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Update on :2021.10.04

自分の考えを言いやすい文化がインクルーシブな環境づくりにつながる

鎌田華織さん
武田薬品工業株式会社
グローバル人事部

製薬業界におけるグローバル&リーディングカンパニーである武田薬品工業。多様なバックグラウンドを持つ従業員が働く同社では、スピークアップカルチャー(意見を声に出す文化)の高まりにより、よりインクルーシブな企業文化が形成されてきたという。自身の体験も通し、強い思いでDE&I推進に取り組まれる鎌田さんにお話をうかがった。

鎌田 華織さん
武田薬品工業株式会社
グローバル人事部
Global Diversity, Equity & Inclusion
Manager


新卒で大手損害保険会社に入社後、内資系・外資系企業で人事を経験したのちにシャイアー・ジャパン㈱に入社。一児の母として産休・育児休業取得の経験がある。合併により武田薬品工業㈱に転籍し、日本事業部門のHRビジネスパートナーを経験後に昨年4月より現職。
職場の多様性、公平性、包括性(DE&I)の推進役として、多様性のある従業員が生き生きと働ける環境づくりのサポートおよび制度のさらなる充実、社内外の情報発信などを担当する。

世界中の多様な患者さんのためにもDE&Iが重要


グローバル企業であり、製薬業界のリーディングカンパニーである武田薬品には、様々な属性で多様なバックグラウンドを持った従業員が年々増えている。合併を経た現在、グローバルベースで日本人は11%となり、89%のグローバルの同僚とさまざまな形で協力しあう体制となった。お互いの存在を認め合い、公正な機会を提供することで、一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮し生き生きと働ける環境づくりを目指していることはもちろん、製薬会社として患者さんを第一に考えることもDE&Iの取り組みにつながっているという。

「世界中にいる患者さんも多様性に富んでいます。社内で多様性を大事にすることは、いろいろな属性の患者さんを大切にすることにつながります」

更に多くの新しい取り組みをスタートした一年間


2021年はLGBTQ+に力を入れ、幅広く新しいことに取り組んでいる。例えば、LGBTQ+に関する各種窓口一覧をポータルサイトに設けた。

「制度などに関して人事に直接にコンタクトをとることもできますし、心理的安全性に配慮し従業員を介さず匿名で相談をすることができる社外の窓口もあります。健康診断や出張などに関しても専門の窓口があり、社内ポータルサイトに明示することでよりコンタクトが取りやすいようになったと思います」

2017年にシルバーを取得したPRIDE指標では、今年度はゴールドの認証を目指している。すでに東京のグローバル本社には20箇所ほどあるユニバーサルトイレを、大阪オフィスにも設置した。男女の表示は性別を意識しないシルバー色で統一している。また、研修も6000人弱が勤務する日本の全従業員向けに実施する予定で、基礎知識に加え、マネージャーや人事にはプラスアルファの研修内容を設けた。

LGBTQ+の従業員ネットワーク(ERG)は日本だけではなく各グローバルの拠点でも存在し、日本のみならず、他の地域の従業員ネットワークの活動に参加することも可能になっている。

ジェンダーへの取り組みとしては、女性管理職を増やすことを目的として、色々な施策を実施している。2021年は女性に特化した研修コンテンツを見直し、刷新した。
また今年度よりトップ経営層で構成される会議体のJCC(ジャパン・カントリー・コミッティー)を発足し、従業員が性別に関わらず、公平性を保ちながら、女性管理職30%という目標に向け、部門ごとに計画を立てて持続的に取り組んでいる。

CEOを含めた約150名がDE&Iについてディスカッションする2日間


武田薬品には、5年ほど前から毎年開催されているシニア リーダーズ・ミーティングというDE&I推進のための大規模なミーティングがある。本ミーティングではCEOのクリストフ・ウェバー氏をはじめ、日本を拠点とする多国籍のマネジメント層150名が参加し、2日間にわたりDE&Iに関する課題を話し合う。

「昨年はコロナの為、オンラインでの実施となりましたが、約150名のシニアリーダーがテーマごとに分かれてグループディスカッションをしました。例えば、「性別による公平性」、「若手の早期育成」、「コロナ禍でのインクルーシブなカルチャーの醸成」などといったテーマについてスペシフィックに議論しアクションプランを考えます」


意見を言いやすい環境がインクルーシブカルチャーにつながる


DE&Iを推進することで、アウェアネスが高まり、各部門でもいろいろなイベントが起きるようになったという。各職場でDE&Iについて話し合う場が増え、従業員からも更に知識を深めたいなど自発的な質問が増えた。

