1964年に世界最大級の消費財メーカー、ユニリーバの日本法人として設立されたユニリーバ・ジャパン。ラックス、ダヴ、ジフ、ドメストなどなど、世界中で愛される商品も多く生み出しています。今回はそんなユニリーバ・ジャパンの営業部に所属する亀田さんに、お話を伺いました。
亀田 智史さん
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社
営業統括本部 東日本地区 ショッパーマーケティング エクゼクティブ
2019年に新卒としてユニリーバの営業部に入社。2022年よりショッパーマーケティングを担当し、店頭でのキャンペーンの企画運営や、販促物の準備などを手がける。
あのパーパスに魅せられて
現在入社5年目という亀田さん。ユニリーバ・ジャパン(以下ユニリーバ)に興味を持ったのは、学生時代の出来事がきっかけだったと言います。
亀田さん「学生時代に1年間アメリカに留学をしていて、そこでジェンダーに関する授業をとっていました。その授業の中で、ボディウォッシュでよく知られているユニリーバのビューティケアブランド『ダヴ』のプロモーション動画『リアルビューティー スケッチ』を見たんです」
ユニリーバでは、企業そのものだけでなく、それぞれのブランドにもパーパスを持たせています。ダヴのパーパスはすべての人が自分の美しさに気づくきっかけをつくること。『あなたらしさが、美しさ』であることを伝え続けています。そのことに、亀田さんは魅せられました。ダヴという商品は知っていたけれど、当時はユニリーバのブランドだということも知らなかったという亀田さん。
亀田さん「パーパスに惹かれてダヴについて調べ、ダヴがユニリーバのブランドであること、ユニリーバが日本で新卒採用を募集していることを知りました」
パーパスに惹かれ、ユニリーバ入社を志した亀田さん。他の企業についても、様々リサーチしたそうです。
亀田さん「いろいろな業界も見ましたし、いろいろな企業も受けました。就活の軸として、まずダイバーシティに理解のある会社で働きたいと考えていて、まさにReBitさんのサイトで企業探しをしたこともありました。ただ、第一志望はずっとユニリーバでしたね。ダイバーシティも含めて、社会や環境のことを本気で考え、サステナビリティを重視しているところにも魅力を感じていました」
亀田さんは、なぜ就活においてダイバーシティに理解のあることを第一に重視したのでしょうか。
亀田さん「ダイバーシティといっても色々ありますが、とりわけジェンダーは自分にとって生まれた時からすごく距離の近いテーマでした。私は女の子っぽいという理由で、周りから嫌なことを言われた経験があります。自分みたいな思いをする人が減って欲しい。それを自分のパーパスとして持っているんです。仕事をする中で、自分らしさを大切にする価値観を広めていきたいんです。だからジェンダーに理解がある会社というのは、私にとって最も重要なことでした」
自分らしくあることで、力を最大限に発揮できる
亀田さんは去年から、営業部でショッパーマーケティングを担当。営業社員と一緒に外部の人に会うことも多くあります。
亀田さん「実際に入社してみたユニリーバは想像通り、いや想像以上にインクルーシブな環境でした。私、メイクが好きなんです。でも営業という仕事なので、『もっとちゃんと男らしくしろ!』って注意されるんじゃないかと思って、最初は控えていました。そしたら、同期の子が『メイクしたらいいじゃん』って。ネイルにしても、上司が『亀ちゃん、やってみたら?』って背中を押してくれたんです。本当にありがたかったですね。自分をかわいくすることに対して、同期も先輩も、上司までも『ステキだね』って言ってくれるんです。私、この会社のこういうところが大好きなんです」
ユニリーバでは『Be Yourself』、自分らしくあることをとても大切にしているといいます。それは、自分らしくあるときに、力を最大限に発揮できると考えているからだとか。
亀田さん「No.1ヘアケアブランドのラックスでも、この春から自分らしさを応援するキャンペーンを始めたんですよ。ラックスの調査で、約2人に1人が学校や職場のルールなどの理由で、自分の好きな髪型や髪色を諦めたことがあることがわかりました。そこで、『#Be Hairself 私の髪は私が決める。』をスローガンに、自分の好きな髪型や髪色を選べる社会への変化を起こしていこうとしています。まずはユニリーバ・ジャパンの入社式から…と新入社員の皆さんに自分らしい髪や服装で来てもらったところ、金髪やニットの方もいたそうですよ」
しかし、目に見えない価値観を大切にしているからこその難しさもあると亀田さんは言います。
