diversity works > テーマを知る > 自分らしく働く職場を創る。「私」から始めるダイバーシティ推進(前編)
Update on :2023.08.30

自分らしく働く職場を創る。「私」から始めるダイバーシティ推進(前編)

個人の思いが会社を動かすという概念であるDE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)に関しては「私」から制度や環境が作られる事が決して珍しくはありません。今回は職場で実際にDE&Iを推進し続けている3人の方にお話を伺いました。
(2022年10月30日配信。動画はこちら


(藥師)このトークセッションでは、自分らしく働く職場をつくる、ダイバーシティ・エクイティそしてインクルージョン(以下DE&I)、アライの取り組みとは?をテーマにお話を聞いていければと思います。

ダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(包摂)が進んでいる職場で働きたいという声をたくさん聞きますが、実はDE&Iとは誰かが作るというよりも働き手である自分が一緒に作っていくという事がすごく大事だなと思っています。

今日は職場の中でDE&Iを推進してきた皆様に、ご自身にとってDE&Iとはどういうことなのか、取り組む中での変化についてお話を聞いていきます。

モルガン・スタンレーより梅津香織さん、EY Japanより川﨑武史さん、そしてジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループより古屋有紀さん、この3名の皆様にお話を伺います。今日はよろしくお願い致します。

(梅津・川﨑・古屋)よろしくお願いします。

(藥師)早速、梅津さんから自己紹介と、御社ではどのようなダイバーシティの取り組みをされているのかお話し頂けますでしょうか?

梅津香織さん
モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社
取締役兼チーフ・ファイナンシャル・オフィサー


1997年に入社し、2021年4月、日本におけるモルガン・スタンレーの最高財務責任者に就任。東京のPride&Alliesネットワーク立ち上げ時にシニアスポンサーとして参画。現在はグローバルファイナンスD&Iカウンシルメンバーも務める。二児の母。

 

多様なバックグラウンドを持つ社員と共に


(梅津)モルガン・スタンレーの梅津です。まず、自己紹介として自分の入社に至るまでの経緯を少しお話ししようと思います。

私は1997年入社です。26、7年前に就職活動をしていたのですが、その時の話で少しヒントになる事があればいいかなと思っています。そのころの就職活動中、女性がどういった感じだったのかと申し上げますと、女性総合職の方はもちろんいらっしゃいました。ですが間口は広くはなく、いわゆるスーパーウーマンみたいな非常に優秀な一部の方々のお話で、多くの人はいわゆる一般職という仕事に就くという時代でした。

私も周りの流れに沿って就職活動をしておりました。当時の外資系金融はまだ新卒の応募人数というのも非常に少なかったです。

業界や業種、会社を調べている時に、たまたまモルガン・スタンレーを知りました。そして人事部に問い合わせたところ、今でいうジョブ型採用、部門別採用をしています、と言われました。部門別採用って何だろう?その時の私の常識には無い言葉だったので、外資系金融に勤めている友人の知り合いにお話を伺いました。

私は元々内向的なタイプだと思っていたので、友達の友達を探して話を聞くのは、当時の私にとってはすごく大きなステップでした。その時に経理部なら全ての会社にあるから、キャリアになっていいと思うよと言われて、なるほど!ととても納得しました。

そこで経理部の一般職の仕事に応募したいですと言ったら、プロフェッショナル職しかありませんと言われて、何かちょっとよく解らなかったのですがそれでお願いします、と言ったところが面接へのスタートでした。

入社すると、そこはもうまさに英語の世界。本当にカルチャーショックでした。小学校高学年からずっと日本の学校に行っていましたのでいきなりパソコンもメールも全部英語設定で、書類も英語で、皆さん英語ペラペラで早口で、非常に聞き取り難くて、いわゆる学生から社会人へのシフトに加えて、日本語から英語へシフトするのが今思い出しても結構大変でした。

この時に「私このままやっていけるのかな、いやいやいや石の上にも3年でしょ」と自分を奮い立たせて頑張った記憶があります。ただ結果的には25年いられたので、モルガン・スタンレーという選択肢は本当に良かったと思っております。

