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Update on :2023.02.02

社員が自発的に参加するコミュニティが原動力になり、 すべての社員が歓迎され、活躍できる職場に

久津間 貴之さん/ヤン・ソンウエイさん
ブルームバーグ・エル・ピー
東京オフィス

ニューヨーク本社を拠点に世界約180都市を結び、金融市場にまつわるプロ向けの情報を配信する大手総合情報サービス会社「ブルームバーグ・エル・ピー」。同社は1981年、「情報を通じて世界の資本市場の透明性を高める」という信念のもと、第108代ニューヨーク市長を務めたマイケル・ブルームバーグが設立したことで知られています。東京オフィスは1987年に設立され、日本の主要金融機関、事業法人などの皆様の重要なパートナーとしてビジネスを展開しています。D&Iにおいては、ブルームバーグは日本で3年連続で「PRIDE指標」の金賞を受賞し、昨年はレインボー認定を受けました。また一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE: Accessibility Consortium of Enterprises)の「環境づくり部門」でACEアワードを受賞しています。今回は、東京オフィスで勤務する久津間貴之さん、ヤン・ソンウエイさんのおふたりをお迎えしてお話をお伺いしました。
 

久津間 貴之さん
ブルームバーグ・エル・ピー東京オフィス

神奈川県出身、アメリカの大学を卒業後、 2008年ブルームバーグデータ部に入社。現在はデータ部門にてチームリーダーを担当。また「Bloomberg Abilities Community(以下、B-ABLE)」の共同リーダーとして、障がい者の活躍を推進するD&I活動に携わる。

ヤン・ソンウエイさん
ブルームバーグ・エル・ピー東京オフィス

中国出身。高校時代からイギリスに就学。2014年より、インターン雇用で入社。ロンドンALRTチームを経て、東京オフィスに2016年に異動。Feedsチーム、Feeds SREチームに所属する。ロンドン時代に「Bloomberg Women in Technology (以下、BWIT)」コミュニティーに参加。東京オフィスではBWITの共同リーダーを務めている。

 

誰もが自分の能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指し

 
ブルームバーグではダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)がビジネスに成功をもたらす条件であると考え、日々の業務と同様に重視し、性別、年齢、国籍、経歴の多様な人材を受け入れ、社員一人ひとりが互いに尊重し、活躍できる会社と社会を目指しています。そのため、同社では関心のある社員自身が企業文化の推進者として、またロールモデルやブランドアンバサダーとなって、自発的にさまざまなコミュニティ(従業員・リソース・グループとも呼ばれています)に参加し、幅広く活動しています。久津間さんは、障害のある社員とそのチャレンジを支援する社内の有志で構成するコミュニティ「B-ABLE」の共同代表を務めています。
同コミュニティは障がいの有無にかかわらず、各自が能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指し、コミュニティ参加者だけでなく会社全体でその意識を高め、社員同士で支え合っていけるような取り組みを展開しています。
「データ部内の財務分析のチームに所属しておりチームリーダーを担当しております。メインの業務は日本上場企業の実績、業績予想データ管理となりますが、身近に障害がある社員がおり、社内全体にも、D&Iへの理解を深めるためのリーダーおよび社員教育に関するプログラムの企画運営、障がい者の雇用促進に携わりたく思い、B-ABLEのコミュニティーで合同リーダーも務めております」(久津間さん)


 

女性社員がキャリア像を描き、活躍できる職場環境

 
一方、「BWIT」の共同リーダーを務めるヤン・ソンウエイさんは、ロンドンオフィスに勤務していたときに活動を始め、2016年に日本オフィスに転勤したときに同コミュニティがないと知り、自ら日本支部を立ち上げたそうです。
「もともとニューヨークオフィスでBWITはスタートし、ヨーロッパに広がりました。女性社員が自分らしいキャリア像を描き、活躍できる環境を整えることを目的とし、女性社員のエンパワメントを推進するコミュニティです」(ヤンさん)
具体的な活動としては、テクノロジー分野における次世代女性リーダーの育成を目的としたメンタリングセッション、働き方の多様化やダイバーシティ推進について考えるワークショップ、有識者によるラウンドテーブルやセミナーなど、年間を通じてさまざまなプログラムを企画運営し、社内外に情報発信を行っています。