亀田さん「私はダヴのパーパスに惹かれてユニリーバに興味を持ちました。ダヴのパーパスは心に訴えかけますが、例えば私が留学先の授業ではじめてパーパスを知ったように、パーパスを伝えるのにはきっかけが必要です。ダヴをはじめ、ユニリーバのブランドが持つパーパスを小売店様・消費者の皆様に伝え、共感していただき、いかに製品の支持に繋げられるかは、私たちが今後も取り組んで行くべきミッションだと考えます」
COLOURFUL IS POWERFUL=自分の色を出すことが組織の強みになる
続いて、ユニリーバのERGについてお伺いしました。
亀田さん「社内でEDI(エクイティ、ダイバーシティ、インクルージョン)を推進する『ユニリーバ・プラウド』というグループに参加しています。私が参加するようになったのは今年の5月からで、メンバーは20数名ほど。現在は隔週でミーティングを行っています」
亀田さんはなぜEDIに参加しようと思ったのでしょうか。
亀田さん「今年ユニリーバ・ジャパンとして東京レインボープライドに協賛・出展したんです。そのときはまだユニリーバ・プラウドのメンバーではなかったのですが、私も当事者でありアライの一人として参加しました。そこでやっぱり、自分にとってダイバーシティやジェンダーはとても大切なものだと再認識しました。それがきっかけでグループにも参加しようと思ったんです」
ユニリーバでは、EDIをグローバルな成長戦略として組み込んでおり、数値目標も掲げているのだそう。会社として、EDIのさらなる発展を目指していると言います。
亀田さん「とは言っても、上から『ああしろ、こうしろ』と言われることはありません。会社はあくまでも、自主的に集まった社員の情熱や行動を支援してくれるという立場ですね。ERGに分類されるものはユニリーバ・プラウドだけですが、他にも社内には様々な有志のグループがあります」
営業の若手有志が集まってサステナビリティを推進している「プロジェクト・シェパード」と呼ばれているグループにも亀田さんは参加されているそうです。社員の皆さんがこんなにも自発的に活動をしているのには、どんな秘密があるのでしょうか。
亀田さん「やはり、あなたのやりたいことを応援します、という企業文化が、根底にあるのが大きいと思います。ユニリーバは、企業としてのパーパスやブランドパーパスを明確に打ち出していますが、社員一人ひとりのパーパス、その人が人生で何を成し遂げたいのかも大切にしています。入社面接でも徹底的に聞かれますし、入社後も丸1日かけて自分のパーパスを見出すワークショップがあったり、『フューチャーフィットプラン』や『パーソナル・ディベロップメント・プラン』など、自分のパーパスやキャリアの目標や希望を上司と共有し、自分がちゃんとやりたい方向に進めているか、そのためのサポートをちゃんと得られているかを話し合える仕組みがあります。自分と向き合える、応援してもらえる環境が整っていますね。会社にそういった姿勢や文化があるから、従業員も自発的に行動しやすいんだと思いますね。他の企業の方から『環境や社会のために社員が自発的に動けるってすごいね』とお褒めいただくこともあります」
自分らしさや自分の色を表に出す。亀田さんは、そのことについてこんなエピソードもお話してくれました。
亀田さん「私は去年、今のショッパーマーケティングの部署に異動してきました。でも異動したばかりのころは、仕事で自分がやりたいことをうまく表現できなくて。その時に上司から『もっとあなたの色を出して』『亀ちゃんがこの仕事に関わるからこそ出せるバリューを出して』と言われたんです。それを聞いて、『そうか、もっと自分を出していいんだ』と思いました。社長のジョイ・ホーも、いつも『COLOURFUL IS POWERFUL』と言っています。社員が一人ひとり違う色を持っていて、それを出すことが組織としての強みになるというのが、ユニリーバの価値観なんです」
そしてひとつひとつの色は、他の方が持つ色と混ざることで、新たな色を生み出します。
亀田さん「有志グループが企画した『♯ジェンダーってなんだ?』キャンペーンが、7月1日からスタートしました。やはり自分たちが企画したものを、会社として表に出してもらえると、やりがいを感じますよね」
では最後にこの記事をご覧の皆様に、亀田さんからのメッセージをお願いいたします。
亀田さん「以前、上司の一人とランチに行ったことがありました。その方は海外の方でしたが、そのときに『私をこんなに自分らしくいさせてくれてありがとう』と伝えたんです。そしたら『それは当たり前のことなんだよ。申し訳ないとか、恥ずかしいとか、自分らしくあることをそんな風にネガティブに捉えないで欲しい』と言われました。この会社に入って良かったと、改めて思いましたね。ユニリーバに入っていろいろな人に会えたことで、私はもっと自分になれました。皆さんにも、やりたいことをやって、なりたい自分になって欲しいと思います」