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Update on :2023.09.19

企業として掲げる「人を大切にします。」という約束

井出 和孝 さん
SCSK株式会社
D&I・Well-Being推進部

ITを軸に、様々な社会課題を解決し続けるSCSK株式会社。その設立は1969年まで遡り、2011年にSCSKとして新たな一歩を踏み出しました。「D&I推進においても、合併は大きな意味があった」と振り返るのは、D&I・Well-Being推進部のリーダーを務める井出さん。合併前と合併後の変化を、語っていただきました。


井出 和孝さん
SCSK株式会社
D&I・Well-Being推進部 部長

2008年に前身の株式会社CSKに入社。2014年頃からD&I領域に携わり、今年からD&I・Well-Being推進部の部長に就任。

 

女性の役員を14名から132名に

 

まずは井出さんの経歴を教えてください。

井出さん「当社は、住商情報システム(SCS)という会社と、CSKという会社が2011年に合併してできたIT企業です。私は2008年にCSKに入社し、現在は今年新たに設立されたD&I・Well-Being推進部という組織を担当しています。社会人になってからずっと人事関連業務に携わり、直近2年は現場に少し近いところも経験し、現場を理解した上で、もう一度人事に戻り、現在の業務に当たっています」

D&I推進にかかわる部署を設ける企業は増えていますが、「Well-Being推進」とは、どのような事をされているのでしょうか。

井出さん「『Well-Being(ウェルビーイング)』とは、一般的には『幸福感』または『健康的な状態』を指すような言葉で、物理的、精神的、社会的な面で満たされた状態と言われたりしています。当社はIT企業ですので、コアコンピタンスであるIT技術を活用し、社会課題解決や社会に新たな価値を創造しながら、社会の役に立っている実感などを通して、やりがいを感じるような会社にしていくことを目指しています。

そのためには、社員が心身共に健康で、多様な個性や能力を最大限活かすことが重要です。我々D&I・Well-Being推進部は、社員の働きやすさや健康経営を推進し、D&Iの取組を実行しながら、仕事のやりがいを追究していく組織になります。とは言っても、D&Iへの取り組み自体は2006年くらいから進められており、私自身は2014年頃から携わって来ました。今年設立されたのは、D&Iも含めたWell-Beingの推進に注力するチームになります」

SCSKのD&Iへの取り組みは、合併当初から始まっていたと井出さんは言います。

井出さん「合併してSCSKができたときに、会社として新たな経営理念を掲げました。それが『夢ある未来を、共に創る』というものです。そしてその下に、3つの約束を設定しました。その一番最初に出てくるのが『人を大切にします。』という約束。これが、当社の人に関する施策のベースになっています。すべての社員が最大限の力を発揮できる、働きやすい環境を実現するというのが、D&Iに限らず当社の根本の考えになっているんです」

井出さんはこの経営理念に共感し、その実現のために力を尽くしているのだとか。

井出さん「当社はIT企業ということもあり、人材そのものが最大の経営資源になります。これが、建前ではなく、経営陣も社員も、本当に人を大切にしようとしているなと感じます。D&Iの領域は、個人へのリスペクトがとても大切です。それが経営理念からも施策からも感じられる会社を誇りに思うし、それに関われる人事という仕事も好きですね」

そしてD&I推進の背景には、世の中の変化もあったと井出さん。

井出さん「VUCAの時代とも言われる現在、IT業界に求められるものもスピーディーに変化しています。従来の画一的な組織運営では、今の世の中に対応するのは困難です。SCSKとしても、多様性や人の個性を活かして、社会課題の解決や新たな社会価値を創出できる企業になる必要があるな、と。このような背景が、当社のD&I推進につながっています」

その旗手を担う井出さんの部署には、現在どれぐらいのメンバーがいるのでしょうか。

井出さん「D&I施策推進を担当しているメンバーが7名、部署全体では35名ほどが在籍しています。障がいのある方も働いてくれていますね」

障がいのある方は、どんな業務をされているのでしょう。

井出さん「健康経営に取り組む一環として、身体の疲労回復のために、社内にリラクゼーションルームと呼ばれる社員がマッサージを受けられる場所を設置しているんです。そこで障がいを持っている社員に、マッサージ師として働いていただいています。会社として心身の健康増進に力を入れているので、社員は格安で利用できるし、マッサージを受ける時間も業務の時間として計算されます。私がいる豊洲のリラクゼーションルームは、予約1週間待ちになるほど人気です。また、SCSKグループの特例子会社(tgs)では『参加』・『自立』・『共生』の理念のもと、多くの障がい者の方々が働いています。tgsは当社グループのオフィスサポート業務や、社内の売店運営、アグリ事業などをしており、障がい者の方々に本当に活躍いただいています」


一口にD&I推進と言っても、その進め方には様々あります。D&I・Well-Being推進部では、特にどんなところに注力されているのでしょうか。

井出さん「中でも女性活躍推進に関しては、当部の前身であるD&I推進課の頃からかなり注力しています。2012年当時、社内の女性管理職は14名しかいませんでした。合併するタイミングで専任組織としてD&I推進課を設置し、女性管理職を100名にしましょうという目標を掲げたんです」