「少人数のチームでDE&Iについて話し合ったり、ビジネスユニットやファンクションなどの大きな組織でイベントを開いたり、形式は様々でまさに多様化したDE&Iの取り組みが日本各地で見られます。また、自分の意見を言う、スピークアップカルチャーも高まったと思います。例えば、マイノリティな属性があることで話しにくかった内容に対しても意見をしやすくなってきており、そのような動きは、インクルーシブなカルチャーづくりにつながっています」

個別にIDP(Induvidual Development Plan/個人の能力開発計画)をつくり、上司と1on1で話したりする頻度が高まったり、ここ数年、新しい従業員ネットワークが設立されたりと、ボトムアップの積極的な動きもみられるようになった。

武田薬品では、従業員のボトムアップによる従業員ネットワークを大事にしている。社内のカルチャーを変えることを目的しており、5人以上のメンバーから作ることができる。日本ではLGBTQ+だけでなく、女性活躍推進、クロスカルチャー、子育て、がんサバイバー、メンタリングをテーマとした従業員ネットワークが自ら手を挙げることにより発足した。

「ボトムアップの活動は活気がありますね。社内のSNSを通じてイベントの開催を呼びかけておりますが、参加者が多く第二弾・第三弾と開催を重ねているものもあります。自分事としてDE&Iを捉える良いきっかけとなっています。」


自分が感じたハンデをこれからの世代の人には感じてほしくない


産休、育休を経たワーキングマザーでもある鎌田さん。自身が社会に出て働きだしたとき、多くの会社は総合職と事務職が明確に分かれており、女性は基本的に事務職だった。給与体系や昇進の機会、経験できることも異なり、企業で働く女性としてマイノリティであることのハンデを肌で感じてきたという。

「(少し前の話になりますが、)産休前に妊娠していることをなかなか周りに言えない自分がいました。話したら、責任のある仕事から外されてしまうのではないかと思ってしまったためです。また、休職中も育休から戻ってきたら元の仕事に就けないかもしれないなど色々と心配しましたね(笑)。そのような心配をこれからの世代の方にしてほしくないですし、お子さんと安心して休んでほしいです。過去や属性は変えられないからこそ、さまざまな多様性を強みとして活かし、公正に扱われるような環境を実現したいです」と、自身の体験からも強く語ってくれた。

「DE&Iについて質問を受けたり考えを聞かれたりしたときに、自分の体験や思いを話すことがあります。その際に、こういう考えの人が担当者でよかったと言われると嬉しいですね」

DE&Iの推進は一歩一歩の地道な取り組みが必要だが、その小さな活動を評価してもらえるときもDE&I担当者としての喜びを感じるという。例えば、2021年はコロナ禍で出社できない状況が続くなか6月のプライド月間にはオフィスに6色のレインボーフラッグを掲げた。それに気づき、「久しぶりに会社に来ましたが、大きな旗がとてもインパクトがあり、LGBTQ+のことについて考えるきっかけとなった」と声をかけてくれた社員がいた。

また、グローバルに開催されたDE&I Weekイベントのパネルディスカッションで、「このウイークが、みんなが“DE&I”の文字一つ一つに込められた意味を考える機会となってほしいと」伝えたら、企業内SNSシステムを介して、全世界からコメントが寄せられたときはグローバル企業ならではのやりがいを感じたという。



違いを個性として活かし、一緒に未来をつくっていく


「自分らしくはたらく」を軸に仕事を選びたい、学生、第二新卒を中心とする求職者へのメッセージをいただいた。

武田薬品では、個人の属性の違いを個性として活かすことができます。人を大事にする製薬企業として、従業員一人ひとりがインクルーシブに感じられ、いきいきと働ける職場を実現したいと思っています。グローバル企業になり、より多様な従業員が増えてきました。スピークアップカルチャーが醸成され少数意見に耳を傾けることで、イノベーティブな環境を作り、様々なバックグラウンドの人に選んでもらえる企業を目指しています。また、それが世の中のためになると考えています。

社内では、多様な働き方に対応できる規則や制度が時代の変化とともに作られていますが、これからもニーズに応じてそれらをフレキシブルに前向きに変えていく土壌があります。

ご縁があってご入社いただいた方には、是非会社に貢献できると思ったことをどんどん発信をしてほしいと思います。自分らしく働くことで100%以上の実力を発揮し、お互いがウィンウィンに自己成長ができる武田薬品の未来を一緒につくりましょう!みなさんにお会いできる日を楽しみにしています!