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Update on :2022.01.25

Adobe For All―。 その熱い想いと社内カルチャーが、D&Iの牽引力に

赤木亜希子さん/杉本隆一郎さん
アドビ株式会社
人事部

米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置くアドビ。Photoshop、PDFなど、現在のパソコン社会には不可欠なソフトウェアを多数開発していることで知られています。その一方でダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)が進んでいることでも有名です。そこで、今回はアドビ株式会社人事部シニアマネージャーの杉本隆一郎さんと、同じく人事部シニアHRビジネスパートナーの赤木亜希子さんにその取り組みや効果、今後の展望などをお伺いしました。
 

赤木亜希子さん
アドビ株式会社  人事部シニアHRビジネスパートナー

2001年日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。労務管理、給与制度設計、ダイバーシティ&インクルージョンなど一貫して人事業務に携わる。米国本社赴任後、2010年からはHRビジネスパートナーを担当。リーダーに寄り添い、ビジネスに貢献する人事を目指す。2020年5月よりアドビ株式会社にて現職。シニアHRビジネスパートナーとして、日本の経営陣をサポートしている。
 

杉本隆一郎さん
アドビ株式会社  人事部シニアマネージャー

上智大学卒業後、一貫して人事業務を8年間経験した後、2006年楽天株式会社に転職。営業職・エンジニア採用及び幹部候補層の採用をリード。2012年LinkedIn日本法人立ち上げに人事責任者として参画し、日本におけるビジネスSNS及びダイレクトソーシングの普及に携わる。その後、再び人事・採用領域に軸を戻し、アクセンチュア株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社で新卒・中途採用責任者として毎年1000人以上の人材採用をリードし、2019年9月より現職。
 

お互いを認め合うためには、耳を傾けることから

 
「アドビには『Adobe For All』という理念があり、それが全ての行動規範になっています。D&Iはそれを実現するための大きな柱のひとつです」と語るのは杉本隆一郎人事部シニアマネージャー。
では、同社はD&Iをどう定義しているのでしょうか。
「人種や国籍、ジェンダー、学歴、職歴などさまざまなバックグラウンドを持つ多様な人材を受け入れつつ、それぞれの個性を認めるとともにそれを生かしながら、最終的にひとつの組織になることです。そのためにもそれを受け入れる社内カルチャーを作ることが重要だと考えています」と赤木亜希子人事部シニアHRビジネスパートナー。
その一環として同社ではD&Iをテーマにしたイベントを2015年から実施し、2018年からは「Adobe For All Summit」と題して年に1回のペースで開催。
「コロナ禍のため昨年からはリモート開催ですが、それ以前は世界中の社員がサンノゼに集まり開催されていました。そこでは経営陣や社員たちが自らの悩みやそれをどう克服したかなどを語ったり、男女同一賃金や昇格の機会均等といった、具体的な計画が発表されたりします。私自身も登壇したことがあり、そのときは緊張しましたが、役職に関係なく真摯にお互いの話を聞き、きちんと受け止め合うというカルチャーがアドビにはあると実感しました」(赤木さん)
会社規模の大きなイベントだけでなく、日常的な取り組みも大切にしています。アドビには、障がいを持つ人のための「Access at Adobe」、多様な性的指向・性自認を持つ人たちが集う「Pride at Adobe」、女性メンバーが参加する「Women at Adobe」、アジア太平洋地域出身従業員の「Asian/Pacific Islander at Adobe」など8つの社内ネットワークがあります。いずれも自発的に組織されたもので、参加メンバーに共通する問題の対処法を話し合ったり、社外イベントに参加したり、幅広い活動を行っているそうです。
「米国本社で始まった活動ですが、今ではいろいろなルーツを持った方のコミュニティができ、自分たちがアドビという会社に受け入れられていることを多くの従業員が実感しています」(杉本さん)
 