入社の同期もすごく大切で、現在在籍している同期は全員女性です。海外オフィスで働いている同期もいますし、仕事以外でも趣味が高じてプロ級の人もいて非常に魅力的で頼もしい同期に囲まれております。

外資系金融の良さとしては、海外の学校を卒業、日本の学校を卒業、日本語を話せる人、日本語を話せない人、多様なバックグラウンドを持った社員が一緒に働けるというところですね。

あとモルガン・スタンレーは、東京オフィスもそうなのですが、私のように20年30年選手もおりますし、中途採用で入って来られた方もたくさんいらっしゃいます。社歴に関わらずみんなが企業指針、弊社ではコアバリューと言っていますが、企業指針に沿って企業文化に貢献していくことが期待されていますし、求められています。

(藥師)梅津さん、どうもありがとうございました。ご自身のキャリアの入口についてもお話いただけてすごく嬉しいなと思います。続きまして川﨑さんお願いできますでしょうか?

 

川﨑武史さん
EY Japan
EY Japanアシュアランス プリンシパル/DE&I推進担当


2004年にEY Los Angeles事務所に入所し、2006年にEY Japanに出向。現在は、気候変動・サステナビリティ情報開示関連のアドバイザリー業務・保証業務等を担当。2014年からLGBT+とアライのネットワーク「Unity」のエグゼクティブスポンサー、2021年からEY新日本有限監査法人DE&Iコミッティリーダーとして活動している。

 

人事の中でDE&Iを担当中

 

(川﨑)はい、ありがとうございます。改めまして、EY Japanの川﨑と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

EY Japanの中では、LGBTQ+の方々を中心として活動しているERG、私どもはUnityと呼んでいますが、いわゆる従業員リソースグループの取り組みに参加させていただいています。

実はEY Japanの中では大きく三つ会社が分かれていて、コンサルティングの会社、税務のお仕事を担当している税理士法人、そして私が所属している主に会計監査なんかをやっている監査法人があります。

この監査法人の中でDE&Iコミッティ(委員会)と、自発的に集まった従業員の集まりで、DE&Iの意識向上などを目的としたイベントを開催したり、ニュースレターを発行したり、草の根活動的なことをしています。創設から関わらせていただいていて、今、コミッティリーダーを務めさせて頂いています。

当年度からは監査法人の人材開発部、いわゆる人事の中でDE&I担当も拝命していまして、人事制度あるいはDE&Iに関する啓発活動みたいなところも、いろいろな立場からやらせて頂いています。

私自身、実は高校大学とアメリカにおりまして、そのままアメリカの会計事務所に就職して最初に日本に来たのは駐在という形でした。そんな中でいろいろな違いであるとかカルチャーショックも受けながら、DE&Iに舵を切っていくんですけれども、そのきっかけはまた後ほどお話させていただこうかなと思います。

(藥師)川﨑さん、どうもありがとうございます。続いては古屋さんよろしくお願いいたします。

 

古屋有紀さん
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
メディカル カンパニー / エデュケーション ディレクター、 Open&Out Japan リード


1991年に新卒で入社。外科や不整脈治療の医療機器事業において、米国にてセールス、プロジェクトリーダーとして、日本ではセールストレーナー、プロダクトマネージャーなどを経験した後、テクニカルサービス、エデュケーションの事業部内責任者を経て、2021年より現職。2020年より、LGBTQ+の理解啓発を通してDE&Iの文化醸成に取り組むジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ社員の自発的グループ「Open&Out」のリーダーに着任。

 

一人ひとりが自分らしく働けるように

 

(古屋)ジョンソン・エンド・ジョンソンの古屋と申します。私は、先ほどの梅津さんの話にも似てしまうのですが、ジョンソン・エンド・ジョンソンに新卒で入社して、今年で31年目ぐらいになります。

何でこんなにこの会社で長く続いたのかを考えると、やっぱり働きやすさとか会社の経営理念に共感する部分が結構多いなと思います。結果的に、会社が働きやすい職場を作ってくれているのだなというのが、最近振り返りながら思うところです。

