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Update on :2023.09.07

本気の就活でたどり着いた理想の職場

広瀬 綾 さん
ソニーピープルソリューションズ株式会社
人事部門

ソニーピープルソリューションズ株式会社は、ソニーグループの人事・総務領域を担う専門機能会社として、2012年に設立されました。今回お話を伺ったのは、入社6年目になる広瀬綾さん。広瀬さんは生まれつき両手と両足に障がいがあり、義足をつけて生活しています。日本が世界に誇る一大グループを支える広瀬さんのお仕事についてお話を伺いました。


広瀬 綾さん
ソニーピープルソリューションズ株式会社
人事部門

大学では臨床心理学専攻。2018年新卒入社、人事部門に所属し、給与計算業務を担当。好きなものはパフェとお出かけと丸い木漏れ日。10歳の頃からある俳優の大ファン。学生時代には4年間学園祭実行委員を務め、その俳優を招待するために精力的に取り組む。

 

就活を通して得た、理想の職場像

 

まずはソニーピープルソリューションズでの広瀬さんの業務についてお聞かせください。

広瀬さん「私は2018年に新卒で入社し、現在は人事部門の給与領域を担当する部署に所属しています。給与の支払いやストックオプション対応、税金計算、社員からの質問への応答などが主な業務になります」

広瀬さん「私は障がいがあるため、学生時代にアルバイトをすることができませんでした。周りの友だちがアルバイトをしている中で、『危ないから』『何かあったら責任とれないから』と、ことごとく断られてしまったんです。だからこそ、就活はとにかく本気でやりました。何十社という会社を見る中で、ソニーという会社に出会ったんです」

広瀬さんは、ソニーのどんなところに惹かれて入社を志望したのでしょうか。

広瀬さん「ソニーが一番、社会人として理想的な生活を送ることができる場所だと感じたんです。私の理想は、普通に入社して、周りの人と切磋琢磨しながら普通に仕事をすること。でも就職活動をするにあたり、そんな普通が普通じゃない環境もあることを知りました」

広瀬さんは就活中、障がいがあるがゆえに、こんな苦労も味わったと振り返ります。

広瀬さん「面接に行ったら『障がい者を採らなきゃいけないから、仕方なくやってるんだ』と面と向かって言われたこともありました。そんな中でソニーは、私を障がい者として一括りにせず、人として、広瀬個人として見てくれている感じがしました。例えば面接中に『他にどんな会社を見てるの?』とか『就活は今どれぐらい進んでいるの?』といった採用の話だけでなく、『最近暑いね』なんて世間話もしてくれて。具体的に『これ!』というきっかけがあったわけではありませんが、そういったひとつひとつのやりとりが重なって、素敵な会社だなと思うようになりました」


困っている人がいたら助けるのが当たり前の職場

 

実際に入社してみて印象はいかがでしたか。

広瀬さん「入社前に思い描いていた企業像と、ギャップは感じませんでした。本当にのびのびと、自分なりに仕事ができています。恵まれた環境で働けていると思いますね。私はこの会社に入社して以来、障がいがあるからと言って困ったことがほとんどありません。重い物を持つときには『こっちで運ぶから置いておいて』と言ってもらったり、名前順でロッカーが一番下になったときには『真ん中の方が取りやすいから、交換しよう』と、皆がサポートしてくれる。すごく自然に、当たり前のようにサポートをしてくれるので、私が気づいていないことも、きっとたくさんあると思います」


(写真は、入社1年目の夏、人事の同期と初めての旅行)

「でもそれはきっと、私に障がいがあるからじゃないんです」と広瀬さんは続けます。

広瀬さん「障がいがあろうとなかろうと、男性だろうと女性だろうと、どんな属性であろうと、困っている人がいれば助けるのが当たり前という風土がソニーにはあります。もちろん困ってるときは困っていると言うことも大事だと思います。必要なサポートを提供してくれ、皆を同じスタートラインに立たせてくれます。ただ、そこからは『あなたの頑張り次第です』というスタンスですね。障がいに配慮はしてくれるけれど、それを理由に怠けたり手を抜いたりということは、もちろんできません」

誰もが働きやすい会社に。そんなカルチャー作りのため、ソニーには1年に1度、ダイバーシティ研修があると言います。多様性についての理解を深めるための研修で、役員から新入社員まで、社員全員が参加する研修です。

広瀬さん「去年からは、一部の会社でインクルーシブデザイン研修も始まりました。これは、障がいのある方と一緒に街を歩いてみて、どんなことに困っているか、どんなことを感じているかを知るという研修です。例えば、ちょっと前まで信号が青になると音楽が流れる横断歩道が多かったですよね。でも今は、音楽ではなく『ピヨピヨ』と音が鳴るものが増えています。景色が見えづらく、音を感じながら生活をしている方にとって、そのほうが方向がわかりやすいそうです。こうして得た知識は、『ソニーの製品でも、こんなふうに音を出してみよう』と、開発やデザインにも生かされています」


やりたいことに障がいは関係ない

 

そして社内の風土だけでなく、同期や上司にも恵まれたと広瀬さんは目を細めます。

広瀬さん「同僚とは仕事終わりにパフェを食べに行くこともあるし、この前は一緒にヨーロッパ旅行にも行きました。旅行中たくさん歩いたのですが、気を使わせたくなかったので『足が痛い』や『疲れた』は口にしないようにしていて。そしたら同僚が先に『足の裏がこんな風に痛い』って言うんです。だから『私足の裏ないからわかんないけど、私はこんな風に痛いよ!』って(笑)。そんな会話もできる、安心できる仲間です」


(写真は今年の8月、英国赴任中の同期のもとへ遊びに行ってきたときのもの)

笑顔を交え、同僚との仲を楽しそうに語る広瀬さん。この明るさが広瀬さんの大きな魅力です。

広瀬さん「私、10歳ぐらいまでは本当に暗かったんです。ずっと絶望の中にいて、笑うこともありませんでした。ですが、それではつまらないと思ったんです。その頃、今でもずっと推し続けている俳優やアイドルを好きになり、親にお願いして握手会やイベントに連れて行ってもらいました。そうこうしているうちにだんだんと楽しいことや、笑うことが増え、世界が広がって、気づいたら学校以外の友達も増えていました」

そして広瀬さんは明るさだけでなく、社会人になってからはたくましさも身につけたようです。

広瀬さん「入社するまで、ソニーの最寄り駅である品川駅の混雑を知りませんでした。私は義足を装着していますが、長いスカートを履いていると、周りの人に気づかれません。だから、人とぶつかって転んでしまうかもしれないという不安を感じることがとても多いんです。これは強くならなければと思いました。安全のためにあえて義足が見える丈のスカートを履くこともありますね」

現在入社6年目。最近では、社外の方に会うことが広瀬さんの仕事の楽しみのひとつになっているのだとか。どんなところに楽しさを感じるのでしょうか。

広瀬さん「給与に関する業務をしているので、銀行や証券会社の方と接することも多いんです。そういう方たちと話をしていると、新たな刺激を受けますね。例えばソニーは基本的にカジュアルな服装で、私もスーツを着たのは入社式ぐらいしかありません。いつもお気に入りのスニーカーと、ワンピースで出社しています。一方で銀行の方は、いつもきっちりスーツを着ています。企業による風土の違いを感じるのは楽しいですし、その刺激の中から新しい自分を見つけることもできます。早く一人前になって、さまざまな方と関わることが、今の私の目標です」

それでは最後に、広瀬さんから読者の皆様へのメッセージをお願いいたします。

広瀬さん「私は就活中、30社ほど受けてソニーに巡り会いました。最初から『自分は障がい者だ、こんな私をとってくれるならどこでもいい』と思わず、どんな会社でどんな人たちとどんなことをしたいか、どんな自分でありたいかを想像してもらいたいです。『やりたいことに障がいは関係ない』。これは私からのメッセージでもあるし、ソニーからのメッセージでもあります」