石井美の里さん
NTTファイナンス株式会社 総務人事部 人事部門
略歴 2002年全国転勤型総合職として当社入社年齢 41歳
出身地 兵庫県
趣味 伝筆、舞台鑑賞、お酒を飲むこと
総合職とキャリアアップをポイントに就職活動
「総合職での就職しか考えていませんでした」
自身の就職活動を振り返って、石井さんは開口一番、そう応えてくれました。総合職での女性の採用割合がまだまだ低かった当時、あくまで総合職にこだわり、各社の条件を比較して選んだのがNTTファイナンスだったといいます。
「定年までずっと、総合職として自ら生計を立てて生きていこう。そう考えていたので、性別によってキャリアアップの条件が全く変わらないこと、そしてそのための制度が整っていること。この二つがとても重要なポイントでした。いろいろ比較してみると、当社の全国転勤型の総合職では、特に性別で分けることなく、ほぼ半数を女性が占めていました。また、話を聞いた先輩社員からも、性別に関係なく人物本位で評価されるので、頑張れば頑張るほどキャリアアップのチャンスがあると言われ、当社に決めました」
石井さんの総合職へのこだわりやキャリアアップ志向の背景には、自身の人生観がありました。
「10代の頃から、“結婚”というものをしなくても、十分、人生は豊かに過ごしていけるのではないかと思っていました。パートナーを持つことはあっても、結婚することや家庭に入ることはまったく想定していませんでした。なので、こういう道を進みたいと思い描いたときに、人生の選択肢を広げておくためにも、経済的に自立することは大事だと考えていました」
入社当時の石井さん(右)
充実したライフイベントへの支援制度
NTTファイナンスに入社以来、石井さんは営業、経営企画、人事と幅広くキャリアを積んできました。そして、全国転勤型の総合職ということで、これまでに東京、大阪、広島での勤務を経験。先輩も後輩も上司も部下もない、休日も一緒に過ごすようなフレンドリーな雰囲気の職場だったそうです。また、人物本位で評価されるという先輩社員の言葉どおり、現在は人事部門の採用育成担当の課長という役職に就いています。
NTTファイナンスでは、「女性活躍推進」を旗印に、結婚や出産・育児などのライフイベントが、仕事を継続していく上での差し障りにならないための支援制度が整えられています。
「当社では多くの社員が、出産から育児までをサポートする休暇や勤務の制度、あるいは復職後の支援制度などを利用して、子どもを育てながら仕事を続けています。ライフイベントが仕事を継続していく上での差し障りにならないための制度が取り揃えられているので、結婚を機に“寿退社”をする女性はほとんどいませんね。また、最近のことなのですが、2020年10月から、10時〜15時をコアタイムとするフレックスタイム制度が導入され、柔軟な勤務時間による、より柔軟な働き方ができるようになりました」
左/2017年6月、女性活躍推進で優良な企業に与えられる「えるぼし」の3段階目の認定を受けました。
右/「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣による「くるみん」認定を受けています。
LGBT等性的マイノリティへの理解促進への取り組み
NTTファイナンスでは、2011年に「ダイバーシティ推進室」が設置され、「女性活躍推進」「次世代育成支援」「働き方改革・ワークライフバランス」「LGBT等性的マイノリティ」「障がい者雇用」を主なテーマとし、社内のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを積極的に推し進めています。それぞれのテーマに関する専門家によるセミナー、「ダイバーシティキャラバン」と題したワークショップや座談会などを企画し、また、D&Iに関する最新のトピックなどを社内ツールで定期的に配信しています。そんな中で、LGBTに関する取り組みはどのようなものがあるのでしょうか。
「LGBT当事者の講師によるセミナーを実施し、LGBTに関する基礎知識やAlly(LGBT当事者ではないが、LGBTの活動を支持し、協働する人)などについて理解を深めています。また、『性別が、ない!』というドキュメンタリー映画の上映&トークイベントを開催し、約30名が参加しました。それから、研修などを受けた方には、NTTグループのオリジナルLGBT&AllyロゴマークのシールやAllyリボンなどのAllyグッズをお配りして、Allyの見える化も図っています。2019年にはNTTグループとして初めて『東京レインボープライド』のパレードを歩き、当社からは16名が参加しました(NTTグループ全体では約200名が行進)。LGBT等への取り組みを評価する『work with pride』のPRIDE指標では3年連続でゴールドを受賞しています」
NTTグループ全体での取り組みとして、2018年から、各種手当や福利厚生など、配偶者やその家族に関わる制度全般を同性のパートナーに対しても適用しています。
映画上映会での当事者によるトークイベントのもよう。
『東京レインボープライド2019』に参加したNTTファイナンスのメンバーたち。
採用担当マネージャーとしてのジレンマ
ここ10年で目に見えてD&Iの取り組みが推し進められてきたNTTファイナンスにあって、その方向性や価値観などで石井さんが感じているところを聞いてみました。
「ダイバーシティ推進室からの情報発信によるところも大きいと思いますが、私が入社した当時と比べると、マインドセットが変わってきたと思います。一人一人の社員の個性を生かすことで、個々人のスキルや能力が向上し、それが事業の発展へとつながっていく。そのためには、D&Iの取り組みが不可欠だということが共通認識になっています。私の業務に関して言えば、D&I推進の流れを踏まえ、中長期的なスパンで活躍できる人材を採用し育成していくにはどうすればいいのか、ということであり、そのためにも、これからますますダイバーシティ推進室の皆さんと連携していく必要があるでしょう。既成のやり方に捉われているところもあると思うので、例えば、面接や適性検査において、個人の潜在的な能力を把握するにはどうすればいいのか。今後、面接官の目線合わせや研修、適性検査の内容なども検討していければと思っています」
また、誰もがライフイベントやキャリアパスが異なるからこそ、D&Iをさらに進める上で、多様なロールモデルの必要性を感じていると言います。
「結婚や育児をしながら活躍している女性社員がたくさんいるのは素晴らしいことです。その一方で、働く女性の中にも、私のように結婚や出産などを選択しない人もいて、そういう人は少数なのも事実です。だからと言って、その生き方を特別視しないでほしいんです。人生の選択は人それぞれ、働き方の選択もいろいろで、これが常識ということはありません。個々人の生き方を尊重することが大事だと思っています。そう思う半面、結婚を選択していない私を見て、女子学生の皆さんが、結婚とキャリアアップを結びつけてしまうのではないか。そんな心配がよぎることがあります。キャリアパスやライフイベントは個々人で異なるからこそ、多様なロールモデルが可視化され、その上で管理職に就く女性がさらに増えていくことを願っています」
『work with Pride 2020』のPRIDE指標では、4年連続となる「ゴールド」を受賞。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「どの企業でどういう仕事をしていくのか。それは、自分の人生の軸を決めるような非常に大事なことです。就職活動のこのタイミングで、“譲れないもの”を自分の中でしっかり整理してください。その上で、どんな制度があって、どんなふうに運用されていて、どんな人たちが働いているのか。自分から積極的に情報を収集し、“譲れないもの”に合致する企業かどうかを見極めてください。社会人のスタートをどこで切るのかは、とても重要です。もし、違うなあと感じたら、柔軟にまた別の道を選んでもいいと思います。自分が活躍できる環境が本当に整っているかどうかを見極めながら、企業に対して、どんどん自分をアピールしていってください」
企業情報:日本電信電話株式会社