経営層のコミットの高さと距離感が意見が言いやすい環境を実現

 
杉本さんも赤木さんも転職経験を持ち、人事やD&Iの担当としての経験も豊富です。そんなおふたりから見てアドビのD&Iの特長はどこにあるのでしょうか。
「アドビはD&I担当者だけでなく、全員で取り組んでいる一体感があり、D&Iに対しての会社全体の熱い想いを感じます。例えばコロナ禍になり、去年の春先からテレワーク下もコアタイムを設けないスーパーフレックス制になりましたが、これも経営陣が世界中の従業員の声を拾い、それを施策にすぐに結びつけた結果のひとつです」(杉本さん)
従業員にとって、経営陣が自分の意見に耳を傾け、その意見が施策として反映されることは、非常にうれしいことであるとともに、経営陣、そして会社への信頼感が増すのは当然です。そして、声を出したことが施策につながる実績があると、躊躇なく声を上げられるという好循環が生まれます。
「経営層のコミットの高さとともに経営層との距離感も関係あると思います。外資系はプライベートを開示しないイメージでしたが、アドビは非常にオープンなので経営層との距離感が近く、それも意見が言いやすいひとつの要因だと思います」(赤木さん)
テレワークが主流になったアドビですが、社員同士の結束を高めるためのイベントも盛んです。
「バーチャル乾杯といって、いわゆるオンライン飲み会の一種です。もともとオフィスのカフェスペースで集まってお喋りしていたものが、それがオンラインに発展したものです。オンライン料理教室も人気が高いイベントです。先着順で材料も届くので、調理終了後に参加者で写真を撮ったりして楽しんでいます」
またアドビには視覚障がいのある方がヘルスキーパーとして勤務していますが、コロナ禍でオフィスがクローズしたため、施術が行なえない状態が続いていました。そこでオンラインでヘルスキーバーが健康情報を発信するようにしたそうです。
「オンラインで発信することによって、海外の方からの評価が高くなり、ヘルスキーパーの皆さんにとっても、それが新しい仕事として刺激になり、個々のキャリア形成を考えるうえで良い機会になっているようです」(杉本さん)
 

目先の数値に囚われずに長期的ビジョンを

 
人事担当者として、今後の同社が目指すD&Iの方向性をどう考えているのでしょうか。
「これはD&Iに限ったことではないのですが、例えば20××年度まで女性管理職の比率を××%にといった、はっきりとして数値目標を立てないのがアドビの特長でもあります。というのは、目標数値あっての施策ではなく、数値は何らかの施策を行なった結果に過ぎないと考えているからです。人材育成に関しては男女の区別なく、社員の声に耳を傾け、社員たちが活躍できる制度や仕組みを作り、長期的なビジョンを持ってしっかりと育成していくことこそが必要だと思っています」(赤木さん)
「ポストコロナ時代も、多様な社員が多様に働ける環境を実現させることが、最優先だと思っています。障がいのある方、LGBTの人たちに何かをしてあげるのではなく、知って、理解して、その方とともに一緒に考え、新しい商品やサービスを作って互いに喜びあえればうれしいです」
D&Iを推進するためには、長期的な視点の環境づくりや施策が必要といわれていますが、どうしても目先の数字にこだわったり小手先のテクニックに走りがちな企業が少なくありません。このあたりにも同社がD&I先進企業といわれる秘訣があるのでしょう。
最後に就職活動中の読者の方にメッセージをいただきました。
「順風満帆で過ごされてきた方よりも、何かに失敗しても、それに向き合ってきた方に個人的には魅力を感じます。残り少ない学生時代は、たとえ失敗してもいいですから、興味や関心があることに前向きに取り組んでください。その経験がきっと将来役に立ちます」(赤木さん)
「かつては会社の目標は、上層部が決めて多くの社員はその目標に向かって努力するというのが一般的でしたが、今はそんな時代ではありません。一人ひとりが楽しいと思うことややってみたいことを会社に持ち込む時代です。だからこそ多様性が求められのだと思います。他者との違いを受け入れることができ、変化に対して適応力がある、そんな人材を求めています。Adobe For Allの旗のもと、一緒に頑張りましょう」(杉本さん)




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