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Update on :2021.09.10

「人と組織がそれぞれの可能性を発揮できるようにするために」

ジョシュア・ブライアンさん
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
金融サービス・法務・人事・契約部門 ディレクター

20年以上にわたり、日本のバイリンガル人材市場を牽引してきたロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社。3年連続で”Great Place to Work”(働きがいのある会社)のベストカンパニーを受賞、 また、厚生労働省認定マーク「えるぼし」の最高位も取得しました。グローバルでは3200人の社員が在籍し、日本では300人の従業員の半数が37か国の国籍を持つ外国人です。自身も外国籍、オープンリーゲイであり、ED&I Councilのメンバーでもあるジョシュア・ブライアンさんにお話を伺いました。

ジョシュア・ブライアンさん
ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
金融サービス・法務・人事・契約部門 ディレクター

イギリス出身。2007年にロバート・ウォルターズ・ジャパンに入社。2015年1月にファイナンシャルサービス部門のディレクターに就任。金融サービス業界の職種全般のほか、他業種の人事・法務スペシャリスト、サポートスタッフなどを含む8つの専門チームを率いている。
現在は部門横断のED&I Council (平等、多様性とインクルージョン・カウンセル)のチームメンバーとして社内外に対する取り組みの企画立案・運営も行う。

 

男性の育児休暇取得率100%

 

「自らの可能性を諦めない人々に力を」。ロバート・ウォルターズ・グループのいたるところにこの社訓が提示されています。これは、グループ全体の経営理念であり、また、人材紹介会社として、独自の可能性を発揮できる人材を企業に紹介する上でも大事にしている価値観です。

ロバート・ウォルターズでは、社内外のあらゆるレベルでの平等、多様性、インクルージョン施策にもこの社訓が生かされています。

まず、日本における従業員の半数は、37カ国の国籍を持つ外国人であり、また、管理職に占める女性の割合は30%近くに達しています。厚生労働省の調査では全国企業の管理職に占める女性の割合は 12.4%でありロバート・ウォルターズではその倍以上の割合となっています。

さらに、2020年の社内のパタニティ休暇(男性社員の育児休暇)の取得率は100%でした。

「これは私もびっくりして、人事に確認したほどです。」とブライアンさんはその数字の大きさを知った時に驚いたそうです。なぜなら、厚生労働省の調査では、全国の男性の出産休暇取得率は12.16%であり、その値を大きく上回っていたからです。

「ロバート・ウォルターズでは、経営陣が育休を取りやすい環境を作ったことが、社内の意識改革につながったと思います。私自身、LGBT家族内で子育てをしています。第一子が生まれた時には育休を取ることに躊躇していましたが、第二子の時には安心して育児休暇を取得できる環境になっていて、変化を感じました。」と振り返ります。

 

平等、多様性とインクルージョン・カウンセルが主体となり施策を推進

 

ロバート・ウォルターズのD&Iで大きな役割を担っているのは、ED&I(平等、多様性とインクルージョン)カウンセルです。様々な部門から従業員を集めてED&Iに関するテーマについて話し合い、企業文化がその理念に沿っているかどうかを確認しています。

カウンセルにはさまざまなレベルの従業員が所属しており、ジェンダーやエスニシティなどの違いにおけるテーマだけでなく、ビジネスにおけるキャリア形成など、さまざまなテーマについて話し合いを行っています。」

 カウンセルの不変的な目標の一つには、女性の管理職を増やし、将来の管理職へのパイプラインを構築するなど、管理職にふさわしい候補者の資質を性別関係なく考えられるようにすることがあります。

 しかし、そのためには、従業員が会社とのエンゲージメントを高く持ち続けることや、産休や育休を取得した後も継続して働きたいと思ってもらえるようにする必要がある、といいます。

 「幸い最近では、産休や育休を取得された女性の多くがロバート・ウォルターズに復職し、社内で非常に重要な役割を果たすようになっています。」とブライアンさん。

「たとえば、ロールモデルの一人として、北東アジアED&Iカウンセルの共同議長のラチャナ・ラトラさんがいます。自身もワーキングマザーであり、かつ彼女の率いる部門に女性のアソシエイト・ディレクターが数名いて、その2人も同様にワーキングマザーなんです。」

 

人材紹介会社として、社外へもダイバーシティの重要性を伝える

 

そして、ロバート・ウォルターズのED&I推進は社内にとどまらず、クライアントに対しても発信しています。これは冒頭に述べた、社訓の「自らの可能性を諦めない人々に力を」に基づいた取り組みでもあります。

「日本では、公平な機会を得るために、コンピテンシーベースの採用をクライアントに提案し続けています。そのことが、日本のビジネス界にも活気を与えることになると考えています。」と平等・多様性とインクルージョンが、採用や人材紹介活躍、企業のビジネスにおいても重要であることを伝え続けているといいます。「組織がより多様性に富み、より包括的になれば、組織はより革新的になり、人々はより充実した生活を送れるようになることを私たちは知っています。」

 

互いにフィードバックしやすい環境が、心理的安全性を高める

 

しかし、平等、多様性とインクルージョンを育むのは簡単ではないこともあるとブライアンさんは認識しています。

「相手の話を聞くことが大事です。私たちは、リーダーシップを発揮するメンバーとして、常に全てを正しく理解しているわけではない、ということを理解することから始まるのです。」     

 ブライアンさんが入社して間もない頃、同僚から不適切なことを言われたことがありましたが、勇気を出して「その言い方は良くない。次回からは、言い換えていただけるとありがたいです」と伝えたことが、お互いにとって大事な教訓となったと言います。

 「だからこそ、場を整え、フィードバックを受け入れやすい環境を整えるのが大事です。それが、いわゆる職場での心理的安全性につながります。」

 

自分が活躍できる職場を確認することが大切

 

人材紹介会社として、就職活動中の方のアドバイスを尋ねたところ、「もちろん就職活動する前に、その企業の価値観やミッションを理解する必要があります。しかし、D&I施策ばかりを重要視するのではなく、それが価値観として本当に浸透しているのか、自分に公平な機会を与えてくれて、自分に投資してくれて、自分が活躍できる可能性のある仕事を提供してくれる企業なのかを確認することが大切です。つまり、さまざまな要素のバランスが重要なのです。」と力強いお言葉をいただきました。