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Update on :2020.10.16

「自分らしく働く今」にたどり着くまで

下坂朋さん
株式会社LITALICO
人材開発部・採用推進グループ

トランスジェンダーであることをオープンにして、株式会社LITALICOにて採用担当として働く下坂朋(しもさかとも)さん。新卒でLITALICOに入社し、今年で3年目の25歳。学生時代から今に至るまで、詳しくお話を伺いました。
 

下坂朋さん
株式会社LITALICO
人材開発部・採用推進グループ

在学中からLITALICOジュニアにてインターンを開始。
2018年新卒入社。LITALICOジュニアでの教室勤務を経て、
年より現職。児童福祉・教育領域の事業群の新卒採用・中途採用を担当。
 

「生きづらい人の力になれる仕事がしたい」

 
就活時の軸は、「生きづらい想いをしている人の力になれる仕事」。
ご自身がセクシュアリティのちがいによって悩んできた経験があり、その経験に基づき軸を定めて就職活動していたという下坂さん。
「女性として生まれ、3人姉妹の長女として育てられてきました。小学校二年生の時に、初めて女の子を好きになり、自分が周りの人と違っていることに気がつきました。はじめは自分は同性愛者なのかと思っていましたが、体が成長するにつれて、女性として過ごすことに違和感や気持ち悪さを感じるようになりました。当時は否定されることが怖くて、家族にも友達にも自分のセクシュアリティについて話せなかったですね」

男性として生きたいと思うようになっても、当時はロールモデルがいなかったこともあり、将来について前向きに考えることは難しかったそうです。そんな下坂さんに転機が訪れたのは、大学生の頃。カミングアウトした友人が、自らが抱えている問題について話してくれたことだそうです。

「カミングアウトした友人たちが、母親と不仲であること、国籍が日本でないこと、同性愛者であることなど、それぞれに打ち明けてくれたんです。そのとき、とても恥ずかしくなりました。私は自分がいちばん大変なんだと思って生きてきましたが、そうでなくて、みんながそれぞれに生きづらさを抱えているということに気が付いて、ハッとしました。それから、仕事を通して、今までできてこなかった自分以外のだれかの生きづらさを解決したり寄り添うことがしたいと強く思うようになったんです。」
 

「自分らしく」働くために男性として就職活動をした

 
現在男性として働いている下坂さんですが、就職活動時はどのようにされていたのでしょうか。

「自分らしく働きたいと思い、男性として就職活動を行いました。はじめは面接でもカミングアウトしたらどんな反応をされるのか、とてもビクビクしていました。ですが、どの会社も私の一個性として見てくださった気がします。今考えるとそれは、ほかでもない自分自身が、少しずつですがセクシュアリティは自分の一部に過ぎないという風に捉えることできるようになっていたからかもしれません。学生時代のイベント企画サークルの活動でセクシュアリティ関係なく仲間たちと苦楽を共にすることができたこと、なんでもない友人や家族との時間から、私は少しずつ自分もみんなと同じ、いろんな側面をもつひとりであると思えました。
そういえばLITALICOの面接は服装が自由だったので、ずっと白Tシャツにジーンズで行っていました。(笑)今考えるとラフすぎだったと思いますが、どの企業よりも自然な自分で臨めたと思っています。ここでならより自分らしく働けそうだと思いました。」

 

入社後はいい意味で拍子抜けした

 
自分らしく働けそうと思い入社した下坂さんでしたが、やっぱりどこか不安な気持ちがあったそうです。しかしそんな不安は杞憂だったと言います。

「いい意味で、みんな私がどんなセクシュアリティであるかなんて気にしていないんです。業務に私のセクシュアリティは関係ないのであたりまえと言ったらそうなのですが。ひとりひとり違ってあたりまえだよねという雰囲気があって、カミングアウトしても『そうなんだね!』で終わることが多いです(笑)LITALICOでは、私はとてもフラットに、「障害のない社会をつくる」というビジョン達成をめざす一社員で、それがとても嬉しいですね。」

 

同じ社会の一員として、目指す理想一緒に考えていきたい

 
「自分らしくはたらく」を軸に仕事を選びたい、学生、第二新卒を中心とする求職者へ伝えたい思いを、下坂さんはこう語ります。

「『自分らしくはたらく』とはどういうことか、人それぞれの解釈があると思いますが、私は自分の気持ちや大事なものを理解し、それを大事にできる状態で働くということだと思っています。」

しかし、そのような環境は必ずしも多くありません。下坂さんは、「今は環境を変えていける時代なので、一緒に変えていきたい」と呼びかけます。

「自分の大事なことを尊重できる環境は少ないかもしれないし、LITALICOにもまだまだ課題はあると思うんですね。今は時代の変わり目で、そういう環境を変えていける時代だと思うので、一緒に変えていきたい。傍観者としてではなく、いろいろな会社の取り組みを見て、企業と一緒に考えてほしいと思います。
「自分らしくはたらく」ということを考える中で、この企業は自分らしさを大事にできる、と思って入っても、そうでない部分がある場合もあります。そういうとき、周りの人と至らない現状について一緒に考えていくことが大事だと思います。
LITALICOに入っていただけるなら、一緒に頑張っていこうと思うし、もし別の会社で働くことになっても、同じ社会の一員として、「こういう社会になったらいいよね」と思える同士として頑張っていきたいです」

同じ社会の一員として、目指す社会の姿を考え、ともに変えていこうという力強いメッセージでした。
 




企業情報:株式会社LITALICO