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Update on :2020.10.20

多様な選択肢の下、異文化を経験しながら共感力を高めていく

押川剛一郎さん/石山桃子さん
株式会社丸井グループ
エムアンドシーシステム デジタルトランスフォーメーション推進本部 R&Dセンター/丸井 有楽町マルイ レディスファッショングッズ

“すべての人が「しあわせ」を感じられる、インクルーシブで豊かな社会を共に創る”を理念に掲げる丸井グループ。あらゆるお客様を視野に入れており、社員は様々な職種を経験することで、自然と多様な文化への共感力が高められる。今回は、半年間の育児休業を取得された押川さんと、LGBT当事者として1年半前に入社した石山さんにお話をうかがった。(2020年9月取材)

押川剛一郎(おしかわ こういちろう) さん

1999年度入社。婦人服販売~人事部リクルーター→メンズ生産管理→人事部→テナント営業・開発・リーシング→経営企画部→オムニチャネル事業本部→人事部を経て、2018年4~9月に半年間の育児休業を取得。復職後は、グループのシステムの管理・開発を担うエムアンドシーシステム R&Dセンターにて丸井グループ全般に関わる新たなIT技術・サービスの導入に携わる。

石山 桃子(いしやま ももこ) さん

2019年度入社。レディース雑貨販売。FtXトランスジェンダーであることを就職活動時からカミングアウトしており、メンズライクな服装で働いている。現在社内のダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)プロジェクトに参画し、D&Iを「カタチ」にしようと奮闘中。

まずは、丸井グループへの入社を決めた背景を教えてください。


押川さん
大学時代ホテルのバーでアルバイトをしていた経験からお客様を喜ばせる仕事をしたいと思いました。丸井グループは小売業だけでなく、カードを通した金融業にも携わっており、独自のビジネスモデルを構築している点に魅力を感じました。

石山さん
自身のセクシュアリティのことからも、将来、法律婚を想定していなかったため、女性も長く活躍できる企業としてITベンチャー企業を中心に就職活動をしていました。そのため丸井グループは業界としては検討していなかったのですが、RAINBOW CROSSINGのイベントでブースを出していたことがきっかけで、後日会社説明会に参加しました。その説明会は特にD&Iをテーマにしたものではなかったのですが、「丸井グループは、LGBTや障がい者などすべてのお客様を視野に入れています」という説明を聞き、肌感が合うのではないかと感じました。

その後3日間のインターンに参加したのですが、グループワークで学生から出た意見に対して真摯に対応してくれた姿などに惹かれました。選考の中ではLGBTであることをカミングアウトしていましたが、最終面接の前に「私たちが配慮にかけていたことや、困っていることはありませんか」と連絡をくれたことも非常に嬉しかったです。

現在どのようなお仕事をされていますか?


押川さん
私は現在、丸井グループ全般に関わる新たなIT技術・サービスの管理や開発に携わっています。丸井グループは「人の成長=企業の成長」という経営理念を掲げており、環境の変化も成長の機会として、「職種変更」というグループ会社間を異動する独自の制度を推進しています。私自身もこれまで、店頭での販売から人事、生産管理、テナント営業、経営企画など色々な部署を経験してきました。

石山さん
私はまだ入社して1年半なのですが、店頭での販売をしており、私服で売場に立っています。私はふだん、いわゆる「女性らしい」格好をしておらず、「レディース雑貨」売場に立つことにはじめは違和感があったのですが、私がどんな格好をしていようがお客様は気にされないということに気付きました。今のところ服装に関して指摘されたことはありません。

レディース雑貨となっていますが、最近はユニセックスな商品が多く入ってきていますね。また社内では、メンズ・レディースではなく、導入階雑貨・上層階雑貨というような呼び方になっています。

会社での普段の様子(石山さん)

丸井グループのD&Iに関する制度の利用について教えてください。


押川さん
3人目の子どもが生まれたときに、半年間の育児休業を取得しました。2人目のときも取得したのですが、その時は10日間の取得でした。長期で取得するケースは周りにもなかったためキャリアパスなどの不安について上司にも相談をしましたが、「自分の意志と家族の状況を考えてはどうか」とアドバイスを頂き、自分の人生にとってこれはプラスになる、という想いを持っていたので、取得を決断しました。

