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Update on :2021.02.22

マッサージチームのリーダーとして、 社内ネットワークの代表として活躍中

熊本弘樹さん
モルガン・スタンレー
人事部

世界有数のグローバル総合金融サービス会社「モルガン・スタンレー」。日本においては投資銀行業務、株式・債券のセールス&トレーディング、不動産業務、資産運用業務を含む多岐にわたる金融サービスを提供しています。近年は、ダイバーシティ・アンド・インクルージョン(以下D&I)に積極的に取り組んでいることでも知られています。
今回はマッサージ師として社員の健康を支えている熊本弘樹さんに、仕事のやりがいや、同社の社内ネットワーク活動などについておうかがいしました。
 
▲社員の健康を支えるマッサージ師としての仕事にやりがいを感じている熊本弘樹さん。

 
■プロフィール

熊本弘樹さん
モルガン・スタンレー


2011年に入社。視覚障がいと聴覚障がいを持ち、社員向けのマッサージ師として勤務。2017年にマッサージルームのチームリーダーになり、同時に社員ネットワークの1つであるdisABILITYネットワークの代表としてイベントの企画・運営を行なっている。

 

グアムでのフリースローが、運命を切り拓く

 
高校時代、警察官になることを夢見て勉学に励んでいたという熊本さん。内定が出た矢先に目の病気が発覚し、内定取り消しに。思い描いていた将来の道が変わったといいます。
「『進行性の病気で、いずれ全盲になる』と診断されました。最初はショックで立ち直れなかったですね」
落ち込んでいたときにグアムに行くきっかけがあり、そこでの体験が熊本さんの人生を大きく変えることになったといいます。
「たまたま現地の人たちがバスケットボールをしているのを見ていたら、一緒にプレイしようと誘ってくれました。視野が狭いから球技は目が追いつけないと断ったところ、フリースローなら大丈夫だろう、と一緒にプレイをしてくれました。どうしたら一緒にプレイできるかをシンプルに考え、当たり前に私を受け入れてくれたインクルーシブな人たちとの出会いは、私に大きな影響を与えてくれました。障がいのせいで遠慮するのではなく、自分ももっと積極的になろうと思うようになったのです」
できることからやってみようという思いから、帰国後ドラッグストアでアルバイトとして働き始め、働きぶりが認められのちに正社員に登用されます。
 
▲「マッサージ師としての仕事以外にも挑戦できる環境があることに魅力を感じました」と語る熊本さん

 

入社1年目から社内ネットワークに参加

 
ドラッグストアで責任者にまで昇りつめたものの、視覚の病状が徐々に進行し業務に支障が出るようになったことで、転職を決意したそうです。
「自分自身を高められるのか、職場に目標となる人がいるのかどうかをポイントに就活し、知人の勧めもあり当社に入社することを決めました」
熊本さんが特に魅力を感じたのが、同社の「disABILITYネットワーク」の存在でした。障がいのある社員やその同僚、そして障がいに関する活動を支援したい社員が集う場として設立されたもので、社員のエンゲージメント向上、さまざまなイベント等の実施、所属部署を超えた社員のつながりや情報交換の場になっています。
「ネットワーク活動を通じて、健康に関する情報発信やボランティアイベントを開催しているという話を聞き、マッサージ師としての仕事以外にも挑戦できる環境があることに魅力を感じました」
実際のところ、熊本さんは入社1年目からネットワーク活動に参加し、今や同ネットワークの代表としてイベントの企画・運営を行い社内外から厚い信頼を得ています。
 
▲熊本さんがマッサージ師としての腕を振るうマッサージルームでも、感染予防対策にも余念がありません。

 

社内ネットワーク活動を通じ、会社や社会に貢献

 
disABILITYネットワークの目的は、障がいの有無に関わらずそれぞれの個性を発揮できる職場づくりを目指すことにあり、手話サークルをはじめ、障がいに対する基礎知識やサポート方法を専門家に学ぶセミナーなどを開催し、障がいに対する社員の認知向上に努めています。
「一番印象に残っているのは、全盲の弁護士の方をゲストに招いた講演会です。文章校正の確認の際に、左右の耳で同時に異なる音声の読み上げを聞きながら仕事を処理するという素晴らしい能力を持っている方で、専門の法務関係や障がい者問題などを語っていただきました。反響も大きかったですし、このように有志のネットワーク活動を通じて会社や社会に貢献できるのがうれしいですね」
一方、マッサージ師としての仕事も順調で、いつもフル稼働だといいます。様々な社員と接することは、マッサージの技術力だけでなくコミュニケーション力などを含めた総合力の向上につながり、ネットワークでの活動にも役立っているそうです。
また、チーム内には年齢や職歴などの壁もなく、マッサージ師としての大切な技術もチームで共有して互いに成長し合うので、新人時代はとても助かったそうです。
「マッサージはお客様の反応がダイレクトに自分に返ってくる仕事です。気持ちが良いと身体の緊張も解け、表情もやさしくなります。『ありがとう。おかげで仕事がまた頑張れるよ』とお礼の言葉をいただけます。継続して満足していただけるように、施術が終わったらどこが良かったのか悪かったのかをなるべく具体的にお客様に聞き、常に成長を心掛けています」

また、会社として障がいのある方が働きやすい環境作りに注力していることも、自身の働きがいにつながっているといいます。
「オフィスのバリアフリー環境を整えるために総務部から当事者たちにヒアリングがあり、エレベーターの音声案内や階数ボタンの点字表記、セキュリティゲート通過時の音と光信号の複合案内などをリクエストしたところ、それらを実現してもらい、非常に心強かったです。障がいと一口に言っても、種類もレベルも違います。例えば、私は将来的に病状が進行した際には音声読み上げソフトを使用することになりますが、今はまだその必要はありません。でも、会社がその時々のニーズに応じて配慮をしてくれると思えるので、安心して働けます。誰もが働きやすい環境が整っているかどうかは、私たちにとって非常に重要ですし、決して過剰ではなく合理的配慮に基づいて環境を整備してもらえることにとても感謝しています」

▲入社1年目から、disABILITYネットワークに参加。今ではイベントの企画・運営を行なうなどチームに不可欠な存在に成長。

 

就活時は、会社と応募者はあくまても「対等」です

 
入社から約9年。マッサージ師としての仕事の奥深さや難しさを知るとともに、その魅力を感じているという熊本さん。コロナ禍の現在、感染拡大防止を徹底するため、マッサージ・ルームでの業務は休止中です。
「マッサージの仕事は好きなので、これからも継続したいと思っています。再開しても軌道に乗るまでは試行錯誤を繰り返すでしょうが、モルガン・スタンレーという会社で働く多くの人たちの健康をサポートしているという自負を持って取り組んでいきたいです」

常に前向きに努力を重ねている姿が印象深い熊本さんから、就職活動中の読者の方にメッセージをいただきました。
「就職活動をするときは、自分がどんな環境を求めているか。どういう仕事をしたいのかを文章化することをお勧めします。そうすると面接でしっかり自分の気持ちを伝えられるからです。また、面接は皆さんが選ばれるためだけに行うものではありません。面接を受けながら企業を判断し、選ぶ機会でもあります。互いに選び、選ばれる対等の立場だという気持ちを持って臨むことで緊張も和らぎ、自信を持って話せます。応援しています!」