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Update on :2023.10.20

美の提供を通じて培われた多様と公平の精神

山本 達郎さん / 堀田 満代さん / 谷 亜由美さん / エース・ティストンさん
日本ロレアル株式会社
オムニリテール オペレーションスペシャリスト / コーポレート・レスポンシビリティ マネージャー / 購買マネージャー兼人権 DE&Iコレスポンデント /クオリティーアンドEHSマネージャー

1909年の設立以来、世界中に美を提供し続けているロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社。この世界最大の化粧品グループ会社に昨年、「DE&Iコミッティ」という新たなチームが誕生しました。今回はそのメンバーである4名に、結成の経緯や活動内容をお伺いしました。


山本 達郎さん(写真一番左)
日本ロレアル株式会社 
オムニリテール オペレーションスペシャリスト


2020年4月に新卒で入社。1年目はブランドリテールでCRM、デジタルなど他部署に渡りブランドビジネスを学ぶ。2021年から9ブランドの全美容部員の人事担当としてに新卒・中途採用を担当。2023年10月よりリテールオペレーションスペシャリストとしてビジネスサポートを担う。2022年からは日本ロレアルDE&Iコミッティメンバーとして活動を行う。


堀田 満代さん(写真左から2番目)
日本ロレアル株式会社 
コーポレート・レスポンシビリティ マネージャー


2020年7月から現職。コーポレート・レスポンシビリティ本部にて、企業のサステナビリティ活動を担当。担当領域としては非財務分野全般となり、環境・DE&Iも含む。特に社会的に脆弱な立場に置かれているコミュニティや、ジェンダー平等が実現していない分野を中心に社会貢献活動を立案・運営を担っているほか、社員のボランティア活動「シチズンデー」も担当。2022年からは日本ロレアルDE&Iコミッティメンバーとして活動。


谷 亜由美さん(写真右から2番目)
日本ロレアル株式会社
購買マネージャー兼人権/ DE&Iコレスポンデント


2019年日本ロレアル入社。 購買部門責任者としての職務に加え、人権、およびDE&Iコレスポンデントを兼務。日本ロレアル購買部門では、社外パートナー企業との協業による雇用の創出(ソリダリティソーシング)をはじめ、販促什器や資材のエコデザイン化等、持続可能な調達戦略の達成に向けて取り組んでいる。


エース・ティストンさん(写真一番右)
日本ロレアル株式会社 
クオリティーアンドEHSマネージャー


2018年にロレアルR&Iジャパンに入社。処方コンセプトの品質と従業員の労働安全衛生の確保を担当。また、環境保全のための社内プログラムの実施も担当し、2022年からは日本ロレアルのDE&Iコミッティメンバーとして活動。

 

DE&Iコミッティ誕生までの流れ

 

まずは皆さんの日本ロレアル入社の経緯を教えてください。

山本さん「私は2020年の4月に新卒でロレアルに入社しました。最初はネットで調べたロレアルの取り組みや考え方に共感し、この会社を受けてみようと思ったんです。それが『絶対にここで働きたい!』という気持ちに変わったのは、面接中の出来事がきっかけでした。というのも私自身ゲイなのですが、なんとそれを面接中にカミングアウトすることになって(笑)。面接中、自分の将来的なビジョンの話になったときに、私は『すべての人が自分らしく生きられる社会作りをしたい』と伝えました。すると面接官は『なぜ山本さんはそれがしたいの?』と。最初は『留学中にそういう友達と会って……』とごまかしていたのですが、面接官は納得していない様子だったので、自分自身のセクシャリティについてお話させていただきました。それに対し面接官は『あ、そうなんだね、伝えてくれてありがとう』と、当たり前のように受け入れてくれたんです。それを当たり前と捉える文化が、社員にも浸透しているんだなと感じました」

谷さん「私は2019年の8月に、中途入社しました。ロレアルで働き始めてから、丸4年が経過したところです。それまではアメリカの製薬会社で、購買の仕事をしていました。かなり長い期間、製薬会社という特殊な環境にいたので、そろそろ業界を変えてみたい、より消費者に近い環境で働いてみたいと思っていました。そんな中でロレアルに興味を持ちました。ロレアルと前職では、業界も違えば国も違います。すごく大きなチャレンジになることはわかっていましたが、ロレアルが社会貢献や環境改善に先進的に取り組んでいる企業であることを知り、転職を決めました。私は前職でもDE&Iのリードをさせていただいていたんです。ロレアルに入社後、何気なくそのことを人事本部長に話したら『ロレアルでもやってみる?』と仰っていただき、現在購買部門責任者とDE&Iコレスポンデントを兼務しています」

堀田さん「私も谷と同じく中途入社で、入社から3年が経ったところです。私はコーポレート・レスポンシビリティ本部に所属していて、兼務している他のメンバーとは違い、社会貢献やDE&I推進活動そのものが、メインの業務内容となります。日本ロレアルに入社するまで何度か転職を経験しました。最初は教育現場から始まり、パブリックセクターの仕事を通して東日本大震災後しばらく、東北で支援活動をしていたこともありました。直近はアメリカに本部がる教育系NPOで、生き方・在り方としてのリーダーシップの育成に携わっていました。社会貢献という観点では、今もNPO時代もやっていることは同じです。ただ、企業という目線から社会貢献を学びたいと思い、ロレアルに入ることを決めました」

