
岡林薫さん
株式会社セールスフォース・ドットコム
エンプロイー マーケティング&エンゲージメント グローバル オンボーディング シニアスペシャリスト
Outforceリーダー
人事傘下のグローバルオンボーディングに所属し、新入社員の導入研修を担当。同時に、同性愛者である事を公表し、LGBTQをサポートするグループ Outforce (アウトフォース)のリーダーも務める。
業務の傍ら社員に対してのLGBTQに関する理解を深める活動に携わる。
セールスフォースを選んだ2つのポイント
これまで不動産業界の日系企業やホテル予約サイト運営会社で、ずっと営業畑を歩んできた岡林さん。セールスフォース・ドットコムに入社して2年、現在は人事部門で、オンボーディングという、入社したばかりの社員の導入研修部分を担当するチームに所属しています。岡林さん自身がセールスフォース・ドットコムを選んだポイントや経緯について聞いてみました。
「入社を決意した点は、大きく2つありました。まず、きっかけは以前勤めていた不動産系企業の同僚からの紹介でした。現在も共に仕事をしている私のマネージャーにあたる方が、シドニーへの転勤に伴い日本で新たな採用を行うと、声を掛けてくれたのです。
もう1つのポイントは、イクオリティ(Equality=平等)という当社のコアバリューでした。セールスフォース・ドットコムという企業を調べてみると、イクオリティを最も重要なコアバリューの一つとして掲げていることが分かったんです。さらに、LGBTQについても当時からしっかりと取り組んでいることも知りました。私はこれまでもレズビアンであることを公表して働いてきましたが、社内でLGBTQコミュニティの理解を深める活動はしていませんでした。今後の自分の長期的なキャリアを考えた際に、自分のアイデンティティに深く関係してくるところで、仕事と並行して社内で活躍できる場があるところにすごく魅力を感じ、入社しようと思いました。実際に入ってみると、社員の方たちのイクオリティに対するアンテナの高さに驚きました。そして性別や性的指向、障がいなどマイノリティと称される人たちに対する理解をしっかりとしていて、アクセプタンス(受容度)が非常に高いと感じました」
「Outforce」のリーダーとして
セールスフォース・ドットコムには、マイノリティのコミュニティを支援する従業員主導の組織として「イクオリティ・グループ」があります。その中に、テーマごとのグループがいくつかあり、日本では現在、「Abilityforce」(障がい)、「Outforce」(LGBTQ)、「Earthforce」(地球環境)、「Woman’s Network」(女性活躍推進)の4つのグループが活動しています。岡林さんは、その中の「Outforce」に所属し、3人いるリーダーの1人としてチームを牽引しています。
「入社当初は、本業務を覚えるのも大変なので、Outforceは仕事に支障がない範囲で関わっていました。その後、昨年(2019年)の『東京レインボープライド(TRP)』に参加する頃から、リーダーになってしっかりと関わり始めました。Outforce Japanでいえば、LGBTQ当事者とAlly(アライ)を合わせて現在450人くらいのメンバーがいます。さらに、エグゼクティブ・スポンサーといって、社内のリーダーシップをとるマネージメントレベルの方たちの中から各イクオリティ・グループをサポートしてくれる人が加わり、共に活動しています。
活動内容としては、一番大きなところではTRPへの参加ですが、他にも外部から講師を呼ぶなど、社内イベントを定期的に実施しています。10月ならカミングアウトデー、11月はトランスアウェアネス、12月はエイズデーといったように、広く知られている記念日などに合わせて社内向けのイベントを企画しています。この様な活動を通して、社内でのLGBTQへの認知度や理解度を深めていって、どんどんAllyを増やしていければと思っています」
具体的なD&I推進施策
主にLGBTQに関係するD&Iの施策には、どのようなものがあるのでしょうか。
「社内での配偶者/パートナーの定義として、同性のパートナーの場合についても、一定期間(1年以上)同じ住所に住んでいれば配偶者とみなされます。所定のフォームに記入して申請することで、結婚休暇など異性のカップルと同じように扱われます。また、最近、同性カップルにも対象が広げられたのが不妊治療へのサポートです。とても画期的で、会社が時代の趨勢やニーズに合わせて制度を更新してくれることはとても嬉しいことです。しかしながら、日本の場合、法律の制約があり、利用できる権利に制限があります。とはいえ、このような制度があることを認知してもらえるだけでも、大きなインパクトがあると感じています。
他にも、弊社では、『トレイルヘッド』という、一般提供もしているeラーニングのツールがあるのですが、部下を持つマネージャーは、イクオリティに関するeラーニングを受けることが義務付けられています。そして実際に自分のチームでも学びを取り入れながらマネージメントしていくのです。それによって、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちがいる中で、誰もが働きやすいと思える環境を作り出していく。そういったリソースを会社側が提供してくれるのも弊社の特長ではないかと思います」
社会全体のイクオリティを目指して
セールスフォース・ドットコムのD&Iの価値観や姿勢で、実際に働いてみて、岡林さんが共感しているところを聞いてみました。
「セールスフォース・ドットコムの創業者、マーク・ベニオフは『ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである』と語っています。その背景には、アメリカという国における企業の影響力の大きさもあると思いますが、日本においても、国の制度を変革していくことについて、企業がもっとコミットしていっていいはずです。イクオリティという価値観については、ビジネスに直結する話ではないので、どの国でも後回しにされてしまう課題だと思います。それを、ビジネスが関わるところにイクオリティをきちんと掛け合わせて、ビジネスの中で展開していく。いち企業の社員のためだけではなく、社会全体のイクオリティを推進していく。例えば、取引のあるベンダー企業に対して、その選定の際にセールスフォースが大切にしているイクオリティという価値観に対して、共感し大事にしてくれるよう伝えていくことなどです。ここまでの取り組みはなかなか難しいとは思うのですが、それを実践している会社で働けていることに誇らしさを感じています」
今後のOutforceの活動について
今後、D&Iをさらに推進していくために、Outforceの活動で、どのようなことをしていきたいと考えていますか?
「そこまで大きな活動内容の変化はないと思いますが、今の日本のLGBTQ関連の課題では、同性婚の法制化が最重要課題だと考えています。そこにもう少しフォーカスした活動をしていきたいです。セールスフォース・ドットコムも企業として同性婚の法制化に賛同していますし、同性婚の実現を目指す『一般社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に』の活動にも賛同しています。ですので、Outforceとしてもしっかりと連携していきたいと思っています。そして、やはり、同性婚を実現させるためには大きなうねりを作っていくことが重要で、そのためにも、同様な活動をしている他の企業とつながって相互に協力していくことや、また、LGBTQコミュニティで活動されている方たちともつながって、情報の共有をしたり、一緒にイベントを実施していきたいと考えています」
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「セールスフォース・ドットコムは、誰もがありのままの自分でいられる企業です。性別の違いや性的指向の違い、障がいの有無など、マイノリティの存在を受け入れてくれる環境のなかで、、垣根を越えて自分らしくいられることができます。、また、個々が持つ能力を発揮して活躍できる職場です。自分の新しい魅力を探してみたい、見つけてみたいという人には、すごく向いている会社だと思います。このような環境に身を置くことで、きっとたくさん学べることもあるでしょう。入社後にイクオリティ・グループの活動に参加してみると、今まで経験したことはないけれど、自分にもできることがあるんだということを、身をもって感じることができるでしょう。私もそうでした。そんなふうに本来の業務とは異なるところでも活躍できる場が用意されていますので、ぜひ、セールスフォース・ドットコムという企業に、まずは興味を持っていただければと思います」
企業情報:株式会社セールスフォース・ドットコム