
金藤 達紀さん 29歳
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社
マーケティング ブランドマネジャー -AXE&DOVE MEN
男性向け化粧品ブランド「AXE」、「DOVE MEN+CARE」のブランドマネジャーとして、商品開発やマーケティングを担当。ゲイであることをオープンにして働く自分と同級生の価値観が違いすぎて衝撃を受けた就活
29歳の金藤さんは大学卒業後、新卒で「ユニリーバ・ジャパン(以下ユニリーバ)」に入社し、今年で8年目。少し時をさかのぼって、就活時のお話から伺いました。
もともと美容が好きだった金藤さん。美容関連の会社を受けようと考えていたのですが、商社や銀行などを志望する周りの男友達と、自分の価値観の違いにとても驚いたそうです。
「本当に衝撃でした(笑)でも、あまりにも違いすぎて、人によってこんなにも価値観が違うなら、気にしてもしょうがない、人と合わせる必要なんてないんじゃないか、と思ったんです。周りではメーカーを受ける男子学生は少なかったですが、自分がやりたいことをやらないと後悔する、と思いこの道に進むことを決めました」

就活で大事にしたのは「個性を尊重してくれる会社」
金藤さんのもう一つの就活の軸は「個性を尊重してくれる会社」。インターンや面接を通して、ユニリーバ社員のダイバーシティを尊重する姿勢に惹かれていったそうです。
「ユニリーバで1週間インターンをしたんですが、その時出会った社員の皆さんが、男性の私が美容好きであることをすごく自然に、そして肯定的に受け入れてくれたんです。『いいね!(美容について)色々教えてよ!』という感じで。その後の面接で、面接官と話していても、個性が当たり前のように尊重されている風土がひしひしと伝わってきました」

ユニリーバで働くうちに、自分自身も多様性に対してより寛容になれた
そんな就活を経て、2013年春、ユニリーバに入社。実際に働いてみて、就活のときに抱いた会社の印象は今でも「全く変わっていない」と金藤さん。
「自分の個性が尊重されている、と感じることはもちろんですが、自分自身も他の人の多様性により寛容になれたと思います。学生の頃は私自身が性的マイノリティであることと、多様性に対してインクルーシブであることは必ずしも比例していませんでした。でも、ユニリーバに入って色んな価値観や特性を持つ人と共に働き、自分と違うけど素敵だなと感じる経験を沢山することによって、多様性を大事にする価値観をさらに深めることができたと感じています」

この会社にアライじゃない人いるの?って感じです(笑)
ユニリーバには、LGBTアライ*社員のコミュニティがありますが、金藤さん自身は「実は誰がコミュニティのメンバーかよく知らない」と笑います。
「だって、社内の誰とでもセクシュアリティについてオープンに話せるから。この会社にアライじゃない人いるの?って感じです(笑)会社全体がLGBTアライのコミュニティのような感じで、私がゲイだってことも皆知っています」
また、ユニリーバでは、同性パートナーも戸籍上の配偶者と同等に扱われ、結婚・忌日休暇、介護休暇、育児休業などの各種制度を利用することができます。この制度ができた時、金藤さんはすぐに人事担当者に感謝の思いを伝えたそうです。「素晴らしい制度ができて嬉しい!早くこの制度を活用できるようにパートナー探し頑張るね!ってメールしました(笑)」
*アライ=LGBTの支援者、応援者

自分のブランドが世の中を変えるパワーになる喜び
金藤さんは「AXE」、「DOVE MEN+CARE」という2つの男性向け化粧品ブランドのブランドマネジャーとして、商品開発を含むマーケティングを担当しています。
「DOVE MEN+CARE」は、広告に家族と触れ合う男性のビジュアルを多用したり、男性の育児休暇取得を応援するキャンペーンを展開したりと、ブランドを通して「仕事だけでなく、自分や家族、周囲の人をケアする男性」を応援し、実際に変化を起こせるようなメッセージを社会に発信しています。

「AXE」は「FIND YOUR MAGIC」というメッセージを軸に、自分らしいスタイルを大切にする男性を応援するブランドで、2019年4月には、ユニセックスフレグランスの外装に虹色を施した限定商品「AXE UNITY限定レインボーフィルム」を発売。金藤さんもこの企画の中心メンバーでした。

「自分が手掛けたブランドは、我が子のようにとても思い入れがあります。ブランドが世の中を変えるパワーになっていくのはとても誇らしいですね。2つのブランドのマーケティングを通じて、社会の様々な側面を見ることができることも、とても面白いと感じています」
幸せに働くために大切なのは、自分にとっての違和感や無理をなくすこと
働くうえで大切にしていることは何ですか?という質問に対して、はっきりと「違和感や無理をなくして、やりたい仕事に集中できる環境を自分で作ること」と答えてくれた金藤さん。
「やりたい仕事に集中することを妨げる外的要因って色々あると思うんです。例えば、ゲイであることを隠して働くこと、子育て中の人が毎日9時に出社すること、低血圧の人が朝から働くこととか…、人によって違いますが、自分にとっての違和感や無理を特定し、できるだけそれがない環境に身を置くことは、やりたい仕事に集中するためにとても大切だと思います。ユニリーバは、色んな違和感や無理を解消するために、柔軟に対応できる会社です。だからこそ私も今、自分のやりたいこと=美容のマーケティングに集中できていて、この環境にとても感謝しています」

金藤さんからのメッセージ
最後に、diversity works読者に向けてメッセージをいただきました。
「こうなりたい、というイメージを持って、楽しみながらそこに向かっている人が最強だと思います。例えばLGBTの人たちだと、オープンにして働きたいのか、オープンにせず働きたいのか、自分はどうしたいのかを考えて、自分で選んだうえで、その働き方ができる場所をまずは探してみてください。そして、その場所で楽しんでいれば、そこに巻き込まれていく人たちが出てきて、それが積み重なってトレンドになって、それが最終的には社会になっていくと思うんです。それぞれが選んだ場所で、楽しみながら働く人と、それができる場所がもっともっと増えていくことを願っています」
企業情報:ユニリーバ・ジャパン