ティストンさん「私がロレアルに入社したのは、2018年のことです。以前はシンガポールでパートナーと共に暮らし、アメリカ系の企業に勤めていました。ロレアルに入社した一番の理由はパートナー。パートナーが元々ロレアルで勤務をしていたんです。シンガポールでは同性婚が認められておらず、住んでいた当時は男性同士の同性愛行為も違法とされていました。日本でも同性婚は認められていませんが、ロレアルは企業として同性婚を認めてくれています。それが嬉しかったんです。今勤務している研究所の従業員は、約30%が外国籍です。多様な職場環境であることに感謝していますし、自分自身が受け入れられていると感じています。ロレアルは、私にとって第2のホームですね」

皆さんはDE&I コミッティの立ち上げメンバーですが、そもそもDE&I コミッティの立ち上げにはどんな背景があったのでしょうか。

山本さん「ロレアルは『世界をつき動かす美の創造』をパーパスとして掲げています。ビューティーカンパニーとして、『美』は多様で、公正で、包摂的なものだと考えています。現在ロレアルでは150の国と地域に美を提供していますが、一人一人にテーラーメイドな美をお届けしたいという思いは、創業当時から変わっていません。多様性や平等性が、文化として元々企業に根付いているんです。そしてその上で、大切にしている4つのピラーがあります。1つめは【ジェンダー平等・LGBTQIA+】。2つめは【身体的・精神的・社会的ウェルビーイング】。3つめは【社会経済的、多文化起源の多様性】。4つめは【年齢・世代】。この4つのピラーを社内外に浸透させるために、DE&I コミッティが立ち上がったんです」

谷さん「立ち上げは私が提案したものですが、その時に『会社からの指名ではなく、本当に熱意をもつ人たちと一緒にやりたい』と人事に伝えました。堀田は本業としてDE&I活動に携わっていますし、山本とティストンは日頃からこういった活動に興味があると声に出していました。そうして、この4人が集まったんです」



一番大事な「知る」ことを社員に提供

 

DE&I コミッティでは、具体的にどんな活動をされているのでしょうか。

堀田さん「DE&I コミッティは今、2年目を迎えています。1年目の活動は、LGBTQIA+に関するものが多かったですね。今年に入ってから、日本ロレアルとして初めて、東京レインボープライドに出展させていただきました。その際に、一緒に活動をしてくれるボランティアメンバーを募集したのですが、DE&I活動を本職とする私でも驚くくらいの反響がありました。また昨年は、ReBitさんとコラボをしてセミナーを実施しました。ロレアルは学ぶということに対してとても積極的な企業で、年間数えきれないほどのセミナーを実施しています。その中でもReBitさんとのコラボセミナーは一番人気で、約300名もの社員が参加してくれました」

それだけの人数が集まってくれたことに「すごく嬉しかった」と堀田さん。しかし堀田さんは「それだけで満足してはいけない」と続けます。

堀田さん「例えば東京レインボープライド出展の際に参加したパレード。本当にたくさんの方に参加していただきましたが、ただ参加を楽しんでもらうだけでなく、私たちとしては『なぜそれをやるのか、やらなければいけないのか』を学んでいただくことが大事だと思っています。今回もイベント前に、山本から簡単なトレーニングをさせていただき、参加することの意義を理解してもらいました。一番大切なまずは『知る』ということを、社員に提供できたのは大きかったと思います」

LGBTQIA+以外のピラーとしては、どんな活動がありましたか。

堀田さん「2022年の10月に、新宿本社のオフィスがリニューアルされました。新オフィスは『ビューティーバレー』と命名され、ビューティーカンパニーにふさわしいサステナビリティに配慮したとても素敵なオフィスになりました。そのオフィス内に社員が集うカフェがあるのですが、カフェの壁に、精神障がい当事者のみなさんが制作したアートを展示しているのです。展示は定期的に入れ替わるサブスクリプション型で、新しいアートが楽しめるようになっています」

では、DE&Iコミッティの今の目標を教えてください。

谷さん「11月に、新宿の本社オフィスと川崎の研究所の両方で、DE&Iウィークを開催する予定になっています。これまではLGBTQIA+に力を入れてきたので、今回は他のピラーにも目を向けたイベントになればいいなと思っています。またちょうど今、社内で私たちと共に活動してくれるメンバーを募集しているところなです。私たち4人はこの1年、DE&Iにどっぷりと浸ってきました(笑)。新しい視点や価値観を加えた上で、今後の活動を決めていきたいと思います」

最後に、4人から読者の皆様へのメッセージをお願いいたします。



山本さん「自分らしく生きようと思うと、時に一方的になってしまうことがあります。自分の価値観を伝えたら、相手の価値観も聞く。自分らしさあなたらしさを、お互いが理解することが大切だと私は考えています。ぜひ皆さんには”お互いのことを知る”を楽しみながら、たくさんの企業の人たちに会っていただきたいと思います」

谷さん「就職活動というと、どうしても『自分を飾らなきゃ』と思ってしまいがちです。でも長く、よりパフォーマンスを上げて仕事をしていくには、自分らしくいることが大切です。それが実現できる、自分に合った企業を探していただきたいと思います」

堀田さん「私はこれまで複数回転職をしてきました。最初は『どう働くかではなく、どこで働くか』を重視してしまうこともあるかと思いますが、『どこで働くかではなく、どう働くか』が大切だと思っています。就職活動というのは、必ず第一志望の企業に入れるというものではありません。第二志望でも第三志望でも、自分がそこで何ができるか、何をしたいかをしっかり描ける企業であれば、きっと働きがいを感じられると思います」

ティストンさん「自分らしく、自分のベストを尽くして欲しいと思います。何より大切なのは、他の人に親切であることです。相手が今どんなことで悩んでいるのか。今どんな問題に直面しているのか。親切にする心を持たなければ、わからないことがたくさんあります。そして相手に親切であることが、自分自身のキャリアの成功につながるはずです」