もしかするとご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以降J&J)は「我が信条(Our Credo)」という本当に強い経営理念を持っています。その中に社員に対して会社がしっかり責任を果たすということが記されていて、多様性を尊重して、一人ひとりが受け入れられるような職場環境を作りましょうと明文化しています。

私たちはOur Credoという経営理念をもとに毎日仕事をしていますが、そういうものがしっかり会社の中にあって、それを自分達の拠り所として仕事をすることを会社がずっと推進してきていますから、企業文化も社員一人ひとりに根付きやすいし、そういう風土があると思ってます。

私はたまたま本業で今、エデュケーションという、いわゆる社員の教育と、お客様が私たちの医療機器を使うにあたって、安全に、そして適切に使ってもらうためのトレーニングをする二つの部門の責任者をやっています。

社員の研修などにも携わっていると、いろいろな方々が入社されてきていて、そういう人たちがいかに会社で力を発揮できるかを考えます。

いろいろな人の働き方があって、その人たちの多様性や特徴をできるだけ理解して、その人たちが一番自分らしく働けるようになったらいいなと常々思っています。

それからもう一つ、Open&Outという、いわゆるLGBTQ+の人たちを含めた会社の人たちがより生きやすく働きやすい職場作りや、社会作りに貢献しようという社員の自発的な活動グループがあるのですが、そこで今リーダーをしています。

そこでもやっぱり、どうやったらLGBTQ+の人がより自分らしく働けるかを会社の中で推進している立場なので、自分もそういう会社の風土を作ることに携われているのも、この会社のいいところなのかなと思って毎日過ごしています。

セクシュアリティや障がいなど様々な違いが世の中に存在していて、新入社員を見た時の多様性っていろいろなところで見られるので、そういう人たちがハッピーに働きやすい職場だったらいいなと、今いろいろ活動しているところです。以上になります。

(藥師)古屋さんありがとうございます。みなさんとともに、今日は「なぜ私がダイバーシティに取り組むのか」をお話しできることをすごく楽しみに思っています。

まずは川﨑さんにお伺いしますが、なぜ川﨑さんがDE&Iを始めたのか、その中で何を続けているのか、活動の中でのご自身の変化や、思い出深いエピソードがあればぜひお話いただければと思うのですが、いかがでしょうか?


自分とは関係ないと思っていたLGBTQ+の話

 

(川﨑)はい、ありがとうございます。私自身はおそらく、企業という枠組みの中、少なくとも日本国内では、マジョリティーと見られることが多いかと思います。

私自身も12、3年前ぐらいまでは多くの人が感じているように「LGBTQ+っていっても当事者の方が周りにいるわけじゃないし、自分とは関係ない世界だな」とどこかで思っていました。

それがある日、妻が英語を習い始めたところ、その先生がアメリカ人で、LGBTQ+の当事者の方だったんですね。それですごく仲良くなる機会があって、私の家に招待してお話しをする中で聞いたのが「LGBTQ+の当事者でかつ外国人なので、なかなか住む家が見つからない」という話でした。

それを聞いて、すごく不思議に思ったんです。というのも私自身がアメリカで過ごしてきて社会人経験もアメリカでしている中で、自分がアパートを探せなかったことは一回もないんですよ。

それがなぜ、日本だとそういうことが起こるのか。私自身も本当にピュアに不思議に思って、もっと当事者の方のお話を聞きたいなというようなきっかけになったんです。

それと時を同じくして、EY Japanの中でUnityという先ほど申し上げた従業員リソースグループが立ち上げになりました。そういったところなら皆さんのお話を聞ける機会が得られるんじゃないかなと思い、グループに入ったのがきっかけです。

しばらくは参加者として受動的に皆さんの話を聞いていました。そして様々な活動をしていく中で「ストーリーテリング」という企画をシリーズでやったんです。

当事者の方々あるいはアライで非常に強く声をあげていらっしゃる方々が、ご自身のストーリーをシリーズで1人1回1時間の話をする、という企画です。そういった勇気を持ったストーリーを、自分自身の物語りを、自分の言葉で皆さんに伝えているのを聞いた時に本当に凄いなと思いました。

