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Update on :2024.03.19

当事者だけでなく周囲の人も主役

スプロウツ 斐呂美 さん / 高橋 弦也 さん
ブルームバーグ・エル・ピー
人事部ダイバーシティ&インクルージョンチーム

世界の資本市場の透明性を高めることを信念に、ビジネスニュース、金融データ、市場分析など様々な“情報”を提供するブルームバーグ。アメリカ本社は1981年、アジア初となる日本支社は1987年に設立されました。

「多様性に富んだチームは優れた決断を下せますが、そのようなチームが自然に生まれる訳ではありません」。こちらはブルームバーグのホームページに掲載されている一文です。採用制度から従業員の認識や会社の方針にいたるまで、平等性を推進しながら維持するためのシステムを構築するブルームバーグ。今回はそのD&Iチームで活躍するお二人にご登場いただきました。



高橋 弦也さん
ブルームバーグ・エル・ピー東京オフィス
人事部ダイバーシティ&インクルージョンチーム

埼玉出身。政府系金融機関の総合職、医療機器商社の人事を経て2019年にブルームバーグに入社。中途採用チーム障害者採用担当から、2021年にダイバーシティ&インクルージョンチームに異動。現在は、企業・大学・支援機関等の外部機関と協力しながら日本の障害者採用やLGBTQ+コミュニティのサポートなどに取り組む。


スプロウツ 斐呂美さん
ブルームバーグ・エル・ピー東京オフィス
人事部ダイバーシティ&インクルージョンチーム

福岡県出身。アメリカの大学を卒業後、2010年にブルームバーグ カスタマーサポート部に入社。現在は人事部ダイバーシティ&インクルージョンチームでニュース・メディア部門のD&Iパートナーを務める。


自分のことを自分の言葉で話せる場所を作りたい


まずお話を伺ったのは高橋さん。ダイバーシティ&インクルージョンチームにて障がい者採用を担当している高橋さんは、LGBTQ+の当事者でもあります。

高橋さん「ブルームバーグでは‘Inclusion of all, Exclusion of None’をD&Iの理念としています。D&Iには女性、LGBTQ+、障がい、家族など様々なテーマがありますが、当事者だけでなくその当事者を取り囲む周囲の人たちも主役なのだと考えています。このメッセージには、当事者であるかないかを超え、すべての人が『誰もが違う』ことをお互いに受け入れていくという思いが込められています」

‘Inclusion of all, Exclusion of None’=「すべての人が平等に個性や能力を発揮して参加できる」。高橋さんも何よりこの考えに共感していると言います。

高橋さん「当事者がオープンにしてくれるだけでなく、例えばご家族に障がいのある方がいると社員が打ち明けてくれるケースも増えてきました。当初は『当事者にとってより良い環境を作っていく』という側面が強かったブルームバーグのD&I推進活動ですが、徐々により多くの人に寄り添えるものへと移行し、それに伴って社内の雰囲気も変わってきたように感じています。社員が自発的に取り組みを行うERG(コミュニティ)でも、1つのテーマにとらわれず、より多くの人が包容されるようなテーマについて話されることが増えていますね」

D&I推進活動に取り組む中で、最も嬉しかったのはどんな瞬間でしたでしょうか。

高橋さん「昨年、私自身がLGBTQ+の当事者かつメンタルヘルスの経験者であり、障がい者採用を担当していることから、LGBTQ+当事者で障がいのある方のインターセクショナリティのテーマをLGBTQ+コミュニティ(BPROUD)と障害者コミュニティ(BABLE)に提案し、一緒に行った取り組みがPRIDE指標2022と2023のレインボーアワードを受賞しました。ブルームバーグは、2年連続でレインボーアワードを受賞した企業の中で唯一、担当の役職者ではなく、コミュニティの社員が授賞式にて賞状を受け取りました。実際に取り組んできたコミュニティの社員が誇らしげに大きな舞台に立つ姿を見られたのは、嬉しかったですね。その受賞によって社内にポジティブな空気が流れ、より運気を高めるために2023年の東京レインボーパレードの前に社内でミニパレードも行ったんです。結果としてレインボーパレード当日には120名以上の社員やその家族、友人が参加しました」

障がい者採用においても、嬉しいことがあったと高橋さん。

高橋さん「当事者の家族と学生、そして大学支援者に向けた1day open officeを実施しました。障がいがある学生は多くの情報が得られるようになってきましたが、そのご家族や支援者など当事者を取り囲む方々には、まだ十分な情報が届いていないという現実があります。当事者と周囲の方々、双方への適切なサポートの実現を目的とし、このイベントが企画されました。終了後、学生のご両親4名が私のところにきて『これが私たちの知りたかった、聞きたかったことです。もっともっと、こうしたリアルな情報を聞ける場所が増えて欲しい』と涙ながらにお話いただいたのが、とても印象的でした。その声は、『何から始めたらいいのか、どうしたら障がいのある社員をサポートできるのか』ととても悩んでいた、障がい者採用を始めた当初の自分の姿とも重なりました。私たちは本当に意義のある取り組みを行えたのだと実感しましたね」

今後もD&I推進活動を続けていく上で、高橋さんはどんなことを目標にしていますでしょうか。

高橋さん「私自身がマイノリティである生きづらさを経験してきた身として、この仕事を通して自分を含めた様々な人の困難さを少しでも解消し、より多くの人がバックグランドにとらわれることなく本来の力を発揮できる環境づくりに貢献していきたいと考えています。日々過ごす時間の大部分を占める職場で『自分のマイノリティな部分を話したらどう評価されるだろう?』と不安に思うことなく、すべての人が自分のことを自分の言葉で、もちろん相手への優しさやリスペクトを持ちながら話せる場所を作っていきたいです」

では最後に、高橋さんから読者の皆様にメッセージをお願いいたします。

高橋さん「『自分らしく働く』というキーワードには、色々な要素が関わってきます。そのため『自分らしさとはなんだろう?』と企業選びの前に悩む方も多くいると思います。学業や仕事の内外を通して心踊ったり、何かに熱中した経験から、仕事に繋がる要素だけでなく、その時の環境についても考えていただくと良いと思います。またD&Iを積極的に推進している企業の担当者や当事者社員の話を聞いてみることで、自分自身でも言語化できていなかった想いに気づくことがあるかもしれません。自分らしさとはある日突然答えがわかるものではなく、そうした経験から『こういうものなのかな?』と少しずつ見えてくるものだと思います。是非様々な機会に参加して、自分らしさのヒントを得ることで、可能性の種をたくさん見つけていただきたいです。そして、皆さんがこれから歩むキャリアの先で自分らしく、笑顔で活躍できるよう応援しています!』



誰にとってもインクルーシブな環境を


続いてお話を伺ったのはスプロウツさん。スプロウツさんはブルームバーグのD&I推進活動の特徴を、こう説明します。

スプロウツさん「弊社のD&I推進の特徴のひとつは、D&I推進を人事部やD&Iチームだけでなく、社員全員を巻き込んで行うところ。そしてアカウンタビリティを明確にしているところだと思います。各部のグルーバルマネージャーや地域のシニアマネジャー、部署ごとにあるD&Iタスクフォース、D&Iコミュニティはそれぞれが毎年D&Iビジネスプランを立て、明確な目標を持って活動することが求められています。また、多様な社員の声に耳を傾けるだけでなく、人事施策や福利厚生にきちんと反映しているのも重要な点だと思います。例えば、東京オフィスではBloomberg Women’s Communityからの意見を参考に女性産業医を導入し、女性特有の悩みなどを相談できるようにしました。東京オフィスだけでなく、グローバルレベルで新しいプロジェクトや施策を始める際にも『コミュニティメンバーの意見を聞こう』という会話が頻繁に行われています」

スプロウツさんは、D&I推進活動をする中でどんなことに喜びを感じていますか。

スプロウツさん「ブルームバーグのD&Iのミッションである‘Inclusive and equitable culture for all of us, by all of us’(私たち皆で築く、すべての人のためのインクルーシブで公正なカルチャー)という点は、D&Iを推進していく上でとても大切な考え方だと思っています。世間一般的にみると、D&Iのトピックにおいては『多数派』vs『少数派』というような見方や『コンプライアンスのため』などのネガティブな印象を持っている方もいるように思います。私たちの掲げるミッションはそういった枠を超え、どういったアイデンティティを持っていても『歓迎されている』『安全だ』『価値を認められている』『尊重されている』と思える環境を作ることにフォーカスしています。そしてそのミッションに本気で取り組んでいること。会社のトップレベルから、D&Iがビジネスの成功に不可欠であり全員がD&I推進をする責任がある、という意志を感じること。そういった環境でD&I推進に取り組めるのは、幸せなことだなと思います」

そしてスプロウツさんは、印象的だったこんな出来事も紹介してくれました。

スプロウツさん「D&Iチームの施策であるGOALプログラムに参加した社員に感想を聞いたところ、プログラムに参加したことが『人生を変えるような経験』だったと話してくれたんです。考えてみれば、1日の中で多くの時間を費やす職場において自分らしくいられること、自分の価値が認められていて成長できると感じられることは、キャリアの面だけでなく、その人の人生そのものを豊かにする助けとなります。D&I推進を通じて、社員一人一人の人生にもポジティブな影響を与えられるんだと改めて気づきました。D&I担当としてのやりがいを深く感じた瞬間でした」

D&I推進を続けていく中で、今後目指す地点はどんなところなのでしょうか。

スプロウツさん「弊社のD&I推進の根本にある、誰にとってもインクルーシブな環境を作る、というのがやはり最終的に目指すところです。インターセクショナリティや世代間のインクルージョンなど、新しい視線を取り入れながら、採用・評価・人材育成・社内カルチャーなど様々な側面からD&Iをより深く浸透させるために今後も社内で協力し合い、また社外の皆さまとのパートナーシップをより深めながらD&Iを推進していく予定です」

スプロウツさんご自身の目標もあれば、是非教えてください。

スプロウツさん「個人としては、様々なバックグラウントを持つ社員のいる弊社でD&Iを推進していく上で、変化の激しい国際・世界情勢により影響を受ける人たちのニーズにいち早く、センシティブに気づきサポートができるようになれたらと思っています」

ありがとうございました。では最後に、スプロウツさんからも読者の皆さまへのメッセージをお願いいたします。

スプロウツさん「『自分らしくはたらく』というのは、自分のキャリアを築いていく上で大切なことです。それを叶えるためには『自分らしくはたらく』とは具体的にどういうことなのかを、自分の中で明確にしておくことが重要です。そうすることで、譲れないものと譲れるものが見えてくるかと思います。そしてその考えは、人生のステージによって、またキャリアを築く上で少しずつ変わってくるので、その時々でアップデートすると良いかもしれません。就職活動をしていると、悩むことや不安になることも多くあるでしょうが、そういった経験から学ぶこともたくさんあります。今は多くの会社がD&Iに力を入れていて、多様な背景の社員を採用するようになっています。皆さんが自分らしくいられる、輝ける仕事・職場に出会えるよう応援しています!」



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