diversity works > 職場を知る > 社員のサステナビリティ・グループによるボトムアップ活動で、 D&Iを推進する資産運用会社
Update on :2022.10.24

社員のサステナビリティ・グループによるボトムアップ活動で、 D&Iを推進する資産運用会社

宮脇貴英さん/秋山泰子さん
日興アセットマネジメント株式会社
人事本部/トレーディング部

東京本社をはじめシンガポール、米国、英国、ニュージーランドなどを拠点にグローバル展開をする日興アセットマネジメント。投資信託の開発、運用、管理などを行う資産運用会社として60年以上の歴史を誇っています。2018年にコーポレート・サステナビリティ部を新設し、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)を精力的に推進しています。今回はワーキングマザーとしてトレーディング部で活躍する秋山泰子さんと、D&I推進活動にも携わる人事本部の宮脇貴英さんにお話をお伺いしました。

人事本部長 宮脇貴英さん

2019年2月中途入社。モルガン・スタンレー証券をはじめとし、外資系保険会社2社を含めて20年以上に渡り人事を担当。現在は日本法人を含めグローバルの人事責任者として活躍しながらサステナビリティ・グループのD&I推進活動にも積極的に携わる。

トレーディング部 秋山泰子さん

2013年8月中途入社。大学卒業後、日系証券会社に勤務。その後、フランス系証券会社に長年勤務したのち、日興アセットに外国株トレーダーとして入社。結婚・出産を経て、現在はレンディンググループとマルチアセットグループを兼務し、レンディング及び国内先物のトレードを担当している。
 

D&Iはサステナビリティ実現のための3本の柱のひとつ

 
日興アセットマネジメントでは、2018年にサステナビリティの考え方を浸透させるべく、コーポレート・サステナビリティ部を創設。サステナビリティ活動では、主に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」「不平等の是正」「環境・気候」の3つのテーマを重点的に取り組んでいます。

「私が入社したときには、サステナビリティ部が設立され、すでにD&Iにも取り組んでいました。私たちの仕事は、モノを作るのではなく、お客様の資産をお預かりして運用・管理する仕事です。対象となるお客様は国籍も性別も違いますし、育ってきた環境も違います。そうした多様なお客様のニーズに応え、よりよい関係を築いていくためにD&Iの概念・知識は不可欠です」(宮脇さん)

お客様との信頼関係を築くためにはもちろん、商品開発、人材採用・育成の面でもD&Iは欠かせません。例えば商品開発の担当者が中高年代の男性ばかりであれば、どうしても一面的な見方に陥ってしまいがちです。人材採用・育成面から見ても、最適な能力を持ち、将来性がある人材を望むならば、どんな属性の方でも受け入れられる環境が求められています。

「私は以前、外資系企業の日本法人で勤務していました。当時、弊社とも取引があったのですが、他の日本の企業と比べると女性が活躍している会社というイメージがあり、転職するときもそれが決め手のひとつでした」と秋山さんがいえば、宮脇さんも「私も入社前から弊社は取引会社でしたが、多様性もありグローバルな環境だと魅力を感じていました」と賛同されました。

同社のD&I推進活動は、トップダウン式ではなく、社員によるサステナビリティ・グループによる「草の根」的なボトムアップ活動が中心になっています。

「日本、欧州、ニュージーランド、シンガポール、米国から計11のサステナビリティ・グループが定期開催されるミーティングで、アイデアを共有しています。また、2020年以降はコロナ禍の制約のなか、社員の意識向上を図るべく、全社員が参加可能なセミナーを積極的に企画・開催しています」(宮脇さん)
 

サステナビリティ・グループが中心になって、D&Iを推進

 
国内の代表的なサステナビリティ・グループとしては、以下のようなものがあります。

(1)ジャパンLGBTQグループ
LGBTQ問題に対する意識や理解を向上させ、LGBT+の人々を取り巻く状況を改善するために社内外の変化を促すことを目的に活動。同社では2020年に婚姻の平等サポートを宣言し、その最初の一歩として在日米国商工会議所(ACCJ)による「婚姻の平等確立のための意見書」に賛同。また、認定特定非営利活動法人ReBitによる「RAINBOW CROSSING 2020」のキャリア・フォーラムにも参加。

(2)ジャパン・ウィメンズ・グループ
女性の活躍支援体制の強化を目的に活動。社員向け研修・エンパワーメントセミナー、社外講師を招いての講演など、様々な取り組みを定期的に企画・運営。ジャパン・ウィメンズ・グループが草の根レベルでの活動に注力する一方、女性社員の就業環境をさらに向上させるために経営陣主導のトップダウンのイニシアティブにも取り組む。

(3)ジャパン・アビリティーズ・グループ
身体的、精神的に他の人と異なる対応が必要な社員のニーズを認識し、強いては全ての社員にとっての職場環境を向上させることを目的に活動。メンタルヘルスに関するセミナーも開催し、日本ではオープンに語りにくいトピックについて社員が率直に質問できる機会を設ける。

D&I活動を推進していくうちに社内の雰囲気にも徐々に変化が生まれているそうです。
「トップダウン式でD&Iを推進している会社と異なり、当社はあくまでも社員のボトムアップによるグローバルな活動が行なわれてきた意味が大きいと思います。今年(2022年)4月にドイツ出身で女性であるステファニー・ドゥルーズが社長に就任したこともロールモデルとして社員に強い影響を与え、女性管理職比率を高める目標に対して具体的なアクションを進めています。そうした一つひとつの取り組み実績が社員を勇気づけ、活動に対してのモチベーションを上げていると思います」(宮脇さん)
 

多様化する時代だからこそ、自分の個性を伸ばす道を選択

 
女性管理職の比率を上げることに関して、ワーキングマザーでもある秋山さんはどう思っているのでしょうか。

「女性管理職比率を上げることが注目されていますが、『だから、女性社員は頑張りましょう』ではなく、男性社員も含めて全ての従業員が職務を全うできるように下地を整えていくという姿勢に共感を覚えます。私が育休から復帰するとき、パートナーが育休を取ってサポートしてくれました。復帰に多少なりとも不安を感じていたので、男性が自然に育休を取得できるような環境は、とても心強いです。また、トレーディング部は毎日オフィスに出社することが一般的でした。しかし、コロナ禍という事情もありますが、在宅勤務が可能になったのも働き方改革を含むD&I活動のおかげだと思います」(秋山さん)

そんなお二人に読者の皆さんにメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

「人生は選択の連続です。私もそうでしたが、女性は結婚や出産などライフイベントで選択のポイントが異なります。まだ子どもがいなかった前職時代は、主に自分のやりたいことを追求していましたが、将来的に家庭を持つことを考え始め、より柔軟な働き方ができることを重視するようになり、弊社に転職しました。ですからその時どき、ベストだと思うものを選択し、もしその道に違和感を覚えたら、別の道を探る。そのくらいのしなやかさを持って、これからのキャリアを歩んで欲しいと思います」(秋山さん)

「働き方が多様化する時代になり、それだけ働く選択肢も増えるでしょう。選択肢が多すぎて迷ってしまう方も多いかと思いますが、働きやすく、かつ自分の個性を伸ばしてくれそうな仕事環境を一つの基準にするのはいかがでしょうか。当社は多様性の中で色々なチャレンジができる会社です。そんな環境でご自身の可能性を試したい方とお会いできることを楽しみにしています」(宮脇さん)