IT業界は、ただでさえ女性の割合が少ない業界。「100名にするなんて無謀だという意見もありました」と井出さんは言います。

井出さん「3年後、5年後に管理職を担ってくれそうな女性を集め、教育や意識付けをしました。全員が全員、管理職に興味があった女性というわけではありません。でも、個別に話をしたり、周りが管理職になるのを見ていく中で、考え方が変わることもあります」

管理職になるか、ならないか。女性がその選択を前に気にするのは「やはりライフイベントが大きいと思うんです」と井出さん。

井出さん「例えば、子育てをしながら管理職をするのは難しい。あるいは管理職をするなら子育てはできない。そんな風に考え、どちらかを諦めている方もいます。そういう方には、実際に仕事と育児を両立させている方の話を聞いてもらったりしています。それで考えが変わり、実際に管理職になった方から『管理職になってしか見えない景色、管理職になってしかできない仕事があるとわかった。管理職になってよかった』と言ってもらえたときは、嬉しかったですね。課長以上に登用した女性は2022年度末時点で132名になりました。目標は達成しましたが、女性の活躍推進は、今後ももちろん続けていきます」

およそ10年で、14名が132名に。「目に見えるかたちで実現できたのは大きかった」と井出さんは成果を振り返ります。

「2012年から始まった、働き方改革の影響もあると思います。合併当時のIT業界は残業が当たり前で、『きつい、厳しい、帰れない』の3Kだなんて言われていました。そこで当時の社長は先駆けて業界を変えようと、残業をコントロールし、休みもとりやすくしたんです。フレックス制度を利用する社員も増え、育児で早く帰ることも普通になりました。当時は女性活躍推進と働き方改革を直接的に紐づけていたわけではありませんが、結果的に育児と仕事の両立をしやすい雰囲気になったんです」



D&Iが当たり前な社会づくりに貢献したい

 

会社を変える。今あるものを変える。「特殊な仕事です」と、井出さんはご自身の業務を評します。

井出さん「会社を変えると言うと格好よく聞こえるかも知れませんが、実際は困難の連続です。会社の文化や考え方を変えていく取り組みは、『でも現実問題こうなんだよ』という話と必ずと言っていいほどぶつかります。それでも、10年後、20年後に会社がどうあるべきかを考え、時間をかけてゆっくり変えていくという思いでやっています」

そのための努力は惜しまない。井出さんの発言からは、そんな意志が伺えます。

井出さん「研修やセミナーも、とてもたくさん行っています。例えば介護でも、近距離でする介護と遠距離でする介護は違うし、認知症の介護もあればそうじゃない介護もある。当社では、そのそれぞれにセミナーがあります。育児のセミナーも細かくわかれているし、ライン職向けなど、ピンポイントなものもあります。もっとも大きなものとしては、ダイバーシティのスペシャルセミナーでしょうか。年に1回著名人や有識者を招いて講演をしてもらうセミナーなのですが、こちらには毎年200名ほどが参加してくれています。セミナーは基本的に自由参加ですが、大規模小規模を問わず、参加者がいなくて困ったということはほとんどありませんね」

セミナーや研修への参加だけでなく、積極的にコミュニティ活動をしている社員も多いと井出さん。

井出さん「例えば、LGBTQ+のアライコミュニティがあったり、育児や介護の両立コミュニティがあります。D&Iに限らず、社内には様々なコミュニティがあり、入れる数に制限はないので、複数のコミュニティに属している社員もいますね。色んなことに興味関心がある社員が多いんです」


では、Well-Being推進部のリーダーとなった今、井出さんとしてはどんな目標をお持ちですか。

井出さん「これまで、女性推進、育児、介護、LGBTQ+など様々なカテゴリーにおいて、社員が社内で働きやすくなるよう活動してきました。もちろんそれはこれからも継続していきますが、今後は社内だけでなく、社外にも何かを発信していきたい。SCSKという会社だけでなく、様々な個性を持った人たちが働きやすい社会を創るのに、貢献できればと思っています。今回のインタビューも、その一環と言えるのではないでしょうか。

我々の最終的なゴールは何だろうか。よくそんなことを考えるんです。それはきっと、我々のような特殊な立場の者がいなくても、D&Iが当たり前になっている社会なんですよね」

それでは最後に、読者の皆様へのメッセージをお願いできますか。

井出さん「我々がD&I推進活動に取り組むのは、個人の意見や属性、考え方を力に変えることが、企業価値の向上につながるという考えが根幹にあるからです。ときに会社に合わせることも必要ですが、皆さんの意見や歩んできた人生の経験を、ぜひ大切にしてください。それこそが、今企業の求めているものです。どうしたら、どんな環境だったら、自分の個性を活かせるかということを、積極的に考えていただきたい。多様な会社や社会をかたち作ろうとしている一人として、そういうふうに就職活動や人生を歩んでいって欲しいと思います」



企業情報:SCSK株式会社