diversity works > 職場を知る > DE&Iは「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」~多様性を活かすEquityとInclusion~
Update on :2023.03.01

DE&Iは「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」~多様性を活かすEquityとInclusion~

石井茉里さん、稲永百合愛さん、田部涼太朗さん、松元優美さん
住友商事株式会社
グローバル人材マネジメント部 グローバル人材マネジメントチーム

グローバルに幅広いビジネスフィールドで事業を展開する住友商事グループ。総合商社として、連結ベースで7万8,000人以上の多様な社員が世界中を舞台に活躍しています。2020年には、人材マネジメントのビジョンを示した「グローバル人材マネジメントポリシー」を策定し、Diversity, Equity & Inclusion(以下、DE&I)を全ての人事施策の基盤となる重要コンセプトとして定めました。同社でDE&I推進に取り組む、石井様・稲永様・田部様・松元様にお話をお伺いしました。
 

石井 茉里(いしい まり)さん
稲永 百合愛(いななが ゆりあ)さん
田部 涼太朗(たべ りょうたろう)さん
松元 優美(まつもと ゆうみ)さん

住友商事株式会社
グローバル人材マネジメント部 グローバル人材マネジメントチーム


グローバル人事・DE&Iの推進やエンゲージメント向上プロジェクトの推進を担う。4人全員が、住友商事の営業や他コーポレート出身、または他社からのキャリア入社と、人事の「外」から集まっており、それぞれの多様なバックグラウンドを活かして日々奮闘中。
 

経営戦略としてDE&I推進に取り組む

 
御社がDE&I推進に取り組む理由や背景、理念を教えてください。

田部:住友商事グループは総合商社として幅広いビジネス領域で活動しており、グローバルに活躍したいという熱いパッションを持つ方々や様々な分野のプロフェッショナルな方々を新卒・キャリア採用で採用し、自身のバックグラウンドやスキルを活かして、それぞれに活躍いただいています。これまでも、個々人の挑戦意欲やキャリアゴールを尊重し、一人ひとりが住友商事を通して自らも成長しながら社会に価値を還元していくことを目指してきました。昨今、当社グループを取り巻くビジネス環境は今まで以上にめまぐるしく変わり、事業を展開する地域・分野・ビジネスモデルも多様化がどんどん進んでいます。その中で、当社グループが変化に対応し、持続的に発展していくためには、経営戦略としてのDE&Iが必要不可欠です。企業グループとして、競争に勝ち、社会に貢献し続けるために、DE&I推進に取り組んでいます。

稲永:その前提に立って、当社グループとしての人材マネジメントの「目指す姿」をきちんと示し、それに向けて会社の仕組みや制度を整えていくことを約束するとともに、社員のマインドを醸成する意味も込めて、2020年に「グローバル人材マネジメントポリシー」を制定しています。
このポリシーの中で、DE&Iは「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と記されています。DE&Iを妨げるあらゆるバリアの撤廃を進め、一人ひとりの持つ「知」のミックスを活かして、グループのビジョンを実現できるよう、様々な取り組みを進めています。

松元:あらゆる取り組みの大前提となるのが、Inclusion、つまり、一人ひとりの個性をしっかりと認め、そのちがいを尊重し、受け容れ、さらに競争力の源泉として活かしていくというマインドと、その実践です。

石井:また、Diversityといっても、国籍、性別、年齢、性的指向、性自認等、属性によってInclusionを妨げる制度や仕組みの撤廃だけではなく、異なる意見や考え方・発想、価値観、能力、スキル、経験や心理的な壁に基づくアンコンシャスバイアスをなくすことも含む、「深層的」なDiversityに焦点を当てることも大切だと考えています。
そして、個々の状況に合わせた適切な支援を行うことで、誰もが成長し活躍する機会を得られるようにするというEquityの考え方の浸透を通じて、社員一人ひとりが、自分以外の人が抱える障壁に対する理解や目配り、感度を向上させ、それを取り除くためのアクションを取ることを促しています。

松元:それぞれの様々な「ちがい」をリスペクトしながら、多様多彩な仲間と、志・理念・ビジョンを共有し、知を出し合い、徹底した議論を通じ、あるべき方向性を見出したうえで決断することが重要であり、これを、全員が協力する形で実行することを目指しています。

 

「ハード面」と「ソフト面」を同時に推進

 
御社のDE&I施策について代表的なもの、最新のもの、特徴的なもの等を具体的に2〜3個ほど教えてください。

石井:当社は、2021年度の人事制度改定を軸に、人材の確保・育成、配置・登用等の各局面で、個々人が最大限に力を発揮できる、働く環境整備に取り組んでいます。また、管理職層には職務等級制度を導入して、個々人の属性に捉われず、専門性やスキルを重視した配置を通じて、組織パフォーマンスの最大化を目指しています。
役職員の意識・行動改革や社内の土壌づくりという観点では、DE&Iの理解浸透・定着に向けた啓発活動の一環として、2021年度から「Diversity Weeks」 としてDE&I関連プログラムを展開する期間を設け、社長・経営陣からのメッセージ発信や、外部講師を起用した各種セミナーや社員座談会などを開催しています。

