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Update on :2020.10.30

ひとりひとりの個性と向き合う

玄地潤子さん
アクセンチュア株式会社
人事本部

「障がいのある社員にとって働きやすい環境は、障がいのない社員にとってもより快適な環境である。さらに、多くの障がい者を採用し支援する企業は、そうでない企業よりもはるかに高い業績を上げている」ということを自社の調査(Getting to Equal: The Disability Inclusion Advantage, 2018)でも明らかにしているアクセンチュアでは、障がい者への雇用機会の創出に積極的に取り組んでいる。今回は障がいのある社員のサポートをしている玄地さんにお話をうかがった。

玄地潤子(げんち じゅんこ)さん

人事本部 労務担当人事 PwD(Persons with Disabilities)サポートチームのリード。
障がいのある社員の採用からかかわり、入社後の職場定着、環境整備など様々な面での就業サポート、また精神障がい・発達障がいのある社員が多く勤務するサテライトや、知的障がいのある社員が多く働く農園の管理を担当している。
 

他企業と連携し、障がい者の働く機会を創出

 
大学時代は英語学科で学び、インカレのアイセックの活動を通し留学生の受け入れをしていた玄地さん。語学を生かした仕事をしたいと、新卒で秘書としてアクセンチュアに入社した。入社当初は、現在担っている業務を担当することになると予想はしていなかったそうだが、グループ付の人事を経験し、自然な流れで現在に至る。

社会人になるまで障がい者との関わりが特別に多かったわけではないものの、幼少期に印象的な出会いがあったという。

「母の友人の息子さんがダウン症でしたが、私は彼に会うのが毎回とても楽しみだったのです。いつもにこにこしていて人柄がよく、会うだけでこちらがハッピーになりました。」

現在は障がいのある社員をサポートする人事担当として活躍する玄地さんですが、「ひとりの人と向き合う」という点では、特に障がいの有無を気にしてはいないという。

「個人としての接し方は障がいの有無を特に意識していません。ただ、障がいのある社員と接してから、街中を歩いているときに下肢に障がいのある人にはここは歩きにくいなとか、タッチパネルのエレベータに乗るときに視覚障がいの方には使いづらいなといった視点を持つことができるようになりました」

玄地さんが担当している業務のひとつに「障がいのある社員が働く農園の管理」がある。アクセンチュアでは自社の拠点で障がい者雇用を行っているほか、障がい者雇用機会と新鮮な無農薬野菜を提供している企業と連携し、農園で水耕栽培の野菜の生産に取り組んでいる。種をまくところから野菜のパッキングまで、主に知的や精神障がいのある社員が担当している。

「農場で働いているメンバーが、自分の名前を呼んで挨拶してくれるときに嬉しさを感じます」

 
もちろん「障がい」と一言に言ってもいろいろな障がいがある。身体障がい、精神障がい、発達障がい、知的障がい、かつ様々な組み合わせがあり、同じ障がいがあっても内容は人それぞれ。入社前に産業医が障がい内容と配慮事項を確認するが、入社後に勤務を開始してわかる事実もある。障がい内容に合わせて個別に対応する必要がある。
 

人事を通して気づいた傾聴の大切さ

 
もともと人付き合いは得意なほうではなかったという玄地さんだが、人事として人と話す機会が増え、会社からのサポートもあり、産業カウンセラーの資格を取得した。その中で学んだ「傾聴」の重要性は、現在の仕事に役立っているという。

「人の話を聞くことを十分理解していなかったと衝撃を受けました。傾聴はまずその人の話を聞くというスタンスです。人の話を聞いていると自分なりの解釈をしてしまいますが、まずその人の話に集中する。そうするとその人の言いたいことがわかってきます」

玄地さんはそれまで話をきちんと「聴く」というより、勝手に解釈しながら「聞き」、その結果、その人の話したいポイントを間違えていたことがあったという。話が聴けていると思っていたができていなかったことに気づかされた。傾聴を学ぶことで得たスキルは、現在障がいのある社員の人事を担当する上でも役に立っている。
 

特性はだれもがもっているもの

 
今まで認定されていなかったが障がいとして認定されるようになったものもある。最近では発達障がいが認知されてきているが、ほかにも「障がい」と認定されないものもある。

「障がいの有無にかかわらず、特性はいろんな人にあると思います。自分も含めて。その強弱で障がいと認定されたり、されなかったり。そういった意味では、個性や特性、レベルの違いなのかなと感じます」

「特性に名前がつけられることで安心する方もいます。例えば他者との関わりにおいてずっと生きづらさを抱えながら生きてきた方が、大人になって病院に行ってみたら「発達障害」があると診断され、だから上手くいかなかったんだと納得できる。理由が分かれば、あとはどうコミュニケーションをとっていけばいいか支援機関でトレーニングを受け、それによって周りの人と上手くやっていくことにつながるケースもあります」

 

コミュニケーションの仲介役「ジョブコーチ」

 
アクセンチュアには障がいのある方の就労を支える様々な制度やサポートがある。例えば、人事本部には「ジョブコーチ」がいるが、障がいのある社員が入ってきたときにうまく定着できるよう支援する役割を担っている。受け入れ側の管理者に必要な配慮の共有や指導方法をアシストしたり、障がいのある社員には上司とのコミュニケーションの仲介役をしたりする。

制度としては「定期通院サポート」がある。障がい者手帳がある社員は、入社から半年は、月に1回(もしくは半年に6回)、障がい者手帳に関連する通院を業務時間に行える。それ以降は全社員に導入されている私傷病休暇を利用し、定期通院以外の通院等にも利用することができるようになる。

「長期で働いている方が多いのは嬉しいですね。社員をサポートする制度を変えたり取り入れたりということが個人の働きやすさに繋がっている、そのような声を聞くと嬉しく思います」

制度の導入・変更などに関しても一定のスピード感を持って進めていく社風があり、それが全社員にとって働きやすい職場につながっている。

「アクセンチュアには”Think Straight, Talk Straight”という社風を表す言葉があり立場に関係なく全員が考え抜き、自分の意見を素直に発言することが歓迎される環境です。自ら手を挙げて部署異動の希望を出すこともでき、いろいろな意味で柔軟性に富んだ職場環境だと思います」
 

変化のスピードを楽しみたい人はチャレンジしてほしい

 
「こう生きたい」を軸に仕事を選びたい18歳〜25歳へのメッセージをお願いした。

「若いうちから、”こう生きたい”と強く思えるものがあるのはすばらしいことだと思います。自分は与えられたことを着々とこなす感じでした。

自身のキャリアをどうしていきたいのかまだ見えていない人もいるかと思いますが、アクセンチュアでは自身の特性を活かしながら、ライフステージに応じて働き方を変えることができます。その成長スピードの速さ、変化もアクセンチュアの特徴かと思いますが、そういう環境の中で挑戦したり、楽しんでいきたいという方はぜひチャレンジしてほしいですね。」