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Update on :2024.02.28

「ライフ&キャリアをデザインする」(後編)

中西康恵さん / 松本紗代子さん
野村ホールディングス株式会社 / キンドリルジャパン株式会社
DEI推進室室長 / アジアパシフィックジャパントランスフォーメーション担当 兼 インクルージョン、ダイバーシティー & エクイティー担当(※イベント当時)

「ライフキャリアデザイン」をテーマとした今回のトークセッション。「働く」だけではなく「生きる」ことも含めたキャリアについて、野村ホールディングスの中西康恵さん、キンドリルジャパンの松本紗代子さんにお話を伺いました。

(中島)ありがとうございます。仰る通り「働く意義とか目的って何?」って聞かれたときに、働いた経験がないのにそれえお考えるのは難しいなと思っています。働いている途中、キャリアの途中で出会ったり見つかったりすることもあるんじゃないかと思いながら、就活するのもアリですよね。中西さん、松本さんのお話を聞いていただいてご感想があれば是非。

(中西)すごく大きなギフトをもらったような話でした。ありがとうございました。「あなたがロールモデルに」という言葉もそうですし、マネージャーに向いている理由を詳細に説明してくれた方のお話も、そういったことが人の背中を押すんだなという学びになりました。自分も働く上で、実践したいなというヒントを貰ったと感じました。新しい分野、新しい業界にどんどんチャレンジされてこられたとのことですが、仕事の優先順位などはどうやって決めているのでしょうか。

(松本)ありがとうございます。人にお教えできるほどきちんと優先順位をつけてやっているわけではないのですが、どうしても日本だと長い時間働いてしまうことがすごく多いと思うんです。海外のメンバーから学んだことで大きかったのは、ライフの中にキャリアやワークがあるんだなと。あくまで働くということはその一部分であって、その一部分に1日10時間も12時間もかけるべきではないなとすごく思いました。人生とキャリアをバラバラなものではなくひとつのものと考えるようになると、必然的に働き方や優先順位の決め方も違ってくるのかなと思いました。

(中島)仰る通りですよね。ライフワークバランスとかワークライフバランスというと、なんとなくライフとワークは別々のもので、5対5とか3対7みたいに、割合をつけなければいけないと捉えられがちですが、ライフの中にワークがあると考えていくと、どんな風に生きたいのかなというところから、自分のしたい働き方や仕事が考えられるようになるなと私も感じました。

今のお話に関連してぜひお2人に聞いてみたいなと思うのですが、これまで様々な働く場面において、何かしらの選択をするとか、選ばなきゃいけないというご経験をされてきたんじゃないかと思います。そのときの自分自身の「生きる」という観点だったり、自分らしさというポイントから「こういう選択の仕方をしよう!」という軸のようなものや、選択を続けてきた結果、今の自分にとってはこれが大切な要素になっているなというものがあれば、ぜひご紹介いただければ嬉しいなと思います。中西さん何かありますか?


使えるお金の10%を学びに使う


(中西)27、8ぐらいから、可処分所得、使えるお金の10%は必ず学びに使うというマイルールを持っています。コロナを経て色んなものがオンラインで手軽に学べるようになりましたが、常に何か学んでいる、アップデートしているということを心がけています。必ずしもそれが勉強や仕事に直結しなくても、とってもどうでもいいことでも自己投資の対象に考えています。美輪明宏さんのラジオを聞いてきたときのことと記憶しているのですが、美輪さんが『ラジオの周波数を調整しているところを想像してください。急に出てきたチャンネル、クリアに聞こえる話題に最低限の基礎知識を持って、どんな話でも入れるようにしなさい』とある方から言われたそうです。私もそれを聞いて、ジャンルを選ばず色んな自己投資を実践するようになりました。5%だけでも語れることがあると、その先が早いという経験も何度かしてきたので、自分の中で大切にしています」

(中島)ありがとうございます。松本さんはいかがですか?

