにある等、女性に対してのバイアスを感じる場面があったという。そんな中、入社当時から所属しているWBAでは、自身の価値観を分かち合える同僚に出会えたと感じている。

「様々な部署の女性社員と知り合うことができるので、私にとってのひとつの居場所になりました。」

WBAの具体的な活動のひとつとしてキャリアをテーマにしたトークイベントを開催しており、社外の方を招くこともある。

「最近イベントで招いたのは、男性で育休を取得し、その経験に基づいて本を出版された方です。そもそも女性が育休を取得しても注目されないのに、なぜ男性だと本も出せるのか、といったところからお話をしていただきました」

 

「こう生きたい」も変わっていく。他の人を気にせずフレキシブルに

 
最後に、「こう生きたい」を軸に仕事を選びたいZ世代へメッセージをいただいた。

「いろいろなシニアリーダーの話を伺って共通しているのは、キャリアパスはみんな違うということです。学生の頃や若い頃に描いていたとおりのキャリアを歩んでいる人は少なく、人生は計画どおりにはいかない。その都度、人生の方向が変わってもいいんだよ、というアドバイスをよくいただきます。

会社に入社すると昇進というキャリアアップ、つまりはしごを登っていくイメージをされる方も多いかもしれないですが、海外に行ったり異動したり転職したり、キャリアはさまざまです。ロールモデルや同僚はひとつのものさしでしかなく、それぞれ大事にしていることは一人ひとり違うので、他の人を気にしなくてもいいと思います。自分を取り巻く環境も変わっていくので、自分の「こう生きたい」も変わってよいはずです。柔軟に「自分は自分」という軸を強くもつことを大事にしてください」