稲永:会社がDE&I推進に注力する理由は、多様な一人ひとりが持つ力を最大化することで、会社という組織レベルの力も最大化できるからだと、私自身は理解しています。環境を整えたり機会を提供することで、一人ひとりが自分らしく働き、持てる力を存分に発揮できるようにすることが大切だと思います。日本においては、女性の活躍推進を特に重要な柱と捉えて様々な取り組みを行っています。たとえば、ライフイベントとキャリア形成の両立支援の観点から、法定を上回る水準での各種制度の整備など、『ハード面』の充実化もそうですし、長時間労働の是正や有給休暇取得の促進、社員の意識改革など、『ソフト面』の取り組みも同時に推進し、出産・育児を経ても会社で活躍できるような環境整備を行っています。
 
 
私自身、子育てをしながら共働きで働いていますが、こういった会社のサポートがあるので復職に不安はあまりありませんでした。

田部:テレワークやフレックス等の制度は、子育て中の社員だけでなく、あらゆる社員にとって、時間の使い方の選択肢を広げる制度になっています。各人が最もパフォーマンスを発揮できる形で働けるようにしている、という意味で、DE&IのEquity、そしてInclusionに繋がる取り組みです。

DE&I推進をすることで、社内風土や雰囲気の変化はありましたか?

松元:啓発活動を通じて、役職員におけるDE&I推進の重要性への理解は進んだと実感しています。これからは、DE&I推進が「価値創造、イノベーション、競争力向上」に繋がる、という腹落ち感をさらに進め、個々人が具体的にアクションを取っていくことが大切だと考えています。
 

多様な人材の登用

 
今後のDE&I推進の予定や方針について教えてください。

田部:DE&I推進はあらゆる観点で進めていきますが、一つの側面について言うと、多様な人材の登用を加速していく方針です。特に、意思決定の場に多様性がもたらされることで、これまでにない視点で物事を捉え、より豊かなものを生み出すことができると思います。また、その裏返しですが、市場やビジネス環境が伸びている時は関係者の考え方が近しいと効率的に進めることができますが、成長や変化の時においては、意見が全員一致していることがリスクになることもあります。考えの違う人がいないと必要なことに気づけないことがある、ということです。多様な人材を登用していくこと、また、これまでとは違う考え・意見を言えるカルチャーを作っていくことは、DE&Iの大事な要素だと思います。

石井:その一つの取り組みとして、2030年における女性活躍推進の目標値を策定し、開示しています。当社で活躍する女性の人数は着実に増加しつつあり、グローバルベースでも活躍の場を拡げていますが、目標を達成するためには様々な領域でプロフェッショナルとして活躍する女性を継続して育成・輩出しなければなりません。目標を掲げることで、採用の強化や、中長期視点での意識的な育成やアサインメントを推進しています。

稲永:また、ポテンシャルの高い人材を惹きつけ、その力を最大限引き出すために、グローバル連結ベースでの適所・適材を推進しています。即ち、年齢やバックグラウンドに関わらず、個々人の適性が活かされるようなアサインメントを、世界中で実現しようということです。日本から海外へ赴くだけでなく、海外拠点間の積極的な人材交流や、キーポジションへの優秀な海外人材の登用も進めています。また、希望するポジションに手を挙げて異動できるような制度も整備を進めています。

DE&I推進で最終的に目指すところやゴールについて教えてください。

松元:多様性は、ただそれだけを目的に増やすものではないと考えています。当社グループの成長戦略の推進にあたって、多様な人材が創り出す新たな価値やイノベーション、競争力が必要だからこそ、DE&Iを推進するのです。これまでも、グローバル連結ベースでの適所・適材、戦略的な人材登用や育成・組織づくり、そして、それを支える文化を醸成してきていますが、今後もグローバル人材マネジメントポリシーに掲げるビジョンのもと、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。
 

自分自身の価値観を大切に

 
「自分らしくはたらく」を軸に仕事を選びたい、学生、第二新卒を中心とする求職者へのメッセージをお願いします。

田部:あらゆる多様性が活かされる組織は、その要件として、『自分の意見を伝えても、リーダーや周囲の人が受け容れてくれる安心感がある』という心理的安全性の担保が欠かせません。当社では、リーダーのみならず、その組織を構成するメンバーが常に、この『心理的安全性』の醸成を意識して、皆で組織を創る、皆の働く『場』を創る、という意識を持っています。そして、新たに当社の仲間に加わってくださる方にも、早期に活躍いただけるよう、会社として、また配属先としての丁寧なフォローアップやサポートを行っています。

石井:就職活動中の皆さんにおかれても、自分自身の価値観を大事にして、自身の考えを積極的に発信していくことによって、ここが自分を活かせる場所なのだ、と思える場所を、見つけて欲しいと思います。そして、それが、当社であったら、さらに嬉しく思います。

 





企業情報:住友商事株式会社