でも周りを見てみたら、私が所属している監査法人からの参加者が一番少なかったんです。これは不味いなと思い、監査法人として何かやらないといけないなと。ここはもう、自分で手を挙げないと誰も動かないなと思いました。数少ない仲間とともに監査法人向けにイベントをやろうと思って、行動したんです。

うちのCEOの貴田という者がいます。彼自身も実は当事者で、いろいろな所で活動をしてくれているのですが、貴田自身の言葉でストーリーテリングをしてもらおうと、監査法人向けにそのイベントをホストしました。

そしたらすごく反響があって、それが私自身にとってはすごく大きなきっかけになったんです。受動的なところから、もっと能動的に動けるようなきっかけになったのがこのイベントでした。

ただこういうイベントって、やるとみんな感動するんですよ。でも感動って冷めるのもめちゃめちゃ早いんですよね。2週間経つと誰も覚えていない。この火をどうやったら絶やさずにいられるかを考えた時に、やっぱり絶えず情報発信やイベントをやって、皆さんにリーチしていく仕掛けをしていかなきゃいけないなと思いました。

そこで我々監査法人の中で、DE&Iコミッティを立ち上げ、そちらで草の根活動を今も続けているというような状況です。

これを少しずつ積み重ねていくことで、何か少しでも会社が変わっていけばな、という思いで今も続けています。

(藥師)ありがとうございます。ご自身の周りの人のお話を聞くところから、DE&Iの当事者に自分もなっていって、かつ会社の中の風土作りにおいても、フォロワーから始まってどんどんリーダーになっていくその姿をストーリーの中で聞かせていただいて、こういうふうに自分事としてDE&Iを捉えて行動していく事ができるんだなと凄く勉強になりました。ありがとうございます。

梅津さんは、入社のタイミングからずっとDE&Iの活動をされていたのでしょうか?もしくは、始めたきっかけがあったらぜひ教えていただければと思います。


若手の情熱と行動力に感動

 

(梅津)はい。ありがとうございます。入社のときはもう、がむしゃらだったので、あまりそういうことは考えていませんでした。でも確かにモルガン・スタンレーで、女性男性を意識する機会はほぼ無かったですね。それはありがたかったですし、キャリアを形成していく上でとても大切なことでした。

DE&Iの活動に参加するようになったのは、マネージングディレクターに昇進した時に「ここまで来られたのは私だけの力じゃないな」と、はたと気づいたんです。やっぱり女性の諸先輩方が切り開いてくれた道があったことも非常に大きかったなと、しみじみと感じまして、ありがたく思い始めて。

企業指針の中にGiving Back(還元する)というものがあるのですが、これは私も後進に返していかなければいけないなと思い、DE&Iの活動に参加し始めました。

Pride&Alliesに関しては、立ち上げ時から2年ほどシニアスポンサーを務めました。そのきっかけは、当時新卒1、2年目の方が、Pride&Alliesのグループを立ち上げたことでした。

入ったばかり、社会人になったばかりの方がイベントもガンガンやって、こんなにも周りを変えられるんだという事に純粋に感動したんです。それこそ冷めない内に「私にも何か手伝えることがあったらやります」とその方に声を掛けたのです。

その頃は、「なにか手伝える事があったら言って下さい」という形だったのですが、チーム内に「もしかしてこの方は当事者なのかな?」とモヤモヤと思うことがあり、間接的にでもその人をサポートするために何ができるだろうと考えました。そして、やはり行動に移すしかないと思い、これはシニアスポンサーとしてちゃんと責任を全うするしかない、と決心しました。

2年間シニアスポンサーを務めて、海外のシニアリーダーが来日した時にイベントをしたり、国内のシニアマネジメントに働きかけたり、予算をとってトレーニングをしたりしておりました。

(藥師)ありがとうございます。素晴らしいなと思います。1、2年目の方のパッションに感化されて一緒にやるところから、そういう風にリードしていく様になったんだな、凄いなと思って聞いていました。ありがとうございます。

古屋さんは、本職の方でも人材育成をされているし、ERG(エンプロイーリソースグループ)の方でも活動をされているとの事ですが、ダイバーシティが大事だと思ったきっかけとか今も続けている理由、思いってどういったところにありますか?