(松本)一番迷ったときに、選択する基準になったのは小さい頃に憧れとして持っていたことだと思っています。やっぱり人生って一回きりなので、そういう憧れを叶えないことがすごくもったいないと思うんですね。なぜ私がグローバルな環境で仕事がしたいという憧れを抱いたかというと、実は私の母方の祖父がきっかけなんです。私は東北地方の出身なんですけど、私の母方の祖父は農業だけで子供を4人育て上げた人で、私は祖父が休んだところを見たことがなかったんです。自分にも回りにも厳しい人で、なんでおじいちゃんはこんなに頑張れるんだろうと思って、小さい頃に聞いたことがありました。祖父は、私の祖母、自分の奥さんをいつか海外旅行に連れて行ってあげたいということをモチベーションとして頑張ってきた、と。私が物心ついたときには祖父母は年に1度は必ず海外旅行に行っていて、帰ってくるとアルバムを作って孫にそれを見せるわけです。テレビでしか見たことがないような世界に私はすごく触れていて、小さいながらに世界中にお友達がいたら楽しいだろうなという思いをずっと抱えて大きくなりました。キャリアに悩んだときに出てくるのは、やっぱりそういう小さい頃の憧れだったなと思っています。これからキャリアを踏み出す方には、自分の漠然とした憧れや「これをやってみたい」という思いをいつも大切にして欲しいと思いますし、それをつかみ取るということをやって欲しいなと思います。

(中島)ありがとうございます。人生の中で自分がやってみたいことってなんだろうとか、いつか実現できたらいいなと温めている思いってなんだろうというところをもう一度掘り下げてみて、もしそれに触れられる選択があるならチャレンジをするという決め方もひとつですよね。

まだまだお話を聞きたいところではあるのですが、そろそろお時間が近づいてまいりました。最後にお2人から今見てくださっている方々にむけて、メッセージをいただけると嬉しいなと思っています。中西さんからお願いしてもよろしいですか?



チャレンジしないと結局何も残らない


(中西)ご視聴いただいてありがとうございます。こういった登壇の難しさを実感し、見えていないところでは大汗をかいております(笑)。やっぱり恥をかく、できないことを「やってみて」と言われるのって、それはつまり新しいことをやっているということです。恥かいて落ち込んでということを繰り返すと、もっと頑張ろうと思うこともあるし、やりたくないからもうやらないということもわかってきます。そういう風に自分を見つけるということもすごく楽しかったりするし、これが終わったら落ち込みたいと思いますが、私も5年後に振り返ったら笑えると思います(笑)。ありがとうございました。

(中島)ありがとうございました。5年後にお話できることを私も楽しみにしています。松本さんいかがでしたでしょうか。

(松本)中西さんも仰っていましたが、自分のキャリアを振り返る機会になって良かったなと思っています。振り返ってみると重要なときっていつも誰かの言葉があって、それって何年経ってもよく覚えているものだなと思いました。私に声をかけてくださった人は、それを私が20年後も覚えていることを期待して言ったわけではないと思いますが、何気なくかけた言葉って、時として相手の人生において重要な布石になったり、重要な軸になっていくんだなということを、振り返ってみてすごく思いました。私もそういう言葉をかけてあげられる人になりたいと思いますし、1人1人のチャレンジというのを色んな人が応援してあげれば、色々な視点がその人のキャリアや人生に取り入れられてくるでしょうし、多様性のあるキャリア、人生が生まれてくるのかなと思いました。

あとは、やっぱり未来のことをいくら考えても、未来というのは過去の積み重ねでしかありません。なので皆さんには、チャレンジということを忘れずにいて欲しいと思います。チャレンジしたことは結果としてうまくいかなくても、学びというかたちで自分の未来に何かを残せます。チャレンジしないままでいると、結局は何も残りません。関心があること、やってみたいと思うこと、憧れを持っていることに、自分で手をあげてチャレンジして欲しいなと思うし、周囲の人のチャレンジを皆で支えられる世界になったらいいなと思っています。ありがとうございます。

(中島)ありがとうございます。「これやってみたい」とか「こんな働き方ってできるのかな」という思いを、少し後押しできる場として、このダイバーシティフォーラム2023も使っていただきたいと思います。

本日はライフキャリアデザインというテーマで、中西さん松本さんと一緒にお届けをしてまいりました。ご視聴いただきどうもありがとうございました。