同社の東京オフィスでは、「B-ABLE」「BWIT」以外にもレスビアン、ゲイ、バイセクシャル、 トランスジェンダーなどさまざまな個性や背景を持つ社員とアライ(理解者・支援者)で構成されているコミュニティ「LGBT and Ally Community(BPROUD)」、子育てから介護まで、仕事と家庭を両立しながら働く社員が多く参加するコミュニティ「Working Families Community」があり、それぞれのコミュニティが活動を通じて、理想的な職場環境の実現に向けて取り組んでいます。また、こうしたコミュティ活動は、個々のプロフェッショナルなネットワークを広げ、リーダーシップやマネジメントスキルの向上にも役立っているそうです

 

すべての社員が歓迎され、尊重される企業に

 
東京オフィスは特に障がい者の採用に力を入れており、その点について久津間さんはどう考えているのでしょうか。
「どんな違いがあっても、すべての社員が歓迎され、尊重されていると感じられる企業文化を醸成するのが、弊社のD&Iのテーマであり、『B-ABLE』の目標もそこにあります。トップダウンではなくあくまてもボトムアップ式のボランティア活動なので、実際の業務に直接的に関わるものではないですが、私たちの趣旨に共感を持ってくれる参加メンバーも増えています」
また、同社では一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)のメンバーシップ企業として、障がいのある学生を対象にしたインターンシップやメンタリングプログラムを開催、キャリアフォーラムでは、実際に障がいのある社員が登壇して生の声を届けています。
「オンライン開催となった2021年のインターンシップは、現場で働く社員との交流(メンタリング)、シニア・マネージメントとのトークセッション、ブルームバーグのサービスを利用した業務の経験、オフィスのバーチャルツアーなどが行われました。障がいのある学生が会社のことを知る機会となり、どんな仕事があり、どのような業務ができるのかを理解してもらうことにフォーカスしました。こうした活動を、障がい者の雇用促進につなげ、さらに障がい者のキャリアップ支援につなげていくのが当面の目標です」と久津間さんは語ってくれました。
一方、ヤンさんは、「2016年に東京オフィスに転勤した当時は、エンジニアの中で女性が占める割合が少なく、やや寂しい思いがありました。私たちの活動は、採用に直結するものではありませんが、イベントなどを通してエンジニアという職業に興味を持ってくれればうれいしいです」と語ってくれました。同社では理工系分野へのキャリアに興味を持つ学生を対象に、内閣府男女共同参画局主催の「リコチャレ」にて毎年ワークショップを開催。プログラミングの基礎を学びながら、同社のエンジニアおよびデータアナリストによるパネルディスカッションやネットワーキングタイムなど、さまざまなプログラムを企画し、女性エンジニアの育成にも力を入れているそうです。
「今後はブルームバーグ以外のIT企業での女性の活躍推進をしてるコミュニティとつながって、もっと外にネットワークを広げていきたと思っています」(ヤンさん)
 

自分の力が発揮でき、成長できる環境

 

そんなおふたりから、読者の皆さんへメッセージをご紹介します。
「就職は人生の中でも大きな分岐点です。今現在、皆さんは、志望する企業のことを全部知ってるわけでもないでしょうし、なかには自分がやりたいことがはっきり決まってない方もいるでしょう。そうした現状で、正しい決断をできるかはとても難しいと思います。迷ったときは、自分がやりたいことが何だったのか、やりたくないことは何だったのか、といった原点を見つめ直してください。弊社ではどんなことに対しても好奇心を持つ人や、責任感が強いタイプの人が成長する傾向があります」(久津間さん)
「就活はいろいろ苦労することが多いと思います。最も基本となるのは、自分にとって何が大切なのかを見つけることです。そのうえで自分が自分らしくいられ、自分の力が発揮でき、成長できる環境を探すことが重要だと思います。失敗を恐れてはいけません。失敗してもいいからトライをしてください。自分が本当にやりたいことはその先にきっとあるはずてす」(ヤンさん)。
多様なバックグラウンドや意見を持つ人々を歓迎することを、同社は大切な企業風土としており、それが同社のD&Iの推進力になっています。それを個性として受け入れ、そして誰も取り残されないよう一人一人の「違い」が認められる環境は、自分自身を成長させるには最適な環境だといえるでしょう。