講演した人がたまたま同じ学校の卒業生

 

(古屋)ありがとうございます。私は当事者なのですが、LGBTQ+の人って、自分の性の事を外に言わなければ言わないなりに、生活はできると思うんですね。特にLGBTQ+でいうレズビアンやゲイの人は、好きな性がどうかという話なのでプライベートを隠していればそんなに仕事に影響しないし、わざわざそれを会社で言う必要もないと思っていたんです。

そういう形で何十年も生きてきて、それが普通だと思っていました。ですが、ちょうど2015年に私の前のリーダーがOpen&OutというERGを立ち上げて、LGBTQ+当事者を呼んだ講演を開催したことがあったんです。

私は自分が当事者ではありますが、自分の周りでそういう人に会った事はなくて「女性が好きな女性なんてどこにいるんだろう」ぐらいに思っていました。だけど、もしかしたらこの講演でそういう人に会えるのかなと。そんな事を思って参加しました。

そうしたら、講演をした人が同じ学校の卒業生だったんです。後輩なんですけど。講演の途中でたまたまそれがわかって、講演の後にちょっと声を掛けてみたんです。いろいろな共通の友達がいることがわかって、その時に「初めて自分が当事者で、同じ仲間の人に会いました」という話をしたら、なんか急にホッとしちゃったっていう事がありました。

その後、打ち上げにも参加したのですが、そこも心理的安全が保たれている場で。当事者もいればアライの人もいるのですが、恋バナも含めて、みんながすごく自由に話を始める。それを聞いたときに「これがやっぱり本当の自分を出せる場所なんだ」と感じちゃって、今までは話さない事が普通だと思っていたけど、話してみたらもっと楽しい、自由にできたらもっと楽しいって事を自分で実感したんです。

LGBTQ+の人は世の中に8.9%いると言われていますが、会社の中で会ったことはないですし、自分の身の回りでも実はあまり会ったことがありません。本当はこんなに楽しくたくさん話せるのに、そういう人たちに会った事が無いというのは、やっぱり社会や職場が窮屈で言えない事情もあるのかなと思います。自分ですらそういうことを言わずに40年生きてきました。自分も含めて誰にとっても、もう少し生きやすい環境が作れるんじゃないかというのが発端で、それからその活動に参加するようになりました。

リーダーとして3年目、足かけ5年間ぐらいは活動に関わっていますが、じゃあどれぐらいの人がオープンになったかというと、まだまだそうでもありません。もっと、いろいろ話を飲み込みながら、言葉を選んでランチするなんてことをしなくても良い世界が、他の人の周りにもつくれるようにと思いながら活動しています。

だから、なかなか終わらない活動かなと思っています。私の場合はLGBTQ+の話ですが、病気や障がいなど、世の中には様々な違いがあります。病気の知り合いがいるのですが、その人はどうしても、ある時間になると疲れてしまって仕事ができません。だけど表にそういう病気である事を伝えていないから、周りの人からすると怠けているんじゃないかと思われてしまう。

でもそれはやっぱりその人が持っている特徴で、それもひとつの違いです。そういうところも働く中でお互いに尊重ができるようになれば、みんながパフォーマンスを出しやすいと思う事もあって、今ずっと活動を続けています。

(藥師)ありがとうございます。心理的安全、ここなら安心していられるなという感覚を自分で味わったから、それを職場や社会に広めたいなと思って、こうやってリードし続けているというのは、本当に素晴らしいことだなと思いました。ありがとうございます。

後半では「職場や社会が変わっていくと体感していること」を皆さんにお伺いします。

(後編へ続く)