diversity works > 職場を知る > Be yourself:自分らしくあることが一番の強み
Update on :2020.06.09

Be yourself:自分らしくあることが一番の強み

バスマジェ・詩織さん
ユニリーバ・ジャパン
ユニリーバ ヒューマンリソース アシスタント人事マネジャー

世界190ヵ国以上でビジネスを展開する消費財メーカー「ユニリーバ」。「Be yourself(あなたらしく)」を大切にする企業文化のもと、社内外に向けた様々な取り組みを行っています。

今回は、人事としてダイバーシティ&インクルージョン推進を担当している、バスマジェ・詩織(ばすまじぇ しおり)さんにお話を伺いました。

バスマジェ・詩織さん
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス
ヒューマンリソース アシスタント人事マネジャー
HRビジネスパートナー/D&Iリード/採用企画・戦略リード

営業部門を人と組織面からサポートして事業成長を促すビジネスパートナーとしての役割に加え、D&Iの推進や採用戦略もリード。子育て中のワーキングマザーでもある

 

ダイバーシティ&インクルージョンは、ユニリーバでは当たり前であり「法律」です!

 

「ダイバーシティ&インクルージョンは、ユニリーバでは当たり前であり、『法律』なんです!」という力強いバスマジェさんの一言でインタビューは始まりました。

なんでも、ユニリーバには「ユニリーバ 企業行動原則」と呼ばれる、全世界の社員が遵守する行動指針があり、これがいわば社内の法律のように重要視されているとのこと。このなかに、多様性の推進や、あらゆる人を公平かつ平等に扱うことなど、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)に関する内容がしっかりと盛り込まれ、もし違反が疑われるようなことがあれば365日・24時間いつでもホットラインに匿名で相談できるようになっています。

「この企業行動原則は社内でとても浸透しています。全社員が入社時に遵守することを宣誓しますし、入社後も年に1回、この指針に関するトレーニングを実施しています。その結果、一人ひとりの個性や特性を尊重することが企業風土として根付いています」

 


 

個性を活かすことがパフォーマンス向上に繋がる

 

D&I推進はビジネスの成長において欠かせない要素であり、取り組むのは当然のことだと語るバスマジェさん。

「会社が社員を一つの型にはめて、個性や強みを消してしまうことは本当にもったいないと思います。そうではなくて、個性や強みを活かすことこそが、結果的にパフォーマンスの向上に繋がっていきます。また、個性を尊重することは、この会社で働いていてよかった、この会社のために頑張りたい、という帰属意識や貢献意欲にも深くかかわっています」

また、常に新しいアイディアや商品開発が求められる消費財メーカーとしても、D&Iは非常に重要な意味を持ちます。

「単一な考え方を持った人が集まっても、新しいアイディアは生まれません。世の中の縮図のように、様々な属性やバックグラウンドの人が集まるからこそ、世の中を反映した、革新的なアイディアが生まれると考えています」

 

性別による先入観を取り除く!「LUX ソーシャル ダメージケア プロジェクト

 

ユニリーバのD&Iの大きな特徴のひとつに、社外に向けた積極的な取り組みが挙げられます。例えば、ヘアケアブランド「LUX」が2020年春にローンチした「LUX ソーシャル ダメージケア プロジェクト」もその一つ。


 

「無意識に生じる性別への先入観について、社会に気づきを発信しながら、実際に取り除くアクションを起こす」このプロジェクトの第一弾では、ユニリーバ・ジャパンの全採用プロセスで、顔写真や性別欄、ファーストネームなど、性別を知ることにつながる一切の項目を削除。応募者の適性や能力のみに焦点を当てた採用を行うことを決めました。

同時に、オンラインメディア「ハフポスト日本版」とコラボレーションし、女性が感じてきた「見えない壁」に対する気づきを発信していくキャンペーンもスタート。社会に向けて力強いメッセージを発信しています。

「このプロジェクトのきっかけは、実は人事ではなくLUXの担当チーム。LUXは女性が自分らしく輝くためのサポートをすることをブランドフィロソフィーとして掲げています。女性のキャリアの最初の一歩である採用過程において性別への先入観が存在することに問題意識を感じたLUXの担当者が、何かできないか、と人事に相談してきたことが始まりです。ユニリーバではD&Iは全社員で進めるもの、という認識があり、私はその中で、あくまで社内のとりまとめ役という位置づけです」

 

働く場所も時間も自分次第

 

ユニリーバのD&Iのもう一つの大きな特徴は、驚くほどに柔軟な働き方。2016年から「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」という制度を採用、大きな話題を呼びました。

 


WAAを使えば、自宅やカフェなどどこからでも勤務でき、平日の5時~22時の間で自由に勤務時間や休憩時間を決めることができます。しかも、理由を問わず使えて、その理由を上司に説明する必要もないとのこと!

「WAAを使えば休暇先からも仕事をすることもできますよ。大型連休の間に会議などが入っている場合も、そのためだけに出社する必要がなく合理的です。新型肺炎の影響で在宅勤務になった際も、普段からテレワークに慣れているので、スムーズに移行できました」


バスマジェさん自身も産休を経て復職したとき、WAAを活用しながら、時短勤務ではなくフルタイムで働くことを選びました。

「今日は子供と過ごそう!と決めた日は、午後3時ごろに保育園に迎えに行って、そのまま子供が寝るまで一緒に遊んで、その後に仕事をしたりもします。また、予想していた以上に子供が体調を崩す日が多く、そういう日は自宅からテレワークしています」

 

会社に行くことが毎日楽しみになる。そんな組織の土台を作りたい

 

もともとは営業として働いていたバスマジェさん。「会社に行くことが毎日楽しみになるような組織の土台作りをしたい」という思いから、自ら希望して人事部門へ。

「人事の仕事のなかでも、特に新卒採用とD&Iに思い入れがありました。新卒に関しては、日本の画一的な就活システムにずっと疑問を抱いていて、それを解決するために、365日いつでも、どこからでも応募できる『UFLP365』を導入しました。」

D&Iには元々興味があったが、さらに関心を強めたきっかけは、日本とトルコのダブルであるパートナーと結婚し、苗字を「バスマジェ」に変更したこと。

「苗字を変えてはじめて『マイノリティ』として扱われることを自分の肌で体感しました。どんな人でもそれぞれに異なるバックグラウンドや個性を持っているのに、ある特定のグループだけ『マイノリティ』とラベリングされたり、当たり前の権利が受けられなかったりする社会のあり方に強く違和感があります。この社会課題に対して、人事の領域からできることがあると思い、D&I推進を担当しつづけています。今年1月にユニリーバ・ジャパンに着任した社長からも『D&Iが何よりも重要。引き続き頑張ってほしい』と声をかけてもらい、とても嬉しかったです」

 


 

Be yourself: 自分らしくあることが一番の強み

 

「檻のない動物園」— これは自分たちの会社を表す言葉として、ユニリーバ社員が長年使っている表現だそうです。

「それぞれに違う個性を持った動物たちが、檻に入ることなく、自由に働いている。そんな状態を表現した言葉です(笑)ユニリーバでは『Be yourself(あなたらしく)』という言葉をとても大切にしています。1人ひとりの意見が尊重されるので、どんな立場の人の発言も否定されることはありません。新入社員が部長に意見を伝えても、部長も『おー、意見ありがとう!』という感じで、とてもオープンでフラットなんです」

インタビューの最後に、バスマジェさんからdiversity works読者に向けて、こんなメッセージをいただきました。

「自分らしくあることが自分の一番の強みであることにぜひ気づいてください。仕事をするうえでも、『あなたらしさ』がきっと一番の武器になりますよ!」