半年の育児休業をとってよかったと感じたのは子どもの成長を間近に見られたことですね。特に子どもの数多くの「初めての経験」に立ち会えたことは感動的で自分にも刺激になり、チャレンジ精神が湧いてきました。復職後は、会社公認のビジネススクールに通ったり、資格の取得等に取り組むなど、新たなことにチャレンジするモチベーションになりました。今の部署がグループのシステム開発等を担っているので、今まで門外漢だったAIに関する資格も今年取得しました。

また、この経験を社会に還元したいという気持ちも生まれました。現在、丸井グループでの男性社員の育休取得率は100%となっていますが、その先を考えていく「共働き2.0」という社内のグループ横断プロジェクトに参加し、男女の役割分担意識の改善などに取り組んでいます。

自分の働き方も変わりました。仕事により計画性をもって取り組むことによって、子どもの行事に積極的に参加し、家族との時間を持つように意識しています。仕事だけでなく、子育てや家庭に関わっていくことの楽しさを感じています。

お子さまと一緒に過ごす様子(押川さん)

石山さん
私も社内の横断プロジェクトであるD&Iの活動に参加しています。インターンのときにも感じましたが、グループ全体としてひとつのことをしっかり話し合おうという意識が丸井にはあると思います。「すべてのお客様を視野に入れています」という言葉通り、例えば車椅子ユーザーの方に話を聞きに行くといった活動をしています。

LGBTの制度として利用したことがあるものはまだないですが、今戸籍上同性のパートナーがいるので、家族と同義に扱われる「パートナーシップ制度」は将来利用したいなと思っています。

今後の働き方についてどのように考えていらっしゃいますか?


押川さん
丸井グループは業種を超えた職種変更があったり、多様なテーマの横断プロジェクトがあったり、様々なことを様々な人と経験することで共感力が強化されているのではないか、と感じています。ひとつのところにとどまると世界がそれ全てになってしまうので、違いや変化を楽しめるスタンスになっていると思います。自分自身も仕事と家族との時間を両立し、いろいろ変化を楽しみながら新しい仕事に積極的にチャレンジしていきたいと考えています。

石山さん
入社面接でも「全部の部署にいきたい」と答えましたが、様々な環境を経験して価値観を広げていきたいと思っています。LGBT当事者としては、まだ世の中で認められていない部分もあったりするため気になることはありますが、働く上でLGBTだからということはあまり気にしないようにしています。ただ、自分は人よりも性別に対して敏感なことはあると思いますし、社員の声を真剣に受け止めてくれる会社なので、会社やお客さま、社会のために自分ができることがあれば伝えていきたいなと思っています。

「こう生きたい」を軸に仕事を選びたい人へメッセージをお願いします


押川さん
丸井グループは、すべての人が取り残されることなく「しあわせ」を感じられる、インクルーシブで豊かな社会を目指しています。人が「しあわせ」へと至る道を考えた時、経済発展や民主化、社会の寛容化などの要素がある中で、重要なのは「人生の選択肢が増えること」と言われています。そのためにはお金や時間を増やすというのも手段ではありますが、様々な人が自分らしく幸せに生きられる選択肢を得られる仕事につけたら良いのではないかと思っています。

精力的に働きたいと考える人もいれば、家庭と両立しながら働きたいと考える人もいたりと、「こう生きたい」は人によっても経験によっても変わると思いますが、多くの選択肢を提供してくれる職場であれば、より自分らしく生きていくことができるのではないかと思います。
しっかりとご自身の心の声に向き合って、じっくり検討していただきたいと思います。頑張ってください!

石山さん
自分自身がLGBT当事者だからということもありますが、自分のアイデンティティでキャリアの選択肢を狭めることはしてほしくないですね。これから何十年も働くことを想像してほしいです。転職する可能性も含めてどういうキャリアを作るか、自分が何を譲れなくて何を守れるか、何を妥協できるか、自分と向き合う時間を削らず、じっくり向